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映画作りの糧とすべく劇場鑑賞作品中心にネタバレ徹底分析
映画ブロガーら有志23名による「10年代映画ベストテン」発表!

69 sixty nine

2004-11-03 21:16:22 | 映評 2003~2005
ポップな感じの映画でキライな人も多かろう。
でも、石井克人や中野裕之みたいなほんとに何もわかってねえやつらより、ずっと良くまとまっていて、ああいうのと一緒にしたらかわいそうだ。

村上龍の原作をクドカンが脚色して、李相日が監督。
クドカンの脚本は相変わらずテンポ良く、ナンセンスなギャグもほどよくちりばめられていて、観ていて疲れない。
けれども、決定的に力不足な感じは否めない映画。
青春映画の体裁を整えているのだが、コミカルな展開のせいか一生懸命さがない。青春というのは本人が信じているほど深くは考えていないにしても、切実な気分で走り抜けるものだ。主人公は適当を絵に書いたような性格だからあれでいいのだが、同級生や学生運動家や不良なども同じ様に嘘ん気な人間として描いているからいけない。
結局、時代の息吹が全然感じられない。
クライマックスの主人公たちの呼びかけに応えた学年集会など、とってつけたような印象しかない。だれもが初めから本気でやるつもりがない。ラストの「だって嘘やもん」は、夢オチと同じぐらいやんないでほしい結末だった。本気で生きていないのは主人公だけで、69年という社会そのものは本気で動いていたはずなのに。
ポップにコミカルに描くなら、もっと69年という時代そのものをバッカじゃないのとこき下ろせば良かったのだ。
この映画の作り方からしてターゲット層は明らかに10代~20代であろうから、69年という設定をリアルに再現する必要はなかろうが、登場人物みんな2000年代のような人間たち。これで60年代の青春を現代的に描いたつもりなら大間違いだ。現代性は過去を批評することによって作られるものだと思う。

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