(2015年7月15日追記:hummer-jackさんのSSの続きが出来たので、リンクを追加しました。)
そんな訳で久々にSSの更新です。
現在「タイガース・ダウンフォール」の連載中ですが、
その続きを考えている途中でちょっと興味深い作品を発見しました。
・2015-07-13 駄文ですが・・・読める根性のある方はどうぞ SS Part1 シャドーメイジ編
・2015-07-14 シャドーメイジ編 Part1-2
(hummer-jackのブログ)
PRカード投票の候補の1つである《シャドウメイジ》をモチーフにしたSSです。
これに触発されて自分も1話読み切りの短編を即興で作ってみました。
もし興味がわいたならば軽く読んでみるのも良いのではないでしょうか。
例によって公式とは関係ない独自設定ですので、
予めご了承下さい。
◎過去作品
○連載もの
・クエスト・フォー・ザ・ムーン(全7話)
その1
その2
その3
その4
その5
その6
その7(エピローグ)
・ロボトミー・ソルジャー(全4話)
その1
その2
その3
その4
・メリー・クリスマス・フロム・アルカナ(全2話)
その1
その2
・リターン・フロム・ザ・ドラゴンズ・ヘッド(全7話)
その1
その2
その3
その4
その5
その6
その7
・タイガース・ダウンフォール(連載中)
その1
その2
その3
○その他エピソード
・バトルトーナメント:あなたが決める禁止カード(連載再開未定)
その1
その2
・切札戦士 ジョーカー13(ワン・スリー) 第14話
・エージェント・イン・スイムスーツ
・イーリスの物語
<<<シャドウメイジ・ジ・アサシン>>>
作:Nissa(;-;)IKU
早朝、とある廃アパートの一室。
日差しの届かぬ室内で、全裸でホログラム端末に向かう少女の姿があった。ホログラムが映し出すメーラは数多のスパムメールに埋もれかけた、シリアスなタイトルを強調表示していた。内容は――とあるギャング団のボスの暗殺の依頼。
彼女は「シャドウメイジ」の名で、フリーの――腕利きの暗殺者として裏社会で知られていた。今回彼女に依頼が訪れたのも、クライアント――恐らく利害で対立する別の組織であろう――側に重大な問題があったからであろう。
前金として報酬の半分が口座に振り込まれたのを確認した彼女は、早速行動を開始した――ラインダンサーを思わせる青白のスニーキングスーツの上に、亡き師父の形見である三角帽とコートを身につけ、組織の調査に乗り出したのである。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/00/b8/a5b824e67c9605a14ba5244ead6e9a49.png)
(画像©SEGA)
――
シャドウメイジが計画を実行に移したのは2日後のことであった。件のボスが高級娼婦をアジトに呼び込み、一晩を過ごすというのだ。となれば娼婦になりすましてボスに接近し、隙を見て殺害するのが最も手取り早い方法であろう。
ボスが呼びつけた娼婦の住所は既に調査済みであった。シャドウメイジは彼女のマンションに窓から飛び込むと、睡眠薬で眠らせ、クローゼットから赤いミニのドレスを取り出し、それに着替えた。そしてそのまま約束の場所へと向かったのである。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/41/12/3195aad87798744c196dc6ca5e4c1633.jpg)
(画像©SEGA)
彼女の技量なら、マンションに飛び込んですぐに娼婦を殺害することも可能であった。だが彼女は24時間程で溶解する特殊ロープによる緊縛放置を選んだ。必要でない殺しはできるだけ避ける――幼少時の脳手術で恐怖心を破壊された彼女に残された、最後の良心であった。
――
夕方、約束の場所であるバーには、既に組織の者数名が待ち構えていた。脳手術の副作用によるホルモン異常で、実年齢の割には異常に発達した胸に、黒ずくめの男達は釘付けになった。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/5b/db/fe7a959aee247bc0fd308e3db1e2c805.jpg)
(画像©SEGA)
男達のエスコートと共に、彼女はリムジンの後部座席へと案内された。VIP専用の、広く座り心地の良いシートである。彼女が恐るべき暗殺者、シャドウメイジであることに気づく者は車内にも、そして護衛のバンの中にも皆無であった。
――
アジトは郊外に建てられた豪邸であった。そのリビングで、彼女はボスと対面した。高齢ではあるが黒く染め上げられたオールバックの髪、そして専用のトレーニングプログラムで鍛え上げられた肉体は、想像の域を越える若々しさと自信に満ちあふれていた。
ボスは彼女の理想的に発達した胸やヒップを目や手で楽しみながら、エレベータで最上階へと案内した。娼婦たちと一晩を楽しむ為に作られた、特別なベッドルームである。
回転式のウオーターベッドに寝転んで手招きするボスに対し、彼女はシャワーを希望した。始める前に汗を洗い流して、すっきりしたい――出張で遠くから駆け付けた娼婦ならばそう考えるのは自然である。ボスはにこやかに了承した。
彼女はボスの目の前で和服風のミニドレスの腰紐と帯を解くと、半裸の状態でシャワールームへと向かった。やがてシャワールームの曇りガラスは、艶めかしく腰を動かす肢体のシルエットを映し出した。
――
曇りガラスに浮かぶシルエットに思いを馳せていたボスは、突如首にむず痒い感触を味わった。手で押さえようとしたところに、別の手が被さった。声を上げようとしたが、叶わなかった。喉の筋肉が痙攣しだし、呼吸を阻害しはじめたからであった。
振り向くと見知らぬ女が立っていた。青白の三角帽に短い丈のコート。その下から覗かせる、ラインダンサー風のスニーキングスーツ。視界が歪みだす中、「青い魔導士」の噂をボスは思い出した。
トレーニングで鍛えられた肉体を持つ男でも、背後から致死量の筋弛緩剤を無痛注射されればどうなるかは自明であろう。「楽しみ」を阻害しない為に、フロア一帯に監視カメラ・盗聴器を置いていなかったことも、ボスにとって不利に働いた。
勿論この「セキュリティホール」はシャドウメイジによって事前に解析済みであった。彼女は等身大の人型のバルーンをシャワールームに立てると、天井のダクトを経由してボスの背後から注射を行ったのである。
全身を痙攣させるボスを尻目に、彼女は再び天井のダクトに消えた。ボスを高級娼婦による暗殺から守れなかったことで、組織は名誉を失い、解体を余儀なくされるされるであろう。そんな哀れな組織の末路は、彼女の興味の範疇外であった。
――
ビルの谷間を次々と飛び移ってアジトへ帰る途中、彼女は路地裏から見上げる一人の少年と、ふと目が合った。塾帰りの小学生であろう。路地裏で通り魔的に殺人を犯す「青い魔導士」の噂を、少年は思い出した。だが声を上げるより早く、1個の煉瓦が彼の脳天を襲った。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/07/f7/a730197c2fd56ca7af2463e99fff4a85.jpg)
(画像©SEGA)
必要な殺しはしない主義の彼女ではあったが、今回はその例外であった。アジトの場所が割れること、そして口の軽い子供による事件の拡散を警戒してのことである。
警察は建物の壁面の煉瓦の劣化による崩落事故死として片付けるであろう。不注意な目撃者に煉瓦をぶつけて殺害する「青い魔導士」の噂をこの一帯の警官が真面目に捜査するなど、とても期待できるものではなかった。
少年の死を確認すると、彼女は再びビルの谷間へと消えた。丁度日付が変わる頃。この日は満月であった。
<<<シャドウメイジ・ジ・アサシン おわり>>>
――
◎おまけ:M・o・Aちゃんが何か言う
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/6e/74/f2640e82cacd220c9af6342ac97a701b.png)
――
◎宣伝
転生の宴はセガR&D1サポーターズサイトに登録されています。興味を持たれましたら投票してみるのも良いでしょう。
そんな訳で久々にSSの更新です。
現在「タイガース・ダウンフォール」の連載中ですが、
その続きを考えている途中でちょっと興味深い作品を発見しました。
・2015-07-13 駄文ですが・・・読める根性のある方はどうぞ SS Part1 シャドーメイジ編
・2015-07-14 シャドーメイジ編 Part1-2
(hummer-jackのブログ)
PRカード投票の候補の1つである《シャドウメイジ》をモチーフにしたSSです。
これに触発されて自分も1話読み切りの短編を即興で作ってみました。
もし興味がわいたならば軽く読んでみるのも良いのではないでしょうか。
例によって公式とは関係ない独自設定ですので、
予めご了承下さい。
◎過去作品
○連載もの
・クエスト・フォー・ザ・ムーン(全7話)
その1
その2
その3
その4
その5
その6
その7(エピローグ)
・ロボトミー・ソルジャー(全4話)
その1
その2
その3
その4
・メリー・クリスマス・フロム・アルカナ(全2話)
その1
その2
・リターン・フロム・ザ・ドラゴンズ・ヘッド(全7話)
その1
その2
その3
その4
その5
その6
その7
・タイガース・ダウンフォール(連載中)
その1
その2
その3
○その他エピソード
・バトルトーナメント:あなたが決める禁止カード(連載再開未定)
その1
その2
・切札戦士 ジョーカー13(ワン・スリー) 第14話
・エージェント・イン・スイムスーツ
・イーリスの物語
<<<シャドウメイジ・ジ・アサシン>>>
作:Nissa(;-;)IKU
早朝、とある廃アパートの一室。
日差しの届かぬ室内で、全裸でホログラム端末に向かう少女の姿があった。ホログラムが映し出すメーラは数多のスパムメールに埋もれかけた、シリアスなタイトルを強調表示していた。内容は――とあるギャング団のボスの暗殺の依頼。
彼女は「シャドウメイジ」の名で、フリーの――腕利きの暗殺者として裏社会で知られていた。今回彼女に依頼が訪れたのも、クライアント――恐らく利害で対立する別の組織であろう――側に重大な問題があったからであろう。
前金として報酬の半分が口座に振り込まれたのを確認した彼女は、早速行動を開始した――ラインダンサーを思わせる青白のスニーキングスーツの上に、亡き師父の形見である三角帽とコートを身につけ、組織の調査に乗り出したのである。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/00/b8/a5b824e67c9605a14ba5244ead6e9a49.png)
(画像©SEGA)
――
シャドウメイジが計画を実行に移したのは2日後のことであった。件のボスが高級娼婦をアジトに呼び込み、一晩を過ごすというのだ。となれば娼婦になりすましてボスに接近し、隙を見て殺害するのが最も手取り早い方法であろう。
ボスが呼びつけた娼婦の住所は既に調査済みであった。シャドウメイジは彼女のマンションに窓から飛び込むと、睡眠薬で眠らせ、クローゼットから赤いミニのドレスを取り出し、それに着替えた。そしてそのまま約束の場所へと向かったのである。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/41/12/3195aad87798744c196dc6ca5e4c1633.jpg)
(画像©SEGA)
彼女の技量なら、マンションに飛び込んですぐに娼婦を殺害することも可能であった。だが彼女は24時間程で溶解する特殊ロープによる緊縛放置を選んだ。必要でない殺しはできるだけ避ける――幼少時の脳手術で恐怖心を破壊された彼女に残された、最後の良心であった。
――
夕方、約束の場所であるバーには、既に組織の者数名が待ち構えていた。脳手術の副作用によるホルモン異常で、実年齢の割には異常に発達した胸に、黒ずくめの男達は釘付けになった。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/5b/db/fe7a959aee247bc0fd308e3db1e2c805.jpg)
(画像©SEGA)
男達のエスコートと共に、彼女はリムジンの後部座席へと案内された。VIP専用の、広く座り心地の良いシートである。彼女が恐るべき暗殺者、シャドウメイジであることに気づく者は車内にも、そして護衛のバンの中にも皆無であった。
――
アジトは郊外に建てられた豪邸であった。そのリビングで、彼女はボスと対面した。高齢ではあるが黒く染め上げられたオールバックの髪、そして専用のトレーニングプログラムで鍛え上げられた肉体は、想像の域を越える若々しさと自信に満ちあふれていた。
ボスは彼女の理想的に発達した胸やヒップを目や手で楽しみながら、エレベータで最上階へと案内した。娼婦たちと一晩を楽しむ為に作られた、特別なベッドルームである。
回転式のウオーターベッドに寝転んで手招きするボスに対し、彼女はシャワーを希望した。始める前に汗を洗い流して、すっきりしたい――出張で遠くから駆け付けた娼婦ならばそう考えるのは自然である。ボスはにこやかに了承した。
彼女はボスの目の前で和服風のミニドレスの腰紐と帯を解くと、半裸の状態でシャワールームへと向かった。やがてシャワールームの曇りガラスは、艶めかしく腰を動かす肢体のシルエットを映し出した。
――
曇りガラスに浮かぶシルエットに思いを馳せていたボスは、突如首にむず痒い感触を味わった。手で押さえようとしたところに、別の手が被さった。声を上げようとしたが、叶わなかった。喉の筋肉が痙攣しだし、呼吸を阻害しはじめたからであった。
振り向くと見知らぬ女が立っていた。青白の三角帽に短い丈のコート。その下から覗かせる、ラインダンサー風のスニーキングスーツ。視界が歪みだす中、「青い魔導士」の噂をボスは思い出した。
トレーニングで鍛えられた肉体を持つ男でも、背後から致死量の筋弛緩剤を無痛注射されればどうなるかは自明であろう。「楽しみ」を阻害しない為に、フロア一帯に監視カメラ・盗聴器を置いていなかったことも、ボスにとって不利に働いた。
勿論この「セキュリティホール」はシャドウメイジによって事前に解析済みであった。彼女は等身大の人型のバルーンをシャワールームに立てると、天井のダクトを経由してボスの背後から注射を行ったのである。
全身を痙攣させるボスを尻目に、彼女は再び天井のダクトに消えた。ボスを高級娼婦による暗殺から守れなかったことで、組織は名誉を失い、解体を余儀なくされるされるであろう。そんな哀れな組織の末路は、彼女の興味の範疇外であった。
――
ビルの谷間を次々と飛び移ってアジトへ帰る途中、彼女は路地裏から見上げる一人の少年と、ふと目が合った。塾帰りの小学生であろう。路地裏で通り魔的に殺人を犯す「青い魔導士」の噂を、少年は思い出した。だが声を上げるより早く、1個の煉瓦が彼の脳天を襲った。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/07/f7/a730197c2fd56ca7af2463e99fff4a85.jpg)
(画像©SEGA)
必要な殺しはしない主義の彼女ではあったが、今回はその例外であった。アジトの場所が割れること、そして口の軽い子供による事件の拡散を警戒してのことである。
警察は建物の壁面の煉瓦の劣化による崩落事故死として片付けるであろう。不注意な目撃者に煉瓦をぶつけて殺害する「青い魔導士」の噂をこの一帯の警官が真面目に捜査するなど、とても期待できるものではなかった。
少年の死を確認すると、彼女は再びビルの谷間へと消えた。丁度日付が変わる頃。この日は満月であった。
<<<シャドウメイジ・ジ・アサシン おわり>>>
――
◎おまけ:M・o・Aちゃんが何か言う
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/6e/74/f2640e82cacd220c9af6342ac97a701b.png)
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◎宣伝
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