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デンジャラス・デイズ メイキング・オブ・ブレードランナー

2008-02-09 23:49:02 | ビデオ・DVD・テレビ放映での鑑賞
今まで、若干思い違いをしていたことがわかった。

「デンジャラス・デイズ メイキング・オブ・ブレードランナー」は、リドリー・スコット、ハリソン・フォードはじめ出演者たち、降板させられた初期メインライター(ハンプトン・ファンチャー)と、後期のメインライター(デビッド・ピープルズ[許されざる者]も彼だ)、プロデューサ、スポンサー、美術スタッフ、撮影スタッフ、トニー・スコット、ブレラン好きな著名人たち(フランク・ダラボンとかギレルモ・デル・トロとか)らのインタビューを綴ったドキュメントである。

以前、大学のサークルの文集にブレランのポストプロダクションのいざこざについて、こんな風に書いた
「リドリーは撮影が終わるとさっさとイギリスに帰ってしまい、プロデューサがリドリー抜きでナレーションの収録とハッピーエンドのラストシーンを撮影した」

間違いである。

リドリーはたしかに英国に帰ったが、ロンドンでハリソン・フォードも呼んで追加撮影を行っている。
ユニコーンのカットもこの時撮影された。
試写会での難解だとの評判に頭を痛めたプロデューサはナレーションを吹き込むことも、ハッピーエンドのラストを追加することも、基本的にはリドリーと協議し合意の上で進めていった。ラストの空撮映像にいたってはキューブリックから借りようと提案したのは他ならぬリドリーであったという(本人談)。
もちろんリドリー的には、ナレーションもハッピーエンドも相当妥協した上での苦渋の決断だったのだが。
ユニコーンのカットについては、その意味を理解できるものは誰もいず、リドリーに聞いても「意味なんかない」というようなことを言い、「意味がないなら切るぞ」と最終編集権を持つプロデューサによってカットされたという。
それでもなんとか映画を完成させ公開させたくてリドリーもプロデューサも頑張ったが、ついに決裂し、ナレーション録りの最後の方はリドリー抜きで進めたそうだ。

ブログの記事[こちら]か大学の文集に、「ナレーションは恐らくデビッド・ピープルズが書いたのだろう」と書いたが、これも正しくない。
たしかにピープルズもナレーション原稿を書くように頼まれたが、もともとブレランを難解にしたのがピープルズであったため、プロデューサは同じ仕事を初期メインライターのハンプトン・ファンチャーにも依頼していた。
メイキングではNGナレーションも聞くことができ、同じシーンに何パターンものナレーションが存在していたことがわかる。
さらにハリソン・フォードの証言から、第三のライターの存在もほのめかされる。

プロデューサが権利を行使しついにリドリー抜きのナレーション収録を敢行することになった。
契約上断れないハリソンは、もともとナレーションの使用に疑問を感じていたのだが、ともかくスタジオに行く。スタジオには誰もおらず、隣の部屋からタイプをたたく音が聞こえる。ライターだなと思いハリソンが「調子はどうだい」と声をかけると、邪魔だあっちへ行け、というようなジェスチャーをされたので退散した。
果たしてその人物がナレーション原稿をもって現れハリソンに手渡した。
撮影で色々あって疲れていたハリソンは、「これ以上ライターともめるのはたくさんだ、早く終わらせて帰りたかった」とのことで、特に意見もせず原稿どおり読み上げたという。

撮影スケジュール超過予算超過でいら立つスポンサー、クビにされたライターの不平不満(セックスシーンを入れろと命令するプロデューサにライターがどれほどバカなことか実演して見せてやったという話などかなり面白い。結局撮影はされたが、本編では使用されなかった)
リドリーもハリソンも終止苛立ちぎみ、アメリカ人スタッフの露骨なリドリー批判、クランクアップ後突如嫌がらせのようにクビを宣告されたプロデューサ
(俳優ではエドワード・ジェームズ・オルモスが例の多国語ミックスの俗語を自分で考えてきたとか、ルトガー・ハウアーがもっとも情熱的に自分と役とを同一化させていったとか、面白い話も)
既知の話もたくさんあったが、本人たちの生声であのころの散々な現場を伺い知ることができて、ブレランファンとしてはかなり満足した。3時間もあるが一気に観てしまった。

これを見てからファイナル・カットをみると、修正箇所がわかりやすくていい。

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