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継戦能力に課題がある自衛隊 集団安全保障の重要性 一部野党、左翼ジャーナリストに問う!

2022年08月27日 22時20分06秒 | 全般

安倍晋三総理 遺稿 
「打撃力」なくして日本は守れない

継戦能力に課題がある自衛隊 
ロシアによるウクライナ侵攻によって、世界の安全保障環境は激変した。 
独立国であるウクライナへの侵攻は明確な国際法違反であり、断じて容認できない。 
大国ロシアに対して一歩も引かなかったウクライナ。
「祖国を守り抜く」という決意を貫き、さらに西欧諸国が大規模な武器支援、ロシアに対する経済制裁に踏み切ったことで、戦闘状況は長期化した。 
自由、民主主義、法の支配といった基本的な価値観を共有する日本、米国、欧州の有志国連合がウクライナ支援で結束することをプーチン・ロシア大統領は予測しただろうか。 
ロシアのウクライナ侵攻は、一国の力だけで自国の領土、国民の生命、財産を守ることは極めて困難であることを如実に示すことになった。
今回の侵攻は日本、アジアの安全保障問題に直結する。
岸田首相は5月、東京で行われた日米首脳会談で、バイデン大統領に「防衛力を抜本的に強化する」ことを表明し、その後の骨太の方針で「防衛力を5年以内に抜本的に強化する」ことが盛り込まれた。 
また「北大西洋条約機構(NATO)の加盟国が国内総生産(GDP)比2%以上を目指している」ことも記された。 
防衛予算は国家意思の表明と言える。
なぜGDP比なのか、と言えば各国がその経済力に合った「責任」を果たしていくことであり、同盟の連携を深めていくことになる。 
2022年度の防衛費5兆4千億円の内訳は人件費2兆円、武器の修理・維持費1兆円、基地対策費5千億円、装備品等購入費8千億円など。戦車、戦闘機、護衛艦などの兵器の購入は、この8千億円から捻出される。
装備が不十分であることは明らかであり、研究費にいたっては1千6百億円に過ぎない。
ウクライナ情勢は長期化したが、日本の継戦能力に課題もある。つまり、弾薬、燃料などの備蓄が十分ではない。
さらに近代戦争はサイバー、宇宙という領域にまで及んでおり、研究開発費を思い切って増額しなければならない。
集団安全保障の重要性 
また喫緊の課題は打撃力の保持である。
2020年9月に総理大臣を辞する前に、日本有事の際に相手国を攻撃する打撃力を保持すべきという方針を表明した。
仮にミサイルで攻撃された場合、そのミサイルを迎え撃つ能力だけでいいのか。
実際に攻撃を受けた場合、あるいは、その事態が起きることが明確に予測される場合に、ただ迎え撃つ態勢を取るだけでなく、相手国を攻撃する打撃力を持つ。
もちろん日本有事の場合、日米安保条約により、日米両国が共同対処するが、打撃力は米国だけに任せるということで、同盟関係がはたして機能するのか、という問題提起でもあった。
その後、政府・自民党内で「反撃能力」という表現、要するに打撃力にほかならないが、その必要性を打ち出した。
打撃力を持つことによって日本の抑止力が一段と向上することは間違いない。
ウクライナ侵攻は集団安全保障と核問題の重要性が大きくクローズアップされることになった。
ウクライナは2008年にNATO加盟を申請したが、ドイツなどの反対もあり、実現しなかった。
ウクライナが集団安全保障の輪に入っていればロシアから侵攻されることはなかった。
ロシアと国境を接しているラトビアなどバルト三国が侵攻されないのはNATOに加盟しているからである。
一部野党、左翼ジャーナリストに問う!
第2次安倍政権で平和安全法制を実現し、集団的自衛権の一部行使が容認されることになった。 
当時の一部野党、左翼ジャーナリストは「集団的自衛権を行使すれば、戦争に巻き込まれる」と批判したが、ウクライナの現状を目の当たりにして、いま何を主張するのか。
是非、問うてみたい。 
またプーチン・ロシア大統領は今回、戦術核の使用に踏み切る可能性に言及した。
戦術核であっても使用されれば、あまたの生命が奪われることになる。
報復する際も、あまたの命も奪われることになる。
そのなかで、果たして米国は確実に報復するかどうかという点において、「NATO核」という核シェアリングを選択した。
ドイツをはじめ、5ヵ国が米国の核を自国に置き、NATO合意の上に使用することになる。
使用する際は自国の空軍が実行する。
デュアル・キー(二重鍵)と言われるゆえんである。
この方式により、抑止力を維持している。
ひるがえって、日本は拡大抑止という形で、米国の「核の傘」の下、自国の安全を保持している。
今後、求められるのは日米の拡大抑止協議をハイレベルで行い、相手国に対して、その確証性を高め、抑止力を強化することである。
(『アイデンティティ』第117号より転載)

安倍総理からの初めての原稿 
葛目浩一(くずめこういち)(『アイデンティティ』編集長)

安倍総理から、この原稿をお預かりしたのは、6月15日。
参院選の活動が始まる6月22日以降、安倍総理は原稿を書く暇はなかったはず。
この原稿が本当の意味での遺稿になったのではないでしょうか。 
岸田政権は防衛費GDP比2%を5年以内に達成すると掲げましたが、そんな悠長なことを言っていては、日本が持ちません。
危機感をつのらせた私は、お手紙で安倍総理に国防についての原稿を依頼したのです。
安倍総理の危機感がひしひしと伝わってくる内容に、やはり日本には安倍総理が必要だという思いを強くしました。 
弊紙と安倍総理のご縁のきっかけは平成20年2月、明石市議会議員千住啓介(せんじゅうけいすけ)氏の「安倍政策の形骸化を憂う」と題する弊紙への寄稿です。
当時、弊紙の熱心な読者が議員会館に弊紙をホスティングしており、その寄稿が安倍総理の目にとまりました。
後日、安倍総理から、千住氏のところに電話があったのです。
「いい記事を書いてくれてありがとう。今度、うちの事務所に遊びに来て下さい」 
安倍総理が弊紙の読者になってくれていたと千住氏から聞き、後日、事務所を通じて「憲法について書いてほしい」と原稿を依頼しました。 
初めて掲載した安倍総理の原稿には思い出があります。
いただいた原稿に「憲法改正」と書かれていた心で、秘書を通じて「うちの主張は自主憲法制定なんです。『自主憲法』に変えてくれませんか」とお願いしました。
秘書は困っていましたが、安倍総理は快くこちらの要求を呑んでくれた。
いま思えば、恐れ多いことをしたものですが、原稿料もない、うちのようなミニコミ紙にも安倍総理は丁寧に対応してくれました。
その「気配り」には頭が下がります。 
安倍総理とはお会いしたことがなく、一度、直接会ってお礼を言いたかったのですが、結局、叶いませんでした。
この場を借りて、お礼を言わせて下さい。
安倍総理、本当にありがとうございました。


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