個人的には今年のベストにかなり近い映画であるが、大傑作か?と言われるとそうでもないような気がする。
こういう映画は、大好きか大嫌いのどちらかで、両者の間の違いはそんなに無い。
たけしの"Dolls"を思い出す。あれは全然好きになれなかった。
"Dolls"と"TAKESHIS'"はそりゃ全然違う映画だ。"Dolls"は現実離れした現実の物語だったけど、"TAKESHIS'"はほとんど夢オチと言ってもいいくらいの非現実の話。
"Dolls"は久石譲の音楽が例によって例のごとく自己陶酔してわざとらしく鳴り響くけど、"TAKESHIS'"は音楽がほとんど自己主張しない。メロディらしいメロディもなく効果音と同じくらいの扱いだ。
"Dolls"は愛について色々と考察してみた映画だったけど、"TAKESHIS'"はたけし映画について考えるというか、映画を考える過程を映画化しているかのようだ。
"Dolls"は観念の世界に浸りすぎ芸術的かも知れんけど面白くなかった。批判を恐れずに言えば映画的な面白さではなかった(映画的ってどういうことかよく知らんけど)。"TAKESHIS'"だって映画的じゃないかも知れんが映画作家が自分と取っ組み合いの喧嘩してできたようなシロモノであるところが、少なくとも映画作家的である。
***************
岸本加代子、大杉漣、寺島進ら"いつもの面子"が、いつもの演技をする。
死を切望しているかのようなたけしのキャラはいつものごとく。
コント化はより激しさを増している。
"Brother"以来の銃撃系バイオレンスものりにのっている。
しかしながら、全てが未完成状態のまま投げ出されている。ぶつ切りにした具を煮込みも焼きもせずに突き出されたみたい。
なのにこの面白さはなんだろう。
ストーリーの先が読めないからか?まともにストーリーと呼べるものがないんだから当然だ。
ストーリーとか久石譲の音楽とかを排したことで、単品アイデアの面白さ、素材の面白さをそのまま味わえるから面白いのだと思う(それらのあるたけし映画も好きだが)。
自分をパロディ化するなんて、相当大物でなきゃできない。相当大物でも面白くするのは難しいし、面白く作っても批判されたりする。それをあえてやってしまった北野武は何を描きたかったのか。
バイオレンスが好きで、映画の編集が好きで、死を望む男が好きだけど、やっぱりお笑い出身である男が、今一度自分がどういう映画を撮りたいか考え直し、その考え直す過程そのものを映画にしてしまった。一人の映画監督が心の中でもがく様を見せ付けられているようで、見ていて重苦しい気分にもなるのだが、一方でワンシーンワンシーンがいちいち面白くて、見ていて笑える。
奇妙な映画だが、こういう奇妙で不完全なものなのに面白く作るたけしはやはり天才なのだ。
でもなんとなく、この人天寿を全うするのか?とちょっと気になる。覚悟ができてるというより、積極的にそれを望んでいるように見える。いまは映画作りが楽しいから生き続けるだろうけど、やるだけのことやったら自ら逝っちゃうかもしんない。そのへんアメナーバルと同じ。
「醤油ラーメンください」
「胡椒ありますか」
ラーメン屋に行きたくなる映画。
京野ことみが良かった。脱いでもエロくない。
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自主映画撮ってます。松本自主映画製作工房 スタジオゆんふぁのHP
こういう映画は、大好きか大嫌いのどちらかで、両者の間の違いはそんなに無い。
たけしの"Dolls"を思い出す。あれは全然好きになれなかった。
"Dolls"と"TAKESHIS'"はそりゃ全然違う映画だ。"Dolls"は現実離れした現実の物語だったけど、"TAKESHIS'"はほとんど夢オチと言ってもいいくらいの非現実の話。
"Dolls"は久石譲の音楽が例によって例のごとく自己陶酔してわざとらしく鳴り響くけど、"TAKESHIS'"は音楽がほとんど自己主張しない。メロディらしいメロディもなく効果音と同じくらいの扱いだ。
"Dolls"は愛について色々と考察してみた映画だったけど、"TAKESHIS'"はたけし映画について考えるというか、映画を考える過程を映画化しているかのようだ。
"Dolls"は観念の世界に浸りすぎ芸術的かも知れんけど面白くなかった。批判を恐れずに言えば映画的な面白さではなかった(映画的ってどういうことかよく知らんけど)。"TAKESHIS'"だって映画的じゃないかも知れんが映画作家が自分と取っ組み合いの喧嘩してできたようなシロモノであるところが、少なくとも映画作家的である。
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岸本加代子、大杉漣、寺島進ら"いつもの面子"が、いつもの演技をする。
死を切望しているかのようなたけしのキャラはいつものごとく。
コント化はより激しさを増している。
"Brother"以来の銃撃系バイオレンスものりにのっている。
しかしながら、全てが未完成状態のまま投げ出されている。ぶつ切りにした具を煮込みも焼きもせずに突き出されたみたい。
なのにこの面白さはなんだろう。
ストーリーの先が読めないからか?まともにストーリーと呼べるものがないんだから当然だ。
ストーリーとか久石譲の音楽とかを排したことで、単品アイデアの面白さ、素材の面白さをそのまま味わえるから面白いのだと思う(それらのあるたけし映画も好きだが)。
自分をパロディ化するなんて、相当大物でなきゃできない。相当大物でも面白くするのは難しいし、面白く作っても批判されたりする。それをあえてやってしまった北野武は何を描きたかったのか。
バイオレンスが好きで、映画の編集が好きで、死を望む男が好きだけど、やっぱりお笑い出身である男が、今一度自分がどういう映画を撮りたいか考え直し、その考え直す過程そのものを映画にしてしまった。一人の映画監督が心の中でもがく様を見せ付けられているようで、見ていて重苦しい気分にもなるのだが、一方でワンシーンワンシーンがいちいち面白くて、見ていて笑える。
奇妙な映画だが、こういう奇妙で不完全なものなのに面白く作るたけしはやはり天才なのだ。
でもなんとなく、この人天寿を全うするのか?とちょっと気になる。覚悟ができてるというより、積極的にそれを望んでいるように見える。いまは映画作りが楽しいから生き続けるだろうけど、やるだけのことやったら自ら逝っちゃうかもしんない。そのへんアメナーバルと同じ。
「醤油ラーメンください」
「胡椒ありますか」
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私も、たけし映画で何が嫌かって、ジョーの音楽が嫌でした。
ジョー以前の2作と、ジョー後の今作はすごく好き
「座頭市」はダメだけど
ジョー中の菊次郎も好きだけど
『DOLLS』ではそのラインにいたヨージ・ヤマモトですが、前作と今作ではそのあたりを汲み取ってか、そこそこの仕事をしてて好感が持てます。
てなわけで、TBありがとうございました。