境内にはないのですが隣の公園に大きな金木犀の木があり、この季節になると境内までその香りが訪れます。
花期は9月半ばから10月半ばとほんの一時ではありますが、間違えようのない独特の甘い香りは本格的に秋を迎える合図のようにも思えます。
よく見ると無数の黄色い花が
金木犀が中国から日本へ伝来したのは江戸時代の事で、日本における栽培はそれほど昔からではないようです。
しかし中国では冬に枯れない生命力と香りの良さから“若返りの薬”の材料とされるほど縁起の良い木と言われていました。 またその点で満ち欠けを繰り返し永遠の命を持つ月と関わりのある木だともされ、“月には桂(かつら、モクセイの木の事)が植えられている”という伝説も生まれました。
その伝説は平安時代頃には日本に伝わっていたようで、僅かながら和歌にも詠まれています。
『黄葉(もみち)する 時になるらし 月人の 楓(かつら)の枝の 色づく見れば (詠み人知らず)』
楓、は桂の雄株の事。 月の美しく見える季節になった、というのを月にある桂が花を咲かせた事に例えて詠まれたものです。 まさに今の時期にぴったりの歌ですね。