以下は今日の産経新聞のフロントページと2ページ目に掲載された記事からである。
朝日新聞などを購読、精読し、朝日新聞的な思想に洗脳され、見せかけのモラリズムを振り回している人たち以外の、まともな頭脳を持った人たちなら誰でも、これこそ正論と思うだろう。
「日中平和に軍事力必要」 東京国際大教授・村井友秀氏
大阪「正論」懇話会の第42回講演会が３日、大阪市北区のヒルトン大阪で開かれ、東京国際大教授の村井友秀氏が「中国の対外戦略の本質」をテーマに講演した。
村井氏は日本と中国の平和維持には「日本が一定の軍事力を持つのが合理的な方法だ」と指摘する一方、「日中間の緊張は中国の国内問題を反映している」との見方を表明。
「中国共産党は共産党支配を最重要と考え、国民の不満をそらすために、絶対に攻めてこない日本をスケープゴートにしている」と述べた。
その上で、中国は小規模な武力衝突をも平和時の外交とみなしているため、日本が戦争と考える事態が起きる恐れがあると分析。
「中国は孫子の兵法に基づく『世論戦』で日本国内の分裂を図っている段階だ。
日本は『小さな戦争』にうまく対応することが求められる」との考えを示した。
北朝鮮の核実験に対する国連安全保障理事餃の制裁決議に関しては、「中国は制裁を骨抜きにするために協議に加わっている」と指摘。
「朝鮮半島を分断状態にし、韓国による統一を避けるのが中国の基本政策であり、北朝鮮にあらゆる援助をしている」と述べた。
日本は中国にとって絶対攻めてこない安全な敵
医者が病気を研究するように、平和のためには戦争を理解する必要がある。
核兵器を廃絶するには、核兵器のメリットを知らなければならない。
捨て身の戦法に
戦争に「勝つ」とは、損害が耐えられる限度を超える前に戦争目的を達成する、という意味だ。
つまり勝敗は、どれだけの損害に耐えられるかによる。
一方で核の抑止力は、勝つためでなく、自分も死ぬが相手も死ぬという捨て身の戦法によって成り立つ。
核実験を強行した北朝鮮は、一見すると非合理的な行動を取っているとみられがちだ。
だが、どちらが臆病者でないかを競う「チキングーム」に勝つために、自分たちが無茶をすると相手に信じ込ませようと、計算して動いている。
そんな北朝鮮に対し、中国は、あらゆる援助をしている。
朝鮮半島を分断状態に置くことを基本政策としているためだ。
韓国が北朝鮮を併合し強力な反中国家を築くことが、中国にとっての最悪の事態。
だから、国連安全保障理事会の制裁決議を骨抜きにするために、協議に参加している。
東シナ海で勃発
日中関係はどうか。
軍事力は中国が日本を上回ったが、日本と米国を合わせると中国をはるかにしのぐ。
それでも、大陸に近い沿岸部では中国が有利だ。
したがって戦争が起きるなら、場所は東シナ海といえる。 では、中国は実際に戦争を仕掛けてくるだろうか。
そんなつもりはない。
一定程度の緊張を保つのが望ましいと考えている。
中国が抱える一番の国内問題は、資本主義経済なのに共産党政府という絶対的な矛盾だ。
中国共産党は、自国の最重要利益を共産党支配、領土と主権、経済発展の順に位置づけている。
国民は順序を逆だと考えており、不満を外にそらす必要がある。
日本をスケープゴートにしているのだ。
中国にとっての日本は、国民の大半が嫌っていて、強すぎず弱すぎず、しかも絶対に攻めてこない安全な敵だ。
反日宣伝は熱しすぎると冷まし、冷え込むとたきつける。
日中関係は一方的に良くなることも悪くなることもない。 それでも、戦争が起きる恐れはある。
軍事力を使う方法は４つ。
口頭による脅し、軍事演習などの展開、規模千人以下の小さな戦争、大きな戦争。
中国は小さな戦争をも「平和」ととらえており、外交手段に使う。
これは世界の常識でもある。
ところが、日本にとっては小さな戦争と大きな戦争に差がない。一日本は小さな戦争を抑止し、うまく対応することが求められる。
「世論戦」で分裂
中国の行動パターンは、孫子の兵法に基づく。
日本に対しては、圧倒的な戦力を見せつけて戦わずして勝つ、という兵力差まではつけておらず、現在は「世論戦」で日本国内を分裂させることが戦略の中心となっている。
これは、兵力差を日本の２倍以内とみているためと考えられる。
逆にいえば、日本は２倍以上の差をつけられないよう、一定の軍事力を持つことが、戦争を防ぎ、平和な関係を維持する合理的な方法である。