境内の手水舎隣に、弁天池と呼ばれている小さな池があります。 覗き込むと鯉が集まってくるので、実際にご参拝された事のある方はすぐに思い出していただけるかもしれません。
池の中ほどには名前の通り弁天様『厳島神社』が鎮座しています。 また水面下には以前“龍神いじめ”という祈雨の神事が行われていた事を示す龍の石像もあります。 今はその近くにまで垣が迫っており、昔はもっと大きな池であった事をうかがわせます。
弁天様と厳島神社…一見まるで別々の存在に思えますが、奈良時代頃より興った“神仏習合”の流れの中で同一の神様と見なされてきた歴史があります。
神仏習合については時代によって考え方の変遷がありますが、大まかに表現すると“○○の神は○○の仏の化身である”と神仏一如、本体は同じだとする考え方の事です。 例えば当社の御祭神である『素戔鳴尊(すさのをのみこと)』は仏教の『牛頭天王(ごずてんのう)』と同一と考えられていました。
弁天様は七福神として有名な芸能・財福を司る仏教の守護神ですが、元々はインドで河川の神として信仰されていました。 一方厳島神社は『市寸嶋比売命(いちきしまひめのみこと)』を主祭神とする海路守護の海の神。 同じ水に関わる神様として、中世以降習合していったと見られています。
3月3日は弁天様の例祭日。 今日御社殿の清掃が終わり、明日宮司奉仕により池の前で祭典が執り行われる予定です。
予報通りに良い天気に恵まれることを祈っております。