矢内原伊作が編集した「辻まことの世界」を読みました。みすず書房から1977年に出版された本です。
ダダイスト辻潤と「青鞜」にも参加した伊藤野枝の間に生まれたまこと。
彼がまだ幼い時に母野枝はアナーキスト大杉栄のもとに走りました。
しかしまことは幼い頃大杉家によく遊びにでかけていたそうです。
辻潤のことは名前だけは知っていますが著書を読んだこともありません。よく放浪の旅に出て、そんな時まことも連れていったようで、中学生の頃父と共にパリへも行っています。
生活はどのようにしていたのかと思いますが、辻潤はフランス語もできて翻訳などの仕事はあったようです。
野枝は辻との間にもう一人男の子をもうけています。
野枝は「火のような女」に思えますが、女性が制約の多い時代だからこそその生き方は目立ったかもしれませんが、今ならたいしたことないかもしれません。
関東大震災の折り、甘粕正彦憲兵大尉の手により大杉と甥ともに虐殺されますが、大杉との間にも確か子供がいました。
まことは画才も文才もあって、イラストレーターのようなことをして生活をたてています。
兵隊にもなりました。さて「辻まことの世界」ですが、前半は「虫類図譜」独特の虫類のイラストです。後半はエッセイ。
いわゆる普通の家庭では全く育っていないわけですが、父母の知り合いがそれなりに見守ったのでしょう。
昭和55年、62才で亡くなりました。私は最新本より家にある少し前の本を読んでいます。辻まことのことを知ったのは収穫でした。