以下は前章の続きである。
産業スパイ活動
右の三要素によって中国は輸出製品を安く製造し、アメリカをはじめ世界の強豪と競っているが、これこそ途方もなく不公正、不公平だと、トランプ大統領は考えている。
だからトランプ氏は中国製品に制裁関税をかけるのだ。
三つの要求のうち②が不可能になれば、独自の技術を生み出す能力がない中国は壊滅的打撃を受ける。
中国の製品はおよそ全て、日本やアメリカなどから奪った技術により製造されており、中国は経済的に行き詰まる。
トランプ政権はまさにそこを狙っているのである。
シュ氏をアメリカに連行し、中国の産業スパイ活動は断じて許さないという強い姿勢を誇示したのと同じ日、トランプ政権は対米投資規制の詳細を発表した。
8月には外資によるアメリカへの投資を規制する新たな法律が成立していたが、航空エンジン・部品、アルミニウム精錬、石油化学、ナノテクノロジーなど、情報通信や軍事などの27産業にわたって米企業を保護する内容だ。
たとえ少額出資であっても、外資は事前に申請しなければならない。その意図は明らかに中国マネーから米企業を守ることである。
こうした矢継早の措置を10月4日のペンス副大統領の厳しい演説に重ねると、米国が中国に対してどれほど強い警戒心を抱いているか、明白に見てとれる。
そしていま、米議会がウイグル人に対する中国の人権弾圧を「人道に対する罪」として糾弾しているのである。
同盟国の日本が米国と同一歩調を取るべき場面である。
他方、中国は日本に的を絞って微笑外交を展開中だ。
天安門事件の当時を想い出す。
世界から経済制裁を受け、追い詰められた中国は、「制裁の環の最も弱い部分」が日本だと見定めて微笑外交を展開、日本はまっ先に制裁を解除し、天皇皇后両陛下にご訪中をお願いした。
中国は日本を利用して世界の制裁を打ち破り、その後、尖閣諸島を中国領とする法律を作るなど、今日の横暴な中国の正体を見せ始めた。
日本は同じ間違いを犯してはならない。
安倍首相は、いまこそ米国とより強く協調せよ。
今月の訪中では、首相はウイグル人弾圧について言及することを避けてはならない。