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AKIRA [またまたリバイバル500円]

2005-10-18 00:01:15 | 映評 2003~2005
またまたリバイバル500円。これも今まで未見だった作品。
面白かった。
日本アニメの金字塔とは言わないけど、和製アニメという括りの中では相当レベルの高い作品だと思う。ただメカがかっこ良ければいい、とか、SF知識の羅列、とか、若くてかわいい女の子がウブで内向的な性格の割に水着みたいなコスチュームで戦いまくる、とか、そういうアニメは少なくとも傑作とは呼べないと思うのだけど、「AKIRA」はそういうアホっぽいアニメでなく、スペクタクルを随所に散りばめつつ、登場人物たちの感情を軸に物語を進めていくしっかりした見応えがある映画であり、"傑作"と呼ぶことにためらいはない。

主人公の金田はヘラヘラしてて人類だの社会だの科学だの政治だの未来だの・・・そういうことに興味はない。たまたま見かけただけの女の子ケイに執心しすぎにも見えるけど、崇高な信念とかではなく一度思った事を意地になって最後までやり通そうとする、そんな彼の生き方がケイに対する態度や行動の根幹となっている。
そんな彼だから、100%勝てそうにないテツオに対して、それでも兄貴面してかっこつけようとすること貫いて立ち向かっていくのもなんとなく納得。その性格のおかげでストーリーもあまり脇にそれずに進んでいってくれる。

バイクチェイスのスピード感、都市が崩壊していく様、などなどスペクタクルな見せ場もいっぱいで飽きさせません。
バイオレンスも腐敗した死体も溢れ出す血も、アニメという表現法でグロさが濾過されて安心して観れます。(逆にそれがアニメという表現法の欠点でもあるのだけど)

終盤の宇宙まで飛ぶわ、怪獣化するわ、宇宙が誕生するわ、といったメチャクチャぶりも、冷静に考えると笑えてくるのだが、状況のぶっ飛び具合よりもその時の登場人物各位の心の叫びが響いてきて感動できちゃうので、アニメならではの壮大なクライマックスということで良しとします。

老人顔の幼児3名。強烈なビジュアル。それだけの役割でなく超能力を持つが故の責任感と悲しみが溢れていて良かった。老人顔つながりで「ブレードランナー」のレプリカントの遺伝情報設計者 JF・セバスチャンを思い出したりしました。空飛ぶ車もネオンも高層ビルも金田たちが警察署から出てく時のカメラがゆっくり上に移動して署内を俯瞰するショットも「ブレードランナー」がだぶってきます。中学の時、ブレードランナーとAKIRAが好きな友達がいて、そいつのことを20年近くたった今になってやっと理解できたような気がします。

様々な未来っぽいメカや、超能力や、政治体制やあれやこれや、ほとんど説明はなくさっぱり分かんなかったけど、そんな設定の説明なんかより、人間たちの感情や生き様なんかの方にずっとずっと興味のある私としては、この映画は面白く観る事ができました。
(正反対に、人間たちの感情や行動より、メカニックや時代設定の説明にがっぷり時間をかける押井守の映画は全然好きになれない)

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