神社参集殿内にある美容室で着付けをされている方を見て、もう卒業式の季節なのだと実感しました。 まだ北風を感じる頃だと思っていましたが早いものです。
ところで世の中には『○○式』『○○祭』と呼ばれる行事が多くありますが、式と祭とどのように使い分けているかご存知でしょうか?
辞書ではどちらも流れに沿って行う行事や式典、と大まかにしか説明されていませんが、神社においては基準があって使い分けをしています。
祭の字の成り立ち。月が供物の肉、又がそれを置いている手を表しています
一言で言ってしまえば、神社では “神様に対しお供え物をする行事” を『祭』とし、“お供え物をしない行事” を『式』としています。
これは元々『祭』の文字が “台の上に手で肉を差し上げる” という意味の象形文字である事から来ています(ちなみに『式』は “棒で工作をする”、転じて物事の進め方、の意味)。
ですので祭といえば神社では例祭や先月の祈年祭など、式ならば夏冬の大祓式や遥拝式と区分に定めがあるのです。
神社以外の場所でも例えば慰霊祭ならば “御霊に対してお供え物を捧げて御慰めする行事”、追悼式ならば “人々が集まって亡くなった方を悼む行事” となります。
ただ今は御存じの通り『学園祭』『創業祭』など儀式の有無に関わらず祝典の意味合いで使われる言い方にもなりました。 それに異議があるわけではありませんが、元々はこうだった、という事を知っておいてもいいのではないでしょうか。