【アカデミー賞の結果】
作品 グリーンブック
監督 ROMA
脚本 グリーンブック
脚色 ブラッククランズマン
主女 オリビア・コールマン（女王陛下のお気に入り）
主男 ラミ・マレック （ボヘミアンラプソディー）
助女 レジーナ・キング （ビールストリートの恋人たち）
助男 マハーシャラ・アリ （グリーンブック）
撮影 ROMA
美術 ブラックパンサー
衣装 ブラックパンサー
作曲 ブラックパンサー
歌曲 アリー スター誕生
編集 ボヘミアンラプソディ
音響 ボヘミアンラプソディ
音編 ボヘミアンラプソディ
視覚 ファーストマン
メイ バイス
外国 ROMA
長ア スパイダーマン・スパイダーバース
長ド フリーソロ
----
作品賞は「グリーンブック」で、監督賞にノミネートされずに作品賞を取るという珍しいケースになった。
といっても近年でも「アルゴ」がそのケースに当り、だんだん珍しいことではなくなってきた。
それでももう一つのジンクスは今年も守られた。「編集賞候補にならないと作品賞取れない」
それはさておき、今年も作品賞と監督賞が一致しなかった。10年くらい前までは作品賞と監督賞は大体セットだったのだけど、近年ではむしろ一致しないのがデフォルトになってきている（この7年で不一致は5回）
どうやらこれにはアカデミー賞作品賞の選定方法が変わった事が影響しているらしい。
10年くらい前まで作品賞は単純に投票数の一番多い作品が受賞していた。しかし最近になって作品賞だけノミネートが5つから8つに増え、集計方法も単純な1人一票式ではなくなり、1位が過半数になるまで再計算する方式にしたのだという。
会員はノミネート8作品に1位から8位まで順番をつける。
第一回計算で1位の最多得票作品が過半数を超えていなかった場合、1位の投票数が一番少ない作品を選考対象から除外する。
全会員の順位表からその作品が抜けたぶん、それより下位の作品の順位が1繰り上がる。
それでも1位得票が過半数を超えない場合、次に1位が少ない作品が除外され…を繰り返す
なるほど、だから1位の得票が多い作品より、みんなが2位や3位くらいにつける作品の方が有利になることもあるのかもしれない。
他の部門は単純一票投票形式で決まる。
そうなると監督賞を受賞する作品というのは1位推しの多い作品と言えるのかもしれない。
監督賞と作品賞が別れた場合、監督賞受賞作は1位推しも多いが嫌いだという勢力も一定程度いて、作品賞を取るのはみんなが「嫌いじゃない」という作品なのかもしれない
じゃあ「グリーンブック」はと言えば監督賞で候補になってないから1位推しの人は多くもなかったのかもしれないが、監督賞を受賞したり候補になったりするのは、ハリウッドで好かれていることも重要と思われる
「アルゴ」の時ベン・アフレックが監督賞候補にならなかったのは作品の評価でなく、彼が嫌われていたからという説もある。
そうはいってもメル・ギブソンも監督賞候補になってたりするし、好き嫌いだけでもないのだろう。
「グリーンブック」の監督を、なんせ候補になってなかったもんで知らなかったのだけど、ピーター・ファレリーだったと知って、へえええと少し驚き。
「ミスター・ダマー」とか「メリーに首ったけ」とか完全にコメディの人で、しかもポリコレギリギリの際どいラインのギャグで攻める人でめちゃくちゃ笑えるんだけど、時々笑っていいのか戸惑うような。そんなコメディ作家がアカデミー賞とは、なんかいい時代になったなーと
深刻すぎる映画より、ちょいとゆるい映画の方が平均的なウケは良かったというところかもしれない
でも受賞後、ちらほらと、グリーンブックなんてまた白人が説教くさく差別ダメだよって言う映画だよとかなんとかそんな批判もあるらしいと聞きまして、こういう題材の映画って難しいですね
---
本命視されていた「ROMA」は監督、撮影、外国語映画の3部門に留まったが、そうは言っても3部門とも受賞対象者はアルフォンソ・キュアロンその人で、持ちきれないほどのオスカー像を持ってご満悦だった。
これで脚本、作品もとったら一度に5つのオスカー像で記録だったかもしれない。
キュアロンはアカデミー監督賞を2回取りながら、監督作品が作品賞を取ったことはない不運の人になった。アン・リーもそうだ。おや外国人監督の作品にはちょいと冷たいですか、アカデミー。
監督賞はこの6年間でメキシコ人監督が5回受賞。すごい勢いですね。壁作ってる場合じゃないよ。
撮影賞もとってしまったわけだけど、実力あるカメラマンならあまりやらない、右から左にパンするだけの2次元的なカメラワークが斬新っちゃ斬新で、映画の表現の奥深さを感じつつ、今までのキュアロン映画の手持ちグワングワンワンカット映像は何だったんだ。
「ROMA」が作品賞を取れなかったのは先ほども言った投票システムが不利に働いたこともあるけど、ネット配信目的の映画であることへの拒否感もあったかもしれないし、ハリウッドにも一定数いるであろうトランプ支持者に嫌われた可能性もある。
70年代メキシコ史について説明が何もないので、話がよくわからなかった人もいるだろう（そこ、それほど話とは関係ないのだけど）
だから配信映画が作品賞という新しい扉は開かれなかったけど、「ROMA」という作品が多くの人の記憶に残り続ける傑作であることは間違いない。
----
「ROMA」に持っていかれて私の好きな「万引き家族」は外国語映画賞を逃したけれど、日本人的には映画人追悼コーナーで高畑勲さんと橋本忍さんが紹介されたのが感慨深かったのですが、そのコーナーでスーパーマンでロイス・レインを演じたマーゴット・キダーも紹介されていてだから音楽がジョン・ウィリアムズのスーパーマンの曲なのかと思いました。有名な愛のテーマでなくて、前半の田舎のシーンで使われた曲だけど。
----
最後に私の受賞予想の答え合わせ
21部門中当たったの9
ブラックパンサーが意外と強かったんだよなー
作品 ROMA×
監督 女王陛下のお気に入り×
脚本 女王陛下のお気に入り×
脚色 ビールストリートの恋人たち×
主女 グレン・クローズ （天才作家の妻）×
主男 ラミ・マレック （ボヘミアンラプソディー）○
助女 エイミー・アダムス （バイス）×
助男 マハーシャラ・アリ （グリーンブック）○
撮影 ROMA○
美術 女王陛下のお気に入り×
衣装 女王陛下のお気に入り×
作曲 ビールストリートの恋人たち×
歌曲 アリー スター誕生○
編集 ボヘミアンラプソディ○
音響 ボヘミアンラプソディ○
音編 ボヘミアンラプソディ○
視覚 ファーストマン○
メイ ふたりの女王×
外国 ROMA○
長ア 犬ヶ島×
長ド RBG×
----
作品 グリーンブック
監督 ROMA
脚本 グリーンブック
脚色 ブラッククランズマン
主女 オリビア・コールマン（女王陛下のお気に入り）
主男 ラミ・マレック （ボヘミアンラプソディー）
助女 レジーナ・キング （ビールストリートの恋人たち）
助男 マハーシャラ・アリ （グリーンブック）
撮影 ROMA
美術 ブラックパンサー
衣装 ブラックパンサー
作曲 ブラックパンサー
歌曲 アリー スター誕生
編集 ボヘミアンラプソディ
音響 ボヘミアンラプソディ
音編 ボヘミアンラプソディ
視覚 ファーストマン
メイ バイス
外国 ROMA
長ア スパイダーマン・スパイダーバース
長ド フリーソロ
----
作品賞は「グリーンブック」で、監督賞にノミネートされずに作品賞を取るという珍しいケースになった。
といっても近年でも「アルゴ」がそのケースに当り、だんだん珍しいことではなくなってきた。
それでももう一つのジンクスは今年も守られた。「編集賞候補にならないと作品賞取れない」
それはさておき、今年も作品賞と監督賞が一致しなかった。10年くらい前までは作品賞と監督賞は大体セットだったのだけど、近年ではむしろ一致しないのがデフォルトになってきている（この7年で不一致は5回）
どうやらこれにはアカデミー賞作品賞の選定方法が変わった事が影響しているらしい。
10年くらい前まで作品賞は単純に投票数の一番多い作品が受賞していた。しかし最近になって作品賞だけノミネートが5つから8つに増え、集計方法も単純な1人一票式ではなくなり、1位が過半数になるまで再計算する方式にしたのだという。
会員はノミネート8作品に1位から8位まで順番をつける。
第一回計算で1位の最多得票作品が過半数を超えていなかった場合、1位の投票数が一番少ない作品を選考対象から除外する。
全会員の順位表からその作品が抜けたぶん、それより下位の作品の順位が1繰り上がる。
それでも1位得票が過半数を超えない場合、次に1位が少ない作品が除外され…を繰り返す
なるほど、だから1位の得票が多い作品より、みんなが2位や3位くらいにつける作品の方が有利になることもあるのかもしれない。
他の部門は単純一票投票形式で決まる。
そうなると監督賞を受賞する作品というのは1位推しの多い作品と言えるのかもしれない。
監督賞と作品賞が別れた場合、監督賞受賞作は1位推しも多いが嫌いだという勢力も一定程度いて、作品賞を取るのはみんなが「嫌いじゃない」という作品なのかもしれない
じゃあ「グリーンブック」はと言えば監督賞で候補になってないから1位推しの人は多くもなかったのかもしれないが、監督賞を受賞したり候補になったりするのは、ハリウッドで好かれていることも重要と思われる
「アルゴ」の時ベン・アフレックが監督賞候補にならなかったのは作品の評価でなく、彼が嫌われていたからという説もある。
そうはいってもメル・ギブソンも監督賞候補になってたりするし、好き嫌いだけでもないのだろう。
「グリーンブック」の監督を、なんせ候補になってなかったもんで知らなかったのだけど、ピーター・ファレリーだったと知って、へえええと少し驚き。
「ミスター・ダマー」とか「メリーに首ったけ」とか完全にコメディの人で、しかもポリコレギリギリの際どいラインのギャグで攻める人でめちゃくちゃ笑えるんだけど、時々笑っていいのか戸惑うような。そんなコメディ作家がアカデミー賞とは、なんかいい時代になったなーと
深刻すぎる映画より、ちょいとゆるい映画の方が平均的なウケは良かったというところかもしれない
でも受賞後、ちらほらと、グリーンブックなんてまた白人が説教くさく差別ダメだよって言う映画だよとかなんとかそんな批判もあるらしいと聞きまして、こういう題材の映画って難しいですね
---
本命視されていた「ROMA」は監督、撮影、外国語映画の3部門に留まったが、そうは言っても3部門とも受賞対象者はアルフォンソ・キュアロンその人で、持ちきれないほどのオスカー像を持ってご満悦だった。
これで脚本、作品もとったら一度に5つのオスカー像で記録だったかもしれない。
キュアロンはアカデミー監督賞を2回取りながら、監督作品が作品賞を取ったことはない不運の人になった。アン・リーもそうだ。おや外国人監督の作品にはちょいと冷たいですか、アカデミー。
監督賞はこの6年間でメキシコ人監督が5回受賞。すごい勢いですね。壁作ってる場合じゃないよ。
撮影賞もとってしまったわけだけど、実力あるカメラマンならあまりやらない、右から左にパンするだけの2次元的なカメラワークが斬新っちゃ斬新で、映画の表現の奥深さを感じつつ、今までのキュアロン映画の手持ちグワングワンワンカット映像は何だったんだ。
「ROMA」が作品賞を取れなかったのは先ほども言った投票システムが不利に働いたこともあるけど、ネット配信目的の映画であることへの拒否感もあったかもしれないし、ハリウッドにも一定数いるであろうトランプ支持者に嫌われた可能性もある。
70年代メキシコ史について説明が何もないので、話がよくわからなかった人もいるだろう（そこ、それほど話とは関係ないのだけど）
だから配信映画が作品賞という新しい扉は開かれなかったけど、「ROMA」という作品が多くの人の記憶に残り続ける傑作であることは間違いない。
----
「ROMA」に持っていかれて私の好きな「万引き家族」は外国語映画賞を逃したけれど、日本人的には映画人追悼コーナーで高畑勲さんと橋本忍さんが紹介されたのが感慨深かったのですが、そのコーナーでスーパーマンでロイス・レインを演じたマーゴット・キダーも紹介されていてだから音楽がジョン・ウィリアムズのスーパーマンの曲なのかと思いました。有名な愛のテーマでなくて、前半の田舎のシーンで使われた曲だけど。
----
最後に私の受賞予想の答え合わせ
21部門中当たったの9
ブラックパンサーが意外と強かったんだよなー
作品 ROMA×
監督 女王陛下のお気に入り×
脚本 女王陛下のお気に入り×
脚色 ビールストリートの恋人たち×
主女 グレン・クローズ （天才作家の妻）×
主男 ラミ・マレック （ボヘミアンラプソディー）○
助女 エイミー・アダムス （バイス）×
助男 マハーシャラ・アリ （グリーンブック）○
撮影 ROMA○
美術 女王陛下のお気に入り×
衣装 女王陛下のお気に入り×
作曲 ビールストリートの恋人たち×
歌曲 アリー スター誕生○
編集 ボヘミアンラプソディ○
音響 ボヘミアンラプソディ○
音編 ボヘミアンラプソディ○
視覚 ファーストマン○
メイ ふたりの女王×
外国 ROMA○
長ア 犬ヶ島×
長ド RBG×
----
アクセス
トータル
ランキング
