カナダ映画というより、ケベック映画である本作。そわ、さば、むしゅむしゅ・・・という響きのフランス語でおりなされるドラマ。去年のケベック映画「みなさんさようなら」が佳作だったので、その系統の映画(「映像と音響と芝居の映画」ではなく、「ストーリーと哲学性の映画」)を期待して観に行ったしだいです。
まあ、普通のドラマ。
可も無く不可も無く。
いつもヨガっぽいポーズしてる郵便局勤務の女性がとても美しかった(リュシー・ロリエという女優)。今後アメリカ映画とか、あるいはフランス映画なんかで活躍するかもしれない。
さびれた漁村。工場誘致のためには、医者が住んでいることが条件ということで、訳あって期間限定で島に赴任した医者をあの手この手で騙して島に定住する気にさせようというのが、大まかな筋立て。
シナリオ運びは軽快で、起承転結の起にあたる「医者が来る。騙せ!!」と村民が一致団結していくまでが短時間で描かれる。ここが上手い。
島が漁でにぎわっていたころのテレビCMのようなイメージシーン。スローモーションで漁に向かう男たち、力強い男性ナレーション、たくましい猟師たちへの憧憬をたたえる少年。
一転してひどくさびれた現在の漁村。主要人物たちの性格や家族構成や立場などを適度に描き、島が抱える問題も提示していく。
そして医者が来ることを知るや、いかにして医者を騙すかの作戦を皆で考えていく。ここまでで15分か20分。教科書どおりに作られたようなシナリオだ。
その後も、医者の到着→調子よく騙される医者→工場誘致のための新たな課題(金の工面、人口のごまかし)→医者のプライベートのトラブル→島民の医者への同情→嘘がばれる・・・と、適当な間隔でプロットポイントを迎えて物語が新たなステップへ移っていくと、シナリオ学校のプレゼンテーションに使えそうな内容である。
でも、そんな構成だけでいいストーリーは生まれない。なんらかの意外性が必要なんである。
よそ者を騙す、しかも法を破ることも持さない、という倫理もへったくれもない考えが、気力も希望も失っていた村民たちの一致団結をもたらす、というのがとってもユーモラスだが・・・最終的に「やっぱり嘘は良くない」という当たり前すぎる結論に持っていくのがいただけない。
全編通して、軽快に物語は進んでいくものの、起承転結の起が済んだ後は、想定内の物語が進んでいく。
想定外は、セックスを安息の象徴としている割に、美人のリュシー・ロリエ嬢と医者の間にロマンスが芽生えなかったこと。銀行員がどうも本店の意向無視して勝手に融資を決めてしまったらしいエピソードに、愛郷心>倫理という思想が見えるとこ。さびれた漁村がプラスチック工場の誘致によって復興するのはいいけど、かつてたくましい漁師だった男たちが化学部隊みたいな白衣でのし歩くところに、時代の変化が感じられるとこ
そんなもんでしょうか
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自主映画撮ってます。松本自主映画製作工房 スタジオゆんふぁのHP
まあ、普通のドラマ。
可も無く不可も無く。
いつもヨガっぽいポーズしてる郵便局勤務の女性がとても美しかった(リュシー・ロリエという女優)。今後アメリカ映画とか、あるいはフランス映画なんかで活躍するかもしれない。
さびれた漁村。工場誘致のためには、医者が住んでいることが条件ということで、訳あって期間限定で島に赴任した医者をあの手この手で騙して島に定住する気にさせようというのが、大まかな筋立て。
シナリオ運びは軽快で、起承転結の起にあたる「医者が来る。騙せ!!」と村民が一致団結していくまでが短時間で描かれる。ここが上手い。
島が漁でにぎわっていたころのテレビCMのようなイメージシーン。スローモーションで漁に向かう男たち、力強い男性ナレーション、たくましい猟師たちへの憧憬をたたえる少年。
一転してひどくさびれた現在の漁村。主要人物たちの性格や家族構成や立場などを適度に描き、島が抱える問題も提示していく。
そして医者が来ることを知るや、いかにして医者を騙すかの作戦を皆で考えていく。ここまでで15分か20分。教科書どおりに作られたようなシナリオだ。
その後も、医者の到着→調子よく騙される医者→工場誘致のための新たな課題(金の工面、人口のごまかし)→医者のプライベートのトラブル→島民の医者への同情→嘘がばれる・・・と、適当な間隔でプロットポイントを迎えて物語が新たなステップへ移っていくと、シナリオ学校のプレゼンテーションに使えそうな内容である。
でも、そんな構成だけでいいストーリーは生まれない。なんらかの意外性が必要なんである。
よそ者を騙す、しかも法を破ることも持さない、という倫理もへったくれもない考えが、気力も希望も失っていた村民たちの一致団結をもたらす、というのがとってもユーモラスだが・・・最終的に「やっぱり嘘は良くない」という当たり前すぎる結論に持っていくのがいただけない。
全編通して、軽快に物語は進んでいくものの、起承転結の起が済んだ後は、想定内の物語が進んでいく。
想定外は、セックスを安息の象徴としている割に、美人のリュシー・ロリエ嬢と医者の間にロマンスが芽生えなかったこと。銀行員がどうも本店の意向無視して勝手に融資を決めてしまったらしいエピソードに、愛郷心>倫理という思想が見えるとこ。さびれた漁村がプラスチック工場の誘致によって復興するのはいいけど、かつてたくましい漁師だった男たちが化学部隊みたいな白衣でのし歩くところに、時代の変化が感じられるとこ
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そうですね。あの後なんか起こるんでしょうね
それよりあの美人がなんであんな寒村でヨガやってるのか、過去の方が気になりました
それにしても、かつてたくましい漁師だった男たちが工場で働くほかない、と言う現実も厳しいものですね。
プリンタもパソコンもぼろっちかったので、ブロードバンド世代の都会人は暮らしにくいでしょうね・・・
キャッチ・フレーズに「スローライフ」を使っていたのですが、スローライフの意味を履き違えているような気がしないでもなかったですね。
いい映画はいい映画なんだけど、都会の人に本当に田舎で暮らせるもんでしょうかね。
でも、これは田舎の人間のひがみかな。