これは一映画ファンとしての2017年映画の総括
2017年 劇場鑑賞映画のマイベストテン
1位 『わたしは、ダニエル・ブレイク 』(ケン・ローチ)[英]
2位 『おじいちゃんはデブゴン』 (サモ・ハン)[中]
3位 『セールスマン』 (アスガ―・ファルハディ)[イラン]
4位 『エンドレス・ポエトリー』(アレハンドロ・ホドロフスキー)[チリ]
5位 『沈黙 -サイレンス-』 (マーティン・スコセッシ)[米]
6位 『エル ELLE』 (ポール・ヴァーホーヴェン)[仏]
7位 『スターウォーズ 最後のジェダイ』(ライアン・ジョンソン)[米]
8位 『希望のかなた』(アキ・カウリスマキ)[フィンランド]
9位 『人生タクシー』 (ジャファール・パナヒ)[イラン]
10位 『STOP』 (キム・ギドク)[韓]
次点
『ボン・ボヤージュ~家族旅行は大暴走~』(ニコラ・ブナム)[仏]
『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス』(ジェームズ・ガン)[米]
『水面のあかり』(渡辺シン)[日]
--別格--
『乱』(黒澤明)[日]
『牯嶺街少年殺人事件』(エドワード・ヤン)[台湾]
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何となく、2017年の映画で俺に刺さったのは、
作品を作りあげる事への「執念」を感じるかどうか、
そして
今なぜその映画を作ったのか?!という映画作家の生き様を感じるかどうか
…であった。
---次点作品---
「水面のあかり」(渡辺シン)
「テンロクの恋人」から数年。ついに公開。
「ムーンライト」や「マンチェスター・バイ・ザ・シー」や「メッセージ」より上ってことはないかもしれないが、しかし「執念」をキーワードにした今年の映画ランキングを作成する上で、この作品がこれくらいの位置にいるのがおさまりがいい気がして
脚本、プレプロ、撮影、ポスプロ、上映と、渡辺シン監督が精神も肉体もすり減らしながら作っているのがわかっているので、こうして完成し公開されたことがまず何よりうれしいのだけど、そんな内輪受けな事情とは関係なく、クライマックスの地震と鉄砲水の描写の力強さには、映画にこめた執念がこれでもかとしみついていた。
人はつながっている
ただそれを訴えるためここまで苦労しなくてはならんとは、世界における人間のつながりの希薄さよ
「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス」(ジェームズ・ガン)
「執念」はいったん置いといて、ただ単に面白かった娯楽作を。
傑作なんだけど2017のテーマから外れるので選外にした。
超傑作だった1作目と比べると色々アラが目立ってしまうのだけど、それでも冒頭の踊るベイビーグルートにピンがあって、その奥のピンボケ背景で怪獣と死闘を繰り広げるガーディアンズという最高すぎる長回しと、終盤まさかのサブキャラでしかないと思ってたマイケル・ルーカーの大活躍&泣かせでかなり満足。普通に早く3作目が見たい
「ボン・ヴォヤージュ~家族旅行は大暴走~」(ニコラ・ブナム)
買ったばかりの最新技術満載の車で家族旅行に出かけてみれば、自慢の車は不具合続出で制御不能に。猛スピードでハイウェイを暴走する。
でまた車の中の家族にもあれやこれやの問題が噴出し、家族は崩壊の危機に
なんといってもCGなどほとんど使わず、スタントで表現する根性が素晴らしい
色々とやりすぎな映画であるが、やり過ぎずに綺麗にまとめた映画(アカデミー賞候補系映画)より、やり過ぎちゃった感のある映画の方が好きで、このあとのベスト10各作品はいろんな意味でのやり過ぎ映画ではないかと思う
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10位「STOP」(キム・ギドク)
執念というキーワードのふさわしい映画
メジャーではなく自主を目指したキムギドク。ぶっちゃけカメラマンとしてはあまり上手ではなく、シャッタースピードの設定の問題か蛍光灯の明かりの点滅が気になったりする。
でも映画監督にとって大切なのはどう撮るかではなく、何を撮るか、さらにいえば何故撮るかだ
メジャーでは撮れない映画こそ撮りたいという強いこだわり
原発事故の描き方としてリアリティは全くないし、リアリティを脇に置いたとしてもあれでいいのか、寓話化することが果たして原発を題材とする上で正しいことなのか、そこに異論や批判もあるだろう。とはいえ本来映画作家は自由であるべきではないか。作品への批判はあって然るべきとしても、作る自由が制限されてはならない。とはいうものの自己表現とか芸術であると同時に、商品でありコンテンツであるのも悲しいことに映画の現実だ。そんな現実への映画作家キム・ギドクの反抗ともとれる自主映画としての原発映画。送電鉄塔を倒して電気止めるなんて、そんなバカバカしい発想、これぞ映画作家がいろんなものを犠牲にしてまで手に入れた自由の証だ。
たった一人で制作から録音まで行い、iPhoneの翻訳アプリで日本人キャストとコミュニケーションをとって作り上げた、まさに執念の作品。
脚本的には原発云々のところより、なんでまたあんな男とくっつくのかそのへんのヒロインの気持ちが理解できないところは気になるが・・・
そして映画と関係ないけど、セクハラはいかんよ、キム・ギドク監督
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9位「人生タクシー」(ジャファール・パナヒ)
これもまた映画作家の執念
政府から映画を作ることを禁止されたパナヒ監督が、これならバレないだろうって作った車載カメラのみによる映画。
カメラは決してタクシーの外に出ない。監督は自らタクシー運転手役として主演も兼ねる。車載カメラは乗り合いタクシーに乗ってくる客の姿を通して、イランの社会を描き出す。それでいて最後は映画の素晴らしさ、映画への愛を語り、映画賛歌という着地点にピタリと降下。おまけにラストシーンの落ちの付け方も完璧。
どんな状況でも映画は撮れるってことを映画愛とともに語りきった心から愛すべき作品だ
日本では今のところ政府による検閲はないし、概ね自由に映画は作れるけど、秘密保護法、共謀罪、立憲主義の軽視と着実に映画作家にとって悪い方向へと向かっている。何年か後にはこの映画は他人事で無くなっているかもしれない。
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8位「希望のかなた」(アキ・カウリスマキ)
フィンランドの誇る巨匠アキ・カウリスマキ、これまでいくつか作品も観てきたが、正直言うとそんなに面白いとは思わなかった。
でもそれは自分がカウリスマキの良さに気づかなかっただけだったに違いない。「希望のかなた」で観たのは映画ならではの表現の数々を放棄しながらも紛れもなく映画でしか作り得ない世界の創世であった。これは別に今回特にうまくいったわけでなく、小津のようにずっと変わらないカウリスマキ調に他ならない。
それでもやはり、この作品に惹きつけるものがあるとすれば、やはり難民問題という「今訴えたいこと」を、静かに(いつも通りに)伝えているからではないか。カウリスマキ独特の無表情芝居もシリアやイラクの難民がすると途端に苦しみと悲しみが刻み込まれたように見えるし、一方でフィンランド人たちの単に面白いだけの無表情との対比が生まれて、ユーモアと社会問題の完璧な調和のように思えた。
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7位「スター・ウォーズ 最後のジェダイ」(ライアン・ジョンソン)
まさかスター・ウォーズをマイベストに入れる年が来ようとは。いまさらこんなにスター・ウォーズに感動することがあろうとは…
俺のスターウォーズは「ジェダイの復讐」(帰還じゃなくて復讐)でルークを見つめるヨーダとオビワンとアナキン(ヘイデンじゃなくてセバスチャン・ショー)の霊魂が見つめる場面で終わっていた。
「ファントムメナス」にはげしく失望し、「クローンの攻撃」は最後ヨーダが強かったところ除いて延々つまらなく、「シスの復讐」はまあまあ面白かったけど、そして「フォースの覚醒」初公開時の批評ではやや遠慮気味に書いてたけど、まあ酷かった。
しかしスピンオフの「ローグ・ワン」は、お、イイねって思い、「最後のジェダイ」は熱く感動してしまった。
脚本的なアラは多すぎて突っ込み始めたら一晩中でも喋れそうなんだけど、そんな欠点を遥かに凌駕するルーク・スカイウォーカーの生き様。冒険に憧れる真っ直ぐな青年だったころの目も残しつつ伝説のジェダイとして威厳も醸す(キングスマンでオーラゼロで出てきた時には恐ろしく不安になったが)。
ルークは俺とともに生きてきた。ヒーローというより俺自身の投影のように思える。そうだよな、マーク・ハミルってハリソン・フォードと違ってスターウォーズのイメージしかないから、役者本人の人間性よりも、ルーク・スカイウォーカーとしての人間性の方が強く出るんだ。「最後のジェダイ」はスターウォーズとルークという奇跡が生んだ感動なんだ。
ルーク・スカイウォーカーであり続けたマーク・ハミルと、王女レイアであり続けたキャリー・フィッシャーの2人の総括としても感慨深い
というわけでマーク・ハミルは2017年の俺的主演男優賞で
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6位「エル ELLE」(ポール・ヴァーホーベン)
ヴァーホーベンにとって男も女も子どもも大人も老人も変わらない
飯食ってクソしてセックスして殴れば痛がり血を流し過ぎたら死ぬ、人間なんてそれだけの存在でしかないのに、人間は強欲で、それゆえ愚かで哀れだ。
とは言え彼は明らかに女が好きだ。おもちゃではなく畏怖すべき存在として
だから相対的に男の愚かと哀れが際立つ。
ふとベルイマンの映画のヒロインたち、聖なる狂女を思い出す。「エル」が宗教色の強い映画だからかもしれない。
ベルイマン映画のヒロインたちはまともな世界の中で、聖なるがゆえに崩壊していく。
一方でヴァーホ映画のヒロインたちは世界の方を崩壊させていくような強さと恐ろしさがある。
ベルイマン映画は沈黙する神に届かぬ叫びで、ヴァーホ映画はむしろ神を沈黙させるのだ。
などと深そうなこと書いたけど、とにかく徹底的に面白く全ての価値観をぶっ壊すようなパワフルなサスペンス映画だ。
そんな圧倒的なイザベル・ユペール姐さんは2017年の俺的主演女優賞。
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5位「沈黙-サイレンス-」(マーティン・スコセッシ)
神の沈黙つながりでこの並びに
こちらは神を除いて、全世界の誰にも永遠に理解されなくても、一人黙々と信念を貫く男の話。そう思うとクローネンバーグの「デッド・ゾーン」を少し思い出す。
教会の教えには背き、裏切り者として後世に汚名を残してでも、自分の信じる神の道を進む姿。
何万という信徒たちの希望の灯となることよりも、目の前の数人を助ける事もまた正しいことだと、思っていたら「最後のジェダイ」のローズの姿がだぶってきた。
ともかく宗教的な価値観が分からない俺でも、この主人公の姿は容易に現実世界の様々な場面に置き換え得るので、普遍的な物語だと思う。
そして原作よりもむしろ映画で説得力を持ち得た、などと書くと遠藤周作ファンに怒られるかもしれないけど、俺は「沈黙」は映画が原作に勝った珍しい例の一つだと思う。
そんなことより、2017年の今スコセッシがなんで「沈黙」を撮ったのか。世界でも稀なくらい比較的自由に題材を選べそうなスコセッシが。自分の映画作家のキャリアのまとめに入ろうとしているのでは。かつて「最後の誘惑」を撮ったスコセッシはやっぱり今でも神と死と信念を描きたかったのだ。
余談だが、日本題材をいいことに「雨月物語」をパクったショットをしれっと突っ込むシネフィルっぷりに、「好きな映画をパクるの全然良いんだ!」と変な自信をもらい、今撮ってる映画でちょこちょこパクリショットを撮っている。
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4位 「エンドレス・ポエトリー」(アレハンドロ・ホドロフスキー)
フェリーニ以来の「自分語りの巨匠」の地位を築きつつあるアレハンドロ・ホドロフスキーの自伝映画。
クリストファー・ドイルの撮影で前作より格段に「映画っぽく」なったが、それでも「あのドイル」の個性よりホドロフスキーの個性の方が圧倒的に強くて、やはりホドロフスキーの画になっているところが凄い。
スコセッシ以上に自分の総括に執念を燃やすホドロフスキー
自伝とは言えないくらい凄まじく脚色やデフォルメはされている。でも心を揺さぶるのはホドロフスキー本人が登場して、自身の過去を美化改ざんする過程を刻みつけるところだ。無かった愛を映画で取り戻す。父とキスをする美化し過ぎた別れが、涙を誘う。
きっと続編作るのだろう。次はパリ編か。その次は映画監督デビュー編か。もしかしたらデューン挫折編を撮って、撮られなかったデューンを再現してくれるかも、なんて期待も。
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3位「セールスマン」(アスガー・ファルハデイ)
悲しい偶然が生んだ一件の暴行事件はイラン社会の事情や問題点を垣間見せると同時に、正義とか愛とかの意味も問いかけてくる。
「今この映画を撮る意味」がヒシヒシと伝わりつつも普遍的な物語となっている。
ハードボイルド映画的な孤独な犯人探しの面白さ。犯人の意外さ。復讐や報復を抑えられない気持ちと、何も生み出さない無意味さ。主人公は愛する妻のため、犯人は愛する家族のため、葛藤が葛藤を呼ぶ重厚なドラマ。
2017年最もドラマとしてビリビリと来た作品。2017年の俺的脚本賞。
ついに犯人捕まえたけど、舞台に穴開けられないからとりあえず監禁して出演舞台に向かうのが、なんとも面白い。役者ならわかるよね。
2位「おじいちゃんはデブゴン」(サモ・ハン)
デブは欠点じゃない、武器だ。
デブで孤独で貧乏で認知症のじいさんが、近所の仲良しの女の子を救うため、あやふやな記憶と確かな愛と染み付いた格闘スキルで、町のヤクザ数十人をたった一人で全滅させ、そのついでにたまたま出くわした元ロシア軍特殊部隊の殺し屋チームまで全滅させる話。しかも本人は自分が起こした惨劇を全く覚えていない、
リアリティも重厚なドラマも社会性も哲学もなんもかも一人の強いデブが押し潰し粉々にする。
なんなんだよサモ・ハン監督。元サモ・ハン・キンポー。圧倒的だよ。
ストーリーがよくわからんというか物語なんか破綻してて、全く関係ないアクションシーンに異様に力入れたりメチャクチャなんだけど、でも物凄く面白い。そこには香港でアクション馬鹿として駆け抜けて来た自負がある。
これもある意味自分総括の映画だ。老人たちが改めて自分を見直す映画が、しびれるんだなー
映画って理屈じゃないんだなあ。
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1位「わたしは、ダニエル・ブレイク」(ケン・ローチ)
イギリス労働階級映画界の巨匠ケン・ローチがどストレートに社会に吠えた映画。
貧困問題について声の限りに叫ぶ。泣けば名作って考えには同意しないが、この作品はここ10年くらいで一番泣いた。号泣に近いくらい中盤以降随所で泣いた。
デブゴンもそうだけど、その映画にとって大切なものを突き詰めていくとシンプルになるんだ。
最近の映画はあまりに「今それを作る理由」が見えてこないものが多い(特に日本映画)。べつに理由がなきゃダメってわけではないけど、作家が何かに突き動かされるようにして作った映画は強い。その「いま」をすぎてもなお、強い力を持ち続けるのはチャップリンや黒澤の映画からも明らかだ。ケン・ローチは明確な意識を持って作った。黙っていられなかった、いま叫ばねばならないと思った。
人と向き合わずに、規則と数字とインターネットとしか向き合わない社会に、声の限りに吠えたかった。
主人公のキャラクター的には邦題は「俺はダニエルブレイク!」の方があっているんだけど、そんな公共施設への落書きは、「狼たちの午後」のアル・パチーノの演説並みに「よう言った!」と喝采を送りたくなる、渾身の名シーンになっている
人の幸福は人とちゃんと向き合うところから始まる。
ありがとうケン・ローチ監督。生涯心に響き続けるような魂の叫びを上げてくれて
何のために映画を撮って来たのか、ケン・ローチなりのアンサーでもある。
やっぱりまとめると映画を撮る意味と執念と生き様が2017年のテーマだった
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俺的2017年映画個人賞
監督賞 サモ・ハン(おじいちゃんはデブゴン)
脚本賞 アスガー・ファルハデイ(セールスマン)
作曲賞 ジェームズ・ホーナー&サイモン・フラングレン(マグニフィセント・セブン)
男優賞 マーク・ハミル(最後のジェダイ)
ノミネート:
サモ・ハン(おじいちゃんはデブゴン)
デイブ・ジョーンズ(わたしは、ダニエル・ブレイク)
ケイシー・アフレック(マンチェスター・バイ・ザ・シー)
マイケル・ルーカー(ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス)
女優賞 イザベル・ユペール(エル)
ノミネート:
パメラ・フローレス(エンドレス・ポエトリー)
エイミー・アダムス(メッセージ)
ミシェル・ウィリアムズ(マンチェスター・バイ・ザ・シー)
ヘイリー・スクワイアーズ(わたしは、ダニエル・ブレイク)
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2017年鑑賞全作品一覧(全43作品)
◾︎◾︎◾︎◾︎◾︎◾︎→生涯ベスト級
◾︎◾︎◾︎◾︎◾︎◽︎→年間ベスト級
◾︎◾︎◾︎◾︎◽︎◽︎→かなり面白かった
◾︎◾︎◾︎◽︎◽︎◽︎→まあまあ
◾︎◾︎◽︎◽︎◽︎◽︎→つまんなかった
◾︎◽︎◽︎◽︎◽︎◽︎→…
◾︎◾︎◾︎◾︎◾︎◾︎ 牯嶺街少年殺人事件(エドワード・ヤン)
◾︎◾︎◾︎◾︎◾︎◾︎ 乱 (黒澤明)
◾︎◾︎◾︎◾︎◾︎◾︎ わたしは、ダニエル・ブレイク(ケン・ローチ)
◾︎◾︎◾︎◾︎◾︎◽︎ エル (ポール・ヴァーホーベン)
◾︎◾︎◾︎◾︎◾︎◽︎ おじいちゃんはデブゴン(サモ・ハン)
◾︎◾︎◾︎◾︎◾︎◽︎ ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス(ジェームズ・ガン)
◾︎◾︎◾︎◾︎◾︎◽︎ 希望のかなた(アキ・カウリスマキ)
◾︎◾︎◾︎◾︎◾︎◽︎ 人生タクシー(ジャファル・パナヒ)
◾︎◾︎◾︎◾︎◾︎◽︎ スター・ウォーズ 最後のジェダイ(ライアン・ジョンソン)
◾︎◾︎◾︎◾︎◾︎◽︎ STOP (キム・ギドク)
◾︎◾︎◾︎◾︎◾︎◽︎ セールスマン(アスガー・ファルハディ)
◾︎◾︎◾︎◾︎◾︎◽︎ 沈黙-サイレンス-(マーティン・スコセッシ)
◾︎◾︎◾︎◾︎◾︎◽︎ ボン・ボヤージュ 家族旅行は大暴走(ニコラ・ブナム)
◾︎◾︎◾︎◾︎◽︎◽︎ 写真家ソール・ライター 急がない人生で見つけた13のこと(トーマス・リーチ)
◾︎◾︎◾︎◾︎◽︎◽︎ 水面のあかり(渡辺シン)
◾︎◾︎◾︎◾︎◽︎◽︎ スプリット(M.ナイト・シャマラン)
◾︎◾︎◾︎◾︎◽︎◽︎ たかが世界の終わり(グザビエ・ドラン)
◾︎◾︎◾︎◾︎◽︎◽︎ はじまりへの旅(マット・ロス)
◾︎◾︎◾︎◾︎◽︎◽︎ ブラッド・ファーザー(ジャン=フランソワ・リシェ)
◾︎◾︎◾︎◾︎◽︎◽︎ マグニフィセント・セブン(アントワン・フークワ)
◾︎◾︎◾︎◾︎◽︎◽︎ マンチェスター・バイ・ザ・シー(ケネス・ロナガン)
◾︎◾︎◾︎◾︎◽︎◽︎ ムーンライト(バリー・ジェンキンス)
◾︎◾︎◾︎◾︎◽︎◽︎ メッセージ (ドゥニ・ヴィルヌーヴ)
◾︎◾︎◾︎◽︎◽︎◽︎ ハクソー・リッジ(メル・ギブソン)
◾︎◾︎◾︎◽︎◽︎◽︎ ブレード・ランナー 2049 (ドゥニ・ヴィルヌーヴ)
◾︎◾︎◾︎◽︎◽︎◽︎ マスタードチョコレート(笹木彰人)
◾︎◾︎◾︎◽︎◽︎◽︎ ラ・ラ・ランド (デミアン・チャゼル)
◾︎◾︎◽︎◽︎◽︎◽︎ ホワイトリリー(中田秀夫)
◾︎◾︎◽︎◽︎◽︎◽︎ ワンダーウーマン(パティ・ジェンキンス)
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第9回商店街映画祭ALWAYS松本の夕日
・替わり目(木川剛志)
・MISSION in Matsumoto(信州大学付属中学校3年D組)
・私以外の人(谷口雄一郎)
・商店ガイレンジャー(佐藤広一)
・楽々園物語〜80年目のぼくらの町で〜(佐々木宏一)
・ピグマリオン(笹木彰人)
・私が発芽する日(野本梢)
・ゴーストゴイスト(木場明義)
第8回ラブストーリー映画祭
・トオリ雨(稲田眞幹)
・2085年、恋愛消滅。(荒木 憲司)
・受胎告知 (竹本祥乃)
・わたしが発芽する日 (野本梢)
・Rouge (高山隆一)
・また会う日まで (岡部哲也)
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そんなこんなで、2018年も素晴らしい映画との出会いが皆さんにありますように。
そして願わくば、今撮ってる映画が誰かのベストテンに入りますように、がんばろ。
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【ALIQOUI film 作品紹介】
撮影快調
『Imperfect World』
古本恭一監督と共同監督
2018年夏完成予定
『唯一、すべて』
2016年作品45分
映画「唯一、すべて」予告編
制作 ALIQOUI film
監督・脚本 齋藤新
撮影・制作 齋藤さやか
音楽 横内究
出演 小林郁香、安藤由梨江、宮本敏和
第8回ラブストーリー映画祭入選
うえだ城下町映画祭ノミネート
日本芸術センター映像グランプリノミネート
2017年 劇場鑑賞映画のマイベストテン
1位 『わたしは、ダニエル・ブレイク 』(ケン・ローチ)[英]
2位 『おじいちゃんはデブゴン』 (サモ・ハン)[中]
3位 『セールスマン』 (アスガ―・ファルハディ)[イラン]
4位 『エンドレス・ポエトリー』(アレハンドロ・ホドロフスキー)[チリ]
5位 『沈黙 -サイレンス-』 (マーティン・スコセッシ)[米]
6位 『エル ELLE』 (ポール・ヴァーホーヴェン)[仏]
7位 『スターウォーズ 最後のジェダイ』(ライアン・ジョンソン)[米]
8位 『希望のかなた』(アキ・カウリスマキ)[フィンランド]
9位 『人生タクシー』 (ジャファール・パナヒ)[イラン]
10位 『STOP』 (キム・ギドク)[韓]
次点
『ボン・ボヤージュ~家族旅行は大暴走~』(ニコラ・ブナム)[仏]
『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス』(ジェームズ・ガン)[米]
『水面のあかり』(渡辺シン)[日]
--別格--
『乱』(黒澤明)[日]
『牯嶺街少年殺人事件』(エドワード・ヤン)[台湾]
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何となく、2017年の映画で俺に刺さったのは、
作品を作りあげる事への「執念」を感じるかどうか、
そして
今なぜその映画を作ったのか?!という映画作家の生き様を感じるかどうか
…であった。
---次点作品---
「水面のあかり」(渡辺シン)
「テンロクの恋人」から数年。ついに公開。
「ムーンライト」や「マンチェスター・バイ・ザ・シー」や「メッセージ」より上ってことはないかもしれないが、しかし「執念」をキーワードにした今年の映画ランキングを作成する上で、この作品がこれくらいの位置にいるのがおさまりがいい気がして
脚本、プレプロ、撮影、ポスプロ、上映と、渡辺シン監督が精神も肉体もすり減らしながら作っているのがわかっているので、こうして完成し公開されたことがまず何よりうれしいのだけど、そんな内輪受けな事情とは関係なく、クライマックスの地震と鉄砲水の描写の力強さには、映画にこめた執念がこれでもかとしみついていた。
人はつながっている
ただそれを訴えるためここまで苦労しなくてはならんとは、世界における人間のつながりの希薄さよ
「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス」(ジェームズ・ガン)
「執念」はいったん置いといて、ただ単に面白かった娯楽作を。
傑作なんだけど2017のテーマから外れるので選外にした。
超傑作だった1作目と比べると色々アラが目立ってしまうのだけど、それでも冒頭の踊るベイビーグルートにピンがあって、その奥のピンボケ背景で怪獣と死闘を繰り広げるガーディアンズという最高すぎる長回しと、終盤まさかのサブキャラでしかないと思ってたマイケル・ルーカーの大活躍&泣かせでかなり満足。普通に早く3作目が見たい
「ボン・ヴォヤージュ~家族旅行は大暴走~」(ニコラ・ブナム)
買ったばかりの最新技術満載の車で家族旅行に出かけてみれば、自慢の車は不具合続出で制御不能に。猛スピードでハイウェイを暴走する。
でまた車の中の家族にもあれやこれやの問題が噴出し、家族は崩壊の危機に
なんといってもCGなどほとんど使わず、スタントで表現する根性が素晴らしい
色々とやりすぎな映画であるが、やり過ぎずに綺麗にまとめた映画(アカデミー賞候補系映画)より、やり過ぎちゃった感のある映画の方が好きで、このあとのベスト10各作品はいろんな意味でのやり過ぎ映画ではないかと思う
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10位「STOP」(キム・ギドク)
執念というキーワードのふさわしい映画
メジャーではなく自主を目指したキムギドク。ぶっちゃけカメラマンとしてはあまり上手ではなく、シャッタースピードの設定の問題か蛍光灯の明かりの点滅が気になったりする。
でも映画監督にとって大切なのはどう撮るかではなく、何を撮るか、さらにいえば何故撮るかだ
メジャーでは撮れない映画こそ撮りたいという強いこだわり
原発事故の描き方としてリアリティは全くないし、リアリティを脇に置いたとしてもあれでいいのか、寓話化することが果たして原発を題材とする上で正しいことなのか、そこに異論や批判もあるだろう。とはいえ本来映画作家は自由であるべきではないか。作品への批判はあって然るべきとしても、作る自由が制限されてはならない。とはいうものの自己表現とか芸術であると同時に、商品でありコンテンツであるのも悲しいことに映画の現実だ。そんな現実への映画作家キム・ギドクの反抗ともとれる自主映画としての原発映画。送電鉄塔を倒して電気止めるなんて、そんなバカバカしい発想、これぞ映画作家がいろんなものを犠牲にしてまで手に入れた自由の証だ。
たった一人で制作から録音まで行い、iPhoneの翻訳アプリで日本人キャストとコミュニケーションをとって作り上げた、まさに執念の作品。
脚本的には原発云々のところより、なんでまたあんな男とくっつくのかそのへんのヒロインの気持ちが理解できないところは気になるが・・・
そして映画と関係ないけど、セクハラはいかんよ、キム・ギドク監督
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9位「人生タクシー」(ジャファール・パナヒ)
これもまた映画作家の執念
政府から映画を作ることを禁止されたパナヒ監督が、これならバレないだろうって作った車載カメラのみによる映画。
カメラは決してタクシーの外に出ない。監督は自らタクシー運転手役として主演も兼ねる。車載カメラは乗り合いタクシーに乗ってくる客の姿を通して、イランの社会を描き出す。それでいて最後は映画の素晴らしさ、映画への愛を語り、映画賛歌という着地点にピタリと降下。おまけにラストシーンの落ちの付け方も完璧。
どんな状況でも映画は撮れるってことを映画愛とともに語りきった心から愛すべき作品だ
日本では今のところ政府による検閲はないし、概ね自由に映画は作れるけど、秘密保護法、共謀罪、立憲主義の軽視と着実に映画作家にとって悪い方向へと向かっている。何年か後にはこの映画は他人事で無くなっているかもしれない。
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8位「希望のかなた」(アキ・カウリスマキ)
フィンランドの誇る巨匠アキ・カウリスマキ、これまでいくつか作品も観てきたが、正直言うとそんなに面白いとは思わなかった。
でもそれは自分がカウリスマキの良さに気づかなかっただけだったに違いない。「希望のかなた」で観たのは映画ならではの表現の数々を放棄しながらも紛れもなく映画でしか作り得ない世界の創世であった。これは別に今回特にうまくいったわけでなく、小津のようにずっと変わらないカウリスマキ調に他ならない。
それでもやはり、この作品に惹きつけるものがあるとすれば、やはり難民問題という「今訴えたいこと」を、静かに(いつも通りに)伝えているからではないか。カウリスマキ独特の無表情芝居もシリアやイラクの難民がすると途端に苦しみと悲しみが刻み込まれたように見えるし、一方でフィンランド人たちの単に面白いだけの無表情との対比が生まれて、ユーモアと社会問題の完璧な調和のように思えた。
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7位「スター・ウォーズ 最後のジェダイ」(ライアン・ジョンソン)
まさかスター・ウォーズをマイベストに入れる年が来ようとは。いまさらこんなにスター・ウォーズに感動することがあろうとは…
俺のスターウォーズは「ジェダイの復讐」(帰還じゃなくて復讐)でルークを見つめるヨーダとオビワンとアナキン(ヘイデンじゃなくてセバスチャン・ショー)の霊魂が見つめる場面で終わっていた。
「ファントムメナス」にはげしく失望し、「クローンの攻撃」は最後ヨーダが強かったところ除いて延々つまらなく、「シスの復讐」はまあまあ面白かったけど、そして「フォースの覚醒」初公開時の批評ではやや遠慮気味に書いてたけど、まあ酷かった。
しかしスピンオフの「ローグ・ワン」は、お、イイねって思い、「最後のジェダイ」は熱く感動してしまった。
脚本的なアラは多すぎて突っ込み始めたら一晩中でも喋れそうなんだけど、そんな欠点を遥かに凌駕するルーク・スカイウォーカーの生き様。冒険に憧れる真っ直ぐな青年だったころの目も残しつつ伝説のジェダイとして威厳も醸す(キングスマンでオーラゼロで出てきた時には恐ろしく不安になったが)。
ルークは俺とともに生きてきた。ヒーローというより俺自身の投影のように思える。そうだよな、マーク・ハミルってハリソン・フォードと違ってスターウォーズのイメージしかないから、役者本人の人間性よりも、ルーク・スカイウォーカーとしての人間性の方が強く出るんだ。「最後のジェダイ」はスターウォーズとルークという奇跡が生んだ感動なんだ。
ルーク・スカイウォーカーであり続けたマーク・ハミルと、王女レイアであり続けたキャリー・フィッシャーの2人の総括としても感慨深い
というわけでマーク・ハミルは2017年の俺的主演男優賞で
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6位「エル ELLE」(ポール・ヴァーホーベン)
ヴァーホーベンにとって男も女も子どもも大人も老人も変わらない
飯食ってクソしてセックスして殴れば痛がり血を流し過ぎたら死ぬ、人間なんてそれだけの存在でしかないのに、人間は強欲で、それゆえ愚かで哀れだ。
とは言え彼は明らかに女が好きだ。おもちゃではなく畏怖すべき存在として
だから相対的に男の愚かと哀れが際立つ。
ふとベルイマンの映画のヒロインたち、聖なる狂女を思い出す。「エル」が宗教色の強い映画だからかもしれない。
ベルイマン映画のヒロインたちはまともな世界の中で、聖なるがゆえに崩壊していく。
一方でヴァーホ映画のヒロインたちは世界の方を崩壊させていくような強さと恐ろしさがある。
ベルイマン映画は沈黙する神に届かぬ叫びで、ヴァーホ映画はむしろ神を沈黙させるのだ。
などと深そうなこと書いたけど、とにかく徹底的に面白く全ての価値観をぶっ壊すようなパワフルなサスペンス映画だ。
そんな圧倒的なイザベル・ユペール姐さんは2017年の俺的主演女優賞。
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5位「沈黙-サイレンス-」(マーティン・スコセッシ)
神の沈黙つながりでこの並びに
こちらは神を除いて、全世界の誰にも永遠に理解されなくても、一人黙々と信念を貫く男の話。そう思うとクローネンバーグの「デッド・ゾーン」を少し思い出す。
教会の教えには背き、裏切り者として後世に汚名を残してでも、自分の信じる神の道を進む姿。
何万という信徒たちの希望の灯となることよりも、目の前の数人を助ける事もまた正しいことだと、思っていたら「最後のジェダイ」のローズの姿がだぶってきた。
ともかく宗教的な価値観が分からない俺でも、この主人公の姿は容易に現実世界の様々な場面に置き換え得るので、普遍的な物語だと思う。
そして原作よりもむしろ映画で説得力を持ち得た、などと書くと遠藤周作ファンに怒られるかもしれないけど、俺は「沈黙」は映画が原作に勝った珍しい例の一つだと思う。
そんなことより、2017年の今スコセッシがなんで「沈黙」を撮ったのか。世界でも稀なくらい比較的自由に題材を選べそうなスコセッシが。自分の映画作家のキャリアのまとめに入ろうとしているのでは。かつて「最後の誘惑」を撮ったスコセッシはやっぱり今でも神と死と信念を描きたかったのだ。
余談だが、日本題材をいいことに「雨月物語」をパクったショットをしれっと突っ込むシネフィルっぷりに、「好きな映画をパクるの全然良いんだ!」と変な自信をもらい、今撮ってる映画でちょこちょこパクリショットを撮っている。
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4位 「エンドレス・ポエトリー」(アレハンドロ・ホドロフスキー)
フェリーニ以来の「自分語りの巨匠」の地位を築きつつあるアレハンドロ・ホドロフスキーの自伝映画。
クリストファー・ドイルの撮影で前作より格段に「映画っぽく」なったが、それでも「あのドイル」の個性よりホドロフスキーの個性の方が圧倒的に強くて、やはりホドロフスキーの画になっているところが凄い。
スコセッシ以上に自分の総括に執念を燃やすホドロフスキー
自伝とは言えないくらい凄まじく脚色やデフォルメはされている。でも心を揺さぶるのはホドロフスキー本人が登場して、自身の過去を美化改ざんする過程を刻みつけるところだ。無かった愛を映画で取り戻す。父とキスをする美化し過ぎた別れが、涙を誘う。
きっと続編作るのだろう。次はパリ編か。その次は映画監督デビュー編か。もしかしたらデューン挫折編を撮って、撮られなかったデューンを再現してくれるかも、なんて期待も。
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3位「セールスマン」(アスガー・ファルハデイ)
悲しい偶然が生んだ一件の暴行事件はイラン社会の事情や問題点を垣間見せると同時に、正義とか愛とかの意味も問いかけてくる。
「今この映画を撮る意味」がヒシヒシと伝わりつつも普遍的な物語となっている。
ハードボイルド映画的な孤独な犯人探しの面白さ。犯人の意外さ。復讐や報復を抑えられない気持ちと、何も生み出さない無意味さ。主人公は愛する妻のため、犯人は愛する家族のため、葛藤が葛藤を呼ぶ重厚なドラマ。
2017年最もドラマとしてビリビリと来た作品。2017年の俺的脚本賞。
ついに犯人捕まえたけど、舞台に穴開けられないからとりあえず監禁して出演舞台に向かうのが、なんとも面白い。役者ならわかるよね。
2位「おじいちゃんはデブゴン」(サモ・ハン)
デブは欠点じゃない、武器だ。
デブで孤独で貧乏で認知症のじいさんが、近所の仲良しの女の子を救うため、あやふやな記憶と確かな愛と染み付いた格闘スキルで、町のヤクザ数十人をたった一人で全滅させ、そのついでにたまたま出くわした元ロシア軍特殊部隊の殺し屋チームまで全滅させる話。しかも本人は自分が起こした惨劇を全く覚えていない、
リアリティも重厚なドラマも社会性も哲学もなんもかも一人の強いデブが押し潰し粉々にする。
なんなんだよサモ・ハン監督。元サモ・ハン・キンポー。圧倒的だよ。
ストーリーがよくわからんというか物語なんか破綻してて、全く関係ないアクションシーンに異様に力入れたりメチャクチャなんだけど、でも物凄く面白い。そこには香港でアクション馬鹿として駆け抜けて来た自負がある。
これもある意味自分総括の映画だ。老人たちが改めて自分を見直す映画が、しびれるんだなー
映画って理屈じゃないんだなあ。
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1位「わたしは、ダニエル・ブレイク」(ケン・ローチ)
イギリス労働階級映画界の巨匠ケン・ローチがどストレートに社会に吠えた映画。
貧困問題について声の限りに叫ぶ。泣けば名作って考えには同意しないが、この作品はここ10年くらいで一番泣いた。号泣に近いくらい中盤以降随所で泣いた。
デブゴンもそうだけど、その映画にとって大切なものを突き詰めていくとシンプルになるんだ。
最近の映画はあまりに「今それを作る理由」が見えてこないものが多い(特に日本映画)。べつに理由がなきゃダメってわけではないけど、作家が何かに突き動かされるようにして作った映画は強い。その「いま」をすぎてもなお、強い力を持ち続けるのはチャップリンや黒澤の映画からも明らかだ。ケン・ローチは明確な意識を持って作った。黙っていられなかった、いま叫ばねばならないと思った。
人と向き合わずに、規則と数字とインターネットとしか向き合わない社会に、声の限りに吠えたかった。
主人公のキャラクター的には邦題は「俺はダニエルブレイク!」の方があっているんだけど、そんな公共施設への落書きは、「狼たちの午後」のアル・パチーノの演説並みに「よう言った!」と喝采を送りたくなる、渾身の名シーンになっている
人の幸福は人とちゃんと向き合うところから始まる。
ありがとうケン・ローチ監督。生涯心に響き続けるような魂の叫びを上げてくれて
何のために映画を撮って来たのか、ケン・ローチなりのアンサーでもある。
やっぱりまとめると映画を撮る意味と執念と生き様が2017年のテーマだった
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俺的2017年映画個人賞
監督賞 サモ・ハン(おじいちゃんはデブゴン)
脚本賞 アスガー・ファルハデイ(セールスマン)
作曲賞 ジェームズ・ホーナー&サイモン・フラングレン(マグニフィセント・セブン)
男優賞 マーク・ハミル(最後のジェダイ)
ノミネート:
サモ・ハン(おじいちゃんはデブゴン)
デイブ・ジョーンズ(わたしは、ダニエル・ブレイク)
ケイシー・アフレック(マンチェスター・バイ・ザ・シー)
マイケル・ルーカー(ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス)
女優賞 イザベル・ユペール(エル)
ノミネート:
パメラ・フローレス(エンドレス・ポエトリー)
エイミー・アダムス(メッセージ)
ミシェル・ウィリアムズ(マンチェスター・バイ・ザ・シー)
ヘイリー・スクワイアーズ(わたしは、ダニエル・ブレイク)
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2017年鑑賞全作品一覧(全43作品)
◾︎◾︎◾︎◾︎◾︎◾︎→生涯ベスト級
◾︎◾︎◾︎◾︎◾︎◽︎→年間ベスト級
◾︎◾︎◾︎◾︎◽︎◽︎→かなり面白かった
◾︎◾︎◾︎◽︎◽︎◽︎→まあまあ
◾︎◾︎◽︎◽︎◽︎◽︎→つまんなかった
◾︎◽︎◽︎◽︎◽︎◽︎→…
◾︎◾︎◾︎◾︎◾︎◾︎ 牯嶺街少年殺人事件(エドワード・ヤン)
◾︎◾︎◾︎◾︎◾︎◾︎ 乱 (黒澤明)
◾︎◾︎◾︎◾︎◾︎◾︎ わたしは、ダニエル・ブレイク(ケン・ローチ)
◾︎◾︎◾︎◾︎◾︎◽︎ エル (ポール・ヴァーホーベン)
◾︎◾︎◾︎◾︎◾︎◽︎ おじいちゃんはデブゴン(サモ・ハン)
◾︎◾︎◾︎◾︎◾︎◽︎ ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス(ジェームズ・ガン)
◾︎◾︎◾︎◾︎◾︎◽︎ 希望のかなた(アキ・カウリスマキ)
◾︎◾︎◾︎◾︎◾︎◽︎ 人生タクシー(ジャファル・パナヒ)
◾︎◾︎◾︎◾︎◾︎◽︎ スター・ウォーズ 最後のジェダイ(ライアン・ジョンソン)
◾︎◾︎◾︎◾︎◾︎◽︎ STOP (キム・ギドク)
◾︎◾︎◾︎◾︎◾︎◽︎ セールスマン(アスガー・ファルハディ)
◾︎◾︎◾︎◾︎◾︎◽︎ 沈黙-サイレンス-(マーティン・スコセッシ)
◾︎◾︎◾︎◾︎◾︎◽︎ ボン・ボヤージュ 家族旅行は大暴走(ニコラ・ブナム)
◾︎◾︎◾︎◾︎◽︎◽︎ 写真家ソール・ライター 急がない人生で見つけた13のこと(トーマス・リーチ)
◾︎◾︎◾︎◾︎◽︎◽︎ 水面のあかり(渡辺シン)
◾︎◾︎◾︎◾︎◽︎◽︎ スプリット(M.ナイト・シャマラン)
◾︎◾︎◾︎◾︎◽︎◽︎ たかが世界の終わり(グザビエ・ドラン)
◾︎◾︎◾︎◾︎◽︎◽︎ はじまりへの旅(マット・ロス)
◾︎◾︎◾︎◾︎◽︎◽︎ ブラッド・ファーザー(ジャン=フランソワ・リシェ)
◾︎◾︎◾︎◾︎◽︎◽︎ マグニフィセント・セブン(アントワン・フークワ)
◾︎◾︎◾︎◾︎◽︎◽︎ マンチェスター・バイ・ザ・シー(ケネス・ロナガン)
◾︎◾︎◾︎◾︎◽︎◽︎ ムーンライト(バリー・ジェンキンス)
◾︎◾︎◾︎◾︎◽︎◽︎ メッセージ (ドゥニ・ヴィルヌーヴ)
◾︎◾︎◾︎◽︎◽︎◽︎ ハクソー・リッジ(メル・ギブソン)
◾︎◾︎◾︎◽︎◽︎◽︎ ブレード・ランナー 2049 (ドゥニ・ヴィルヌーヴ)
◾︎◾︎◾︎◽︎◽︎◽︎ マスタードチョコレート(笹木彰人)
◾︎◾︎◾︎◽︎◽︎◽︎ ラ・ラ・ランド (デミアン・チャゼル)
◾︎◾︎◽︎◽︎◽︎◽︎ ホワイトリリー(中田秀夫)
◾︎◾︎◽︎◽︎◽︎◽︎ ワンダーウーマン(パティ・ジェンキンス)
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第9回商店街映画祭ALWAYS松本の夕日
・替わり目(木川剛志)
・MISSION in Matsumoto(信州大学付属中学校3年D組)
・私以外の人(谷口雄一郎)
・商店ガイレンジャー(佐藤広一)
・楽々園物語〜80年目のぼくらの町で〜(佐々木宏一)
・ピグマリオン(笹木彰人)
・私が発芽する日(野本梢)
・ゴーストゴイスト(木場明義)
第8回ラブストーリー映画祭
・トオリ雨(稲田眞幹)
・2085年、恋愛消滅。(荒木 憲司)
・受胎告知 (竹本祥乃)
・わたしが発芽する日 (野本梢)
・Rouge (高山隆一)
・また会う日まで (岡部哲也)
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そんなこんなで、2018年も素晴らしい映画との出会いが皆さんにありますように。
そして願わくば、今撮ってる映画が誰かのベストテンに入りますように、がんばろ。
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【ALIQOUI film 作品紹介】
撮影快調
『Imperfect World』
古本恭一監督と共同監督
2018年夏完成予定
『唯一、すべて』
2016年作品45分
映画「唯一、すべて」予告編
制作 ALIQOUI film
監督・脚本 齋藤新
撮影・制作 齋藤さやか
音楽 横内究
出演 小林郁香、安藤由梨江、宮本敏和
第8回ラブストーリー映画祭入選
うえだ城下町映画祭ノミネート
日本芸術センター映像グランプリノミネート
お。ホドロフスキー4位、ポールヴァーホーヴェンも入ってますね。どちらも大好きな監督作品です。
どちらもよかったけど惜しくも圏外にしちゃったけど
エンドレスポエリーは前作の方ベスト3位にしました。(昨年)
今年もよろしくです。
コメントありがとうございます
「リアリティのダンス」も良かったですね。
エンドレスで母ちゃんが歌った時またか、と思いましたが、マンネリ打破のため、一人二役で暴力女演じさせるとこ、笑いました
3作目も期待です
「花筐」はまだご覧になってないのですね。
その基準なら絶対のお勧めです。
今年も執念を感じられる作品に出会えることを期待しましょう。
観てない映画も多いので、今年こそはいっぱい観ようと思います。
シンさんの映画も観たいなぁ~
今年もブログでよろしくお願いします
でも、カナザワ映画祭、出品料高いんですよねー
デブゴンそちらで公開されましたらぜひ、超必見作です
しんさんは自分のベストテンに選出した映画を一本もご覧になっていないとのことでしたが、自分はしんさんのベストテン作品、『スターウォーズ 最後のジェダイ』を除いてすべて未見です。笑。
お互い未見の傑作映画が多いみたいですね。
今後ともよろしくお願いします。
映画ってたくさんあって全部を見ることなんてできませんね
それでも、せぷ様がベストにあげてました、神の見えざる手とバーフバリと新感染はなんとかして観たいと思います
それでは今年映画でよろしくお願いします
で、見逃した2本は「おじいちゃんはデブゴン」と「STOP」。「デブゴン」は見ようと思っていたら、あっという間に終わってました(笑)。
「花筐 HANAGATANI」は未だに当地未公開。大林ファンとしてはやきもき。早く見たいです。
一方で!
映画ベスト10が満10周年!にふと気づき
過去10年 映画ベスト10 にトライしてみました(笑)
よろしかったら、のぞいてみてくださいませ