以下は2021年2月11日に産経新聞出版から、中国の電撃侵略2021-2024,と題して出版された、門田隆将と石平の対談集からである。
現在の日本を代表する気鋭の評論家である御両名の最新著作である。
日本国民のみならず世界中の人たちが必読である。
中国が隣国として存在している日本国民全員は今すぐに最寄りの書店に向かわなければならない。
彼らならではの中国についての世界最高レベルの真実の解明である。
世界の人たちには私が出来るだけ知らしめよう。
p166-p176
隠蔽の責任から逃れられない
石平
門田さんの『疫病2020』は時間をかけて読み、感心しました。短期間で台湾、中国、日本、全部調べている。
これほど包括的な新型コロナウイルスに関する本はおそらく世界広しといえどもこの一冊だけじゃないですか。
2020(令和2)年6月に出版という早い段階でこれほど包括的かつ深く掘り下げたのは門田さんの本だけです。この一冊があれば十分。
門田
中国の隠蔽、日本の情けない内幕から台湾の驚くべき対応、米中衝突の行方まで書きましたから、石平さんにそう言ってもらえると嬉しいですね。
石平
2020年1月、2月の中国の動き、公開情報を綿密に分析して積み上げ、真相を炙り出す門田さんの手法には感心しました。
もちろん取材の裏付けがあるわけですが、私は公開情報を使用したというのが素晴らしいと思っています。
なぜなら、公開情報からは中国共産党は逃れられないからです。
公開情報は中国共産党が発信したもの、あるいは中国共産党が書かせている新聞記事ですから、自ら悪事をばらしていることになります。
裁判をしたら一発で有罪が確定するようなものですよ(笑)。
だから私は門田さんのこの仕事は、中国共産党の罪を暴くことにすごく大きな貢献をしたと思っています。
門田
自分たちでばらしていますからねえ。
石平
自分たちでばらした中国の罪の一つが「情報隠蔽」です。情報隠蔽のプロセス、メカニズムを門田さんは暴いています。
『疫病2020』を中国語に翻訳して中国人に読んでもらいたいですよ。
今回の新型コロナウイルス禍には、中国に逃れられない責任があります。
徹底的に情報を隠蔽して中国人民もだまし、世界の人もだましました。
それにWHO(世界保健機関)も加担した。WHOの加担がなければ隠蔽工作は完璧には実行できなかったはずです。
WHOの加袒で世界中がだまされて、これほどの災害になり今でも収まっていない。
門田
問題は”中国が何を隠蔽したか”なのですよ。
中国が武漢肺炎の発生そのものを隠蔽しようとしたんだ、と日本人だけでなく世界中が思い込んでいます。
しかし、実は分析してみるとそうではなく、その「発生源」を隠したかったわけです。
真の発生源である場所には目を向けてほしくない。そのために別の場所を設定してそれを報道させました。
具体的には「武漢病毒研究所」が発生源であると思われますが、これを隠すために武漢の華南海鮮卸売市場に目を向けさせた。
コロナウイルスの宿主であるキクガシラコウモリを売ってもいない海鮮卸売市場に目を向けさせたのです。
そしてもう一つは「ヒト・ヒト感染」を隠蔽しました。「ヒト・ヒト感染」は、すでに12月に起こっていますがそれを隠蔽した。
これらは『疫病2020』にきちんと書かせてもらいました。
『疫病2020』の刊行は2020年6月30日ですが、7月に入ってから、やっとアメリカでも中国の感染症関係に携わっていた人が「初めからヒトからヒトヘの感染が起きていたが、当局が隠蔽した」と言い始めましたね。
ああ、やっと出てきたかと思いました。
中国の国家薬品監督管理局が出してきた五種類の治療薬についての情報はいまだに出てきませんが……。
石平
『疫病2020』では、中国の杜撰さも浮き彫りにしましたね。
門田
遺伝子研究の第一人者・中国農業大学の李寧教授が実験動物の処理のための費用をふところに入れ、さらにその動物を売り払って暴利を得て逮捕されたとか、「武漢晩報」には、キクガシラコウモリのおしっこを浴びて自主隔離した研究員のことが2017年にすっぱ抜かれて記事になっていた話とか、いろいろ『疫病2020』には書き込みました。
またCCTV(中国中央電視台)には、女性が長い髪の毛をピラピラさせながらシャーレとピペットを使って実験しているようすが”普通に”報道されていました。
そんな中国の研究所の実態が、以前から明らかになっていれば、世界の今の悲劇はないんですよ。
この稿続く。