君よ憤怒の河を渉れ
悪にハメられた健さん
逃亡者健さん
追うのは原田芳雄の不良刑事
着ぐるみ熊と闘う健さん
戦闘機に狙われる健さん
大都会新宿で健さんを助ける馬の大群
腑抜け顔から男前にくるりと変わる健さん
緊迫するサスペンスと裏腹に馬鹿みたいに明るい音楽がなんだかわからなすぎて凄い
ストーリーより心意気を感じろ
このマインドを継承したのは、日本人監督じゃなかった。ジョン・ウーだった!
----
佐藤純彌監督の訃報を受けて今さらながら初めましての鑑賞
「相変わらずの佐藤節」とFacebookの友達が評しておられましたが、まさにその通り。
これは…「俺が大好きだった佐藤純彌監督作品」の典型例といってもいい映画ではないか。
凄い←→笑い
の狭間で揺れる佐藤節
凄い側に振り切ったのが新幹線大爆破で、笑い側に振り切ったのが野性の証明とするなら、君よ憤怒は両方にバランスよくという印象
ディカプリオが熊と闘う40年も前に健さんは熊と闘っていた!しかも着ぐるみの熊と!
熊に襲われて木にしがみつく中野良子さんのそのつかまり方も可愛らしさが微塵もなく好き
北海道を舞台にした数多くの傑作で知られる健さんだが、意外にも熊と闘ったのはこれだけではないか?(網走番外地シリーズとかそんな観てないから他でも結構闘ってるかもだけど)
セスナで北海道を脱出した健さんを追撃する自衛隊のF104スターファイター戦闘機2機。そのミニチュアワークのジェットから煙出すぎてる感とか、セスナ着水シーンのわかりやすいミニチュアワーク
この時代は洞窟で男女が2人きりになるとセックスする決まりでもあるのかと野村芳太郎の「八つ墓村」を思い出してみたり
そうかと思えば健さんを守るため原田芳雄の刑事の前で全裸になる中野良子さんのキャラクターは佐藤監督作品の「んなわけねーだろ演出」のエロ方面への応用か
そしてジョン・ウーも真似できなかった大新宿西口界隈のお馬さん軍団大暴走。ハリウッドが1億ドルかけた映画でもシュワルツェネッガーが街中で馬一頭走らせただけだったのに、健さんは10頭くらい走らせる!ここは普通にビビった。あんなことしたらすぐ見つかるんじゃないかと思ったら案の定すぐにバレるところも笑える
そして悪の根城に単身潜入するも、薬漬けにされる健さん。実は薬を全部吐いてたオチだが、腑抜けのような姿の健さんが突然シャンとしてカッコよくなって振り向くところは、その時着てるのがビシッとしたスーツだったりするのも相まって、挽歌2のルンさんなど、ジョン・ウー映画の佇まいをそこに見たのだった。
そう思うとマンハントの冒頭シーンは、ジョン・ウーわりと真面目に「君よ憤怒」への愛を語っていたんだな。「あの青い空と君は一つになることができる。」って台詞を引用したり。これは悪役が薬漬けの健さんを自殺させるために命じた台詞だが。日本映画が大好きだったというこれまでのジョン・ウーの発言はリップサービスではなかったらしい
などなど佐藤節を堪能しつつ、君よ憤怒には佐藤監督らしい欠点もある。
新幹線大爆破のようにあまり説明をしないでストーリーは進むのだが、ここでの健さんは人に言えない秘密を抱えているわけではない。
新幹線大爆破は爆弾犯だし、殺人を犯して逃げている山田洋次映画でもないし、いわばヒッチコック映画のジェームズ・スチュアートやケイリー・グラント的な立場の健さんがいつも通り寡黙だと話がさっぱりわからない。
健さんが寡黙なのは仕方ないから、ちゃんと脚本が事件の状況を伝えなければならないのに、それが上手くできていない。
せっかく説明役の原田芳雄がいるのに、彼も性格に難ありで(この映画の原田芳雄の不良っぷりは大好き)事件の全貌を知ってか知らずかちゃんと語らない。
田中邦衛の行動の何故はいまだによくわからんし、人相といい発言といい池部良が黒幕かと思ったら関係なくて終盤に突如現れた西村晃が大ボスだったりするのはおいおいと思うし、健さんにしたってあそこまで逃げなきゃならん理由があるんだろうか
あのグダグダなマンハントの方が実はまだ脚本としては少なくとも観るものが迷子にならないような配慮はあった。
でも健さんが逃亡の果てにを「法で裁けない悪がいることも、法で裁いてはいけない人がいることもわかりました」って言うの、いやー、なんつーかアウトロー健さんここにありと思いました
法を守り法によって人を裁く人間が、法じゃダメだって気づくキャラクターの成長ってすげーな!反骨すぎるよ。
この辺の「君よ憤怒」イズムが、挽歌でホーに銃を渡すキットという描写のバックグラウンドになっているんだ
ストーリーより心意気の映画だね!
悪にハメられた健さん
逃亡者健さん
追うのは原田芳雄の不良刑事
着ぐるみ熊と闘う健さん
戦闘機に狙われる健さん
大都会新宿で健さんを助ける馬の大群
腑抜け顔から男前にくるりと変わる健さん
緊迫するサスペンスと裏腹に馬鹿みたいに明るい音楽がなんだかわからなすぎて凄い
ストーリーより心意気を感じろ
このマインドを継承したのは、日本人監督じゃなかった。ジョン・ウーだった!
----
佐藤純彌監督の訃報を受けて今さらながら初めましての鑑賞
「相変わらずの佐藤節」とFacebookの友達が評しておられましたが、まさにその通り。
これは…「俺が大好きだった佐藤純彌監督作品」の典型例といってもいい映画ではないか。
凄い←→笑い
の狭間で揺れる佐藤節
凄い側に振り切ったのが新幹線大爆破で、笑い側に振り切ったのが野性の証明とするなら、君よ憤怒は両方にバランスよくという印象
ディカプリオが熊と闘う40年も前に健さんは熊と闘っていた!しかも着ぐるみの熊と!
熊に襲われて木にしがみつく中野良子さんのそのつかまり方も可愛らしさが微塵もなく好き
北海道を舞台にした数多くの傑作で知られる健さんだが、意外にも熊と闘ったのはこれだけではないか?(網走番外地シリーズとかそんな観てないから他でも結構闘ってるかもだけど)
セスナで北海道を脱出した健さんを追撃する自衛隊のF104スターファイター戦闘機2機。そのミニチュアワークのジェットから煙出すぎてる感とか、セスナ着水シーンのわかりやすいミニチュアワーク
この時代は洞窟で男女が2人きりになるとセックスする決まりでもあるのかと野村芳太郎の「八つ墓村」を思い出してみたり
そうかと思えば健さんを守るため原田芳雄の刑事の前で全裸になる中野良子さんのキャラクターは佐藤監督作品の「んなわけねーだろ演出」のエロ方面への応用か
そしてジョン・ウーも真似できなかった大新宿西口界隈のお馬さん軍団大暴走。ハリウッドが1億ドルかけた映画でもシュワルツェネッガーが街中で馬一頭走らせただけだったのに、健さんは10頭くらい走らせる!ここは普通にビビった。あんなことしたらすぐ見つかるんじゃないかと思ったら案の定すぐにバレるところも笑える
そして悪の根城に単身潜入するも、薬漬けにされる健さん。実は薬を全部吐いてたオチだが、腑抜けのような姿の健さんが突然シャンとしてカッコよくなって振り向くところは、その時着てるのがビシッとしたスーツだったりするのも相まって、挽歌2のルンさんなど、ジョン・ウー映画の佇まいをそこに見たのだった。
そう思うとマンハントの冒頭シーンは、ジョン・ウーわりと真面目に「君よ憤怒」への愛を語っていたんだな。「あの青い空と君は一つになることができる。」って台詞を引用したり。これは悪役が薬漬けの健さんを自殺させるために命じた台詞だが。日本映画が大好きだったというこれまでのジョン・ウーの発言はリップサービスではなかったらしい
などなど佐藤節を堪能しつつ、君よ憤怒には佐藤監督らしい欠点もある。
新幹線大爆破のようにあまり説明をしないでストーリーは進むのだが、ここでの健さんは人に言えない秘密を抱えているわけではない。
新幹線大爆破は爆弾犯だし、殺人を犯して逃げている山田洋次映画でもないし、いわばヒッチコック映画のジェームズ・スチュアートやケイリー・グラント的な立場の健さんがいつも通り寡黙だと話がさっぱりわからない。
健さんが寡黙なのは仕方ないから、ちゃんと脚本が事件の状況を伝えなければならないのに、それが上手くできていない。
せっかく説明役の原田芳雄がいるのに、彼も性格に難ありで(この映画の原田芳雄の不良っぷりは大好き)事件の全貌を知ってか知らずかちゃんと語らない。
田中邦衛の行動の何故はいまだによくわからんし、人相といい発言といい池部良が黒幕かと思ったら関係なくて終盤に突如現れた西村晃が大ボスだったりするのはおいおいと思うし、健さんにしたってあそこまで逃げなきゃならん理由があるんだろうか
あのグダグダなマンハントの方が実はまだ脚本としては少なくとも観るものが迷子にならないような配慮はあった。
でも健さんが逃亡の果てにを「法で裁けない悪がいることも、法で裁いてはいけない人がいることもわかりました」って言うの、いやー、なんつーかアウトロー健さんここにありと思いました
法を守り法によって人を裁く人間が、法じゃダメだって気づくキャラクターの成長ってすげーな!反骨すぎるよ。
この辺の「君よ憤怒」イズムが、挽歌でホーに銃を渡すキットという描写のバックグラウンドになっているんだ
ストーリーより心意気の映画だね!