以下は、百田尚樹の日本国憲法、からである。
この本が日本国民全員の必読の書である事は言うまでもない。
今年18歳になる若者の中に未読の人たちはたくさんいると思う。
そんな人たちは今すぐに最寄りの書店に購入に向かいなさい。祥伝社新書880円。
たった880円で貴方は日本について最も大事な事を知る事が出来る。
以下はp32からの抜粋である。
緊急事態条項に反対する勢力
緊急事態条項をめぐる議論になると、必ず反対派は「時の政権が独裁者のように振べ舞えることになるから危険だ」と主張します。
首相に大きな権限が与えられることで、恣意的に使われるようになると危惧しているわけです。
こうした主張をする人は、首相が災害に乗じて民主主義を廃して、日本を一気に独裁国家にしてしまうとでも言いたいのでしょうか。すさまじい想像力に感心します。
緊急事態条項は、災害などで危機に晒((さら)されている国民を救うためのものです。当然、平時には適用されません。
にもかかわらず、時の首相の頭がおかしくなり、いきなり緊急事態宣言を発令して、他国と戦争でもするというのでしょうか。
メディアは「権力を監視する」という妙な使命感と正義感を持っています。
ならば、災害時に被災地でヘリコプターを飛ばして迷惑をかけるのではなく、独裁的にならないよう政府の監視だけに力を入れたらどうでしようか?
そもそも災害時には、首相はその対応で不眠不休の日々が続くため、日本の仕組みを根底から覆し、独裁国家にする暇などありません。
有事の際は、思いもよらないことが起きるものです。
だからこそ、緊急時に政府がスムーズに指令を出し、自衛隊や救助隊がきちんと任務にあたれる仕組みを作るべきです。
あとから「想定外だった」と言っているようでは、救えるはずの命も救えなくなります。
起きてほしくないことは起こらない……わけがない
日本国憲法に緊急事態条項がなく、またその状態が放置された理由の一つに、日本の「言霊主義」があるように思います。
日本人は昔から、言葉に魂が宿ると考える傾向があります。
口にする、あるいは頭の中で想像しただけでも、現実に起きてしまうと考えるのです。
なるべく縁起の悪いことを言わないようにするのも、この言霊主義が理由です。
皆さんも、これから人間ドックに行く友人や家族に「ガンじゃないといいね」のようなことはまず言わないでしょう。
軽い冗談ならともかく、本気で心配している場合は、まず口にしたりはしないはずです。
深刻なケース以外でも、たとえば、結婚式で「切れる」「別れる」という言葉は禁句です。受験生の前で「落ちる」「すべる」という言葉も同様です。
また言葉の言い換えもあります。楽しい宴席や会合の終わりには「終わり」という言葉を使わずに「お開き」と言ったり、葦(あし)を「よし」と言ったり、スルメを「アタリメ」と言ったりです。 また、ある会社で商品開発が行なわれ、ようやく新商品が完成したとします。
その際、社員の多くは「絶対に売れる」「大ヒットする」などと景気の良いことばかりを言うのではないでしょうか。
会議の席で「万が一、売れないかもしれない……」などと口走ったら大変です。皆から「縁起の悪いことを言うな」と、顰蹙(ひんしゅく)を買うことになります。
しかし、新商品の売上げは会社と社員の命運を左右します。だから、まったく売れなかった場合はどうするか、それを考えておくことは大切なことです。
東日本大震災では、福島第一原子力発電所が大きな被害を受けました。
原発内の放射線量が上がったため、人間が入って修理できない事態となってしまいました。
実は、そうした場合に備えて、修理用のロボットを用意しておくという議論が以前からありました。
しかし、実現化には至りませんでした。それはなぜか。
ロボットを設置すれば、原発反対派から「大事故が起きる可能性があるんじゃないか」という非難を受けるからです。
同時に「そんな大事故が起きる可能性」を真剣に考えること自体が、無意識に「大事故」を予期しているかのような気持ちを起こさせるからです。
大東亜戦争において、帝国海軍も帝国陸車も何度も大きな作戦ミスをしましたが、それらの失敗の多くが「うまくいかなかったら」というケースを想定していない場合がほとんどでした。
ミッドウェー海戦の前に、図上演習で日本軍の空母が敵の爆弾を受けたにもかかわらず、それらを「なし」にして演習をやり直し、うまくいったことにして、作戦を実行し、結果、大敗しました。 陸軍は各戦場で大量の餓死者を出しましたが、いずれも作戦計画に要する日数分の食糧しか用意しなかったためです。
作戦が計画どおりにいかなかった場合や失敗した場合をまったく想定していなかったのです。
これも日本伝統の言霊主義のためです。
悲しいことに、これらは21世紀の今も残っています。というのも、緊急事態条項も同様だからです。
最悪の事態に備えることはもちろん、議論しただけで、それが現実に起きてしまうのではないかと心配になる。
このような意識が潜在的にあるような気がしてなりません。
縁起の悪いこと=最悪の事態は起こってほしくないし、考えたくない。
そんな潜在的な心理のために、現在に至ってしまっだのではないでしょうか。
朝日新聞の憲法観
しかし、憲法が73年間変えられなかっだのは「言霊」のせいだけではありません。
戦後の間違った思想が、憲法改正を阻(はば)んできたのです。
まず筆頭に挙がるのはメディアです。
朝日新聞を中心とする左派メディアは護憲を掲げ、「この憲法がいかに素晴らしいものか」「いかに改憲が危険か」何度も紙面を於いて国民を洗脳してきました。
護憲派の代表である朝日新聞は、何十年にもわたって「日本国憲法の素晴らしさ」を社説や「天声人語」で説いてきましたが、その一例を紹介しましょう。
言わずもがなですが、社説は新聞社が自社の意見として掲載する論説であり、そこには社の姿勢が集約されています。
この稿続く。