僕の彼女を紹介します

「女の子はかわいい」これがこの映画の理念でありテーマであり存在理由だ。シナリオも演出も全て「女の子をかわいく描く」ことに全力投球している。というわけでこの映画は映画づくりの姿勢として共感するところ大であり、すごく好きな映画だ。
映画の目的が「女の子はかわいい」と高らかに宣言することにある以上、主人公となる女の子はめちゃくちゃかわいくなくてはならない。で、主人公を演じるチャン・ジヒョンちゃんだが。ズキューン!!俺のハートは撃ち抜かれちゃったぜ。かわいいーん。(ちょっとあごが二重気味なのが気になりましたが別にいいんです。でも体重管理には気をつけた方がよいでしょう)
かわいい女の子は演技が下手でも、何しても、あるいは何もしなくても許される。だからといってそんな甘えた考えは許されない。監督はかわいい女の子にこれでもかというほどのあらゆるシチュエーションの演技を要求し、おまけに香港映画なみのハードアクションも数シーン用意する。なんたって女の子の役柄は婦警なのだ。
前半の「女の子麻薬取り引き現場に偶然出くわしちゃいましたの巻」では、やや過剰気味ながらやり過ぎに陥らず、バカがやりそうな「スタイリッシュな映像作り」に走らず、アドリブのギャグ入れるようなこともせず、普通に「都会の戦場」を描いた本気臭むんむんのアクションシーン。何するか予測できない危険でミステリアスな女の子の性格を、女の子と手錠で繋がれた男の視点で描く。決まった。このシーンの本気っぷりで俺のこの映画の評価はほぼ固まった。
そうかと思えば、後半。半ば自暴自棄になった女の子が刑事となって道路封鎖を指揮するシーン。ここはシュワ/スタ/セガ/ヴァン映画なみのケレン味全開。ニコリともせず仁王立ちした女の子の背後で火柱を上げる犯人の車。もちろん女の子は振り向きもせず、煽り気味のカメラ&スローモー。
タフなだけではなく、泣く、笑う、喜ぶ、怒る、自殺を計る、彼氏に手製の弁当を持ってくる、彼氏を困らせる、復讐を誓う、奇跡を受け入れるetc.etc.etc.おまけに回想シーンで双子の姉まで登場!!なんだって一本の映画の一人のキャラにこれだけのシチュエーションが用意されるのだ。なれ合いに陥らず、本気で作り込んだ執念のアイドル映画と言える。
「猟奇的な彼女」の監督・主演コンビであり、物語としては「猟奇的…」の方がよくできているが、こちらの方が監督の「お前を俺が大スターにしてみせるよ」的目的意識が前面に押し出されていていい感じである。
後半のファンタジー展開は好みが別れるだろうが、後半の全ては女の子の願望が露になった幻だったのかも・・・と考えれば切なさに胸が締め付けられる。けどそれはもちろん私の深読みである。