茨城県の県南地域には竜ヶ崎線という営業キロが全長4.5kmとたいへん短い路線があり、駅の数は3駅です。
短いながらも、始発駅と終着駅の途中に無人駅の入地駅(いれじえき)という途中駅があって、すべての車両
がこの入地駅に停車します。駅周辺には民家がそこそこありますが、利用に繋がっているのでしょうか?
少なくとも私の知る限り、この入地駅で乗車したり、下車したりするお客さんはほとんどいないように思いま
すので、入地駅に停車しても形式的にドアを開けるだけで、誰も降りるはずが無い、乗ってくるはずがないと、
乗車しているお客さんや運転手さんは思っているのではないでしょうか。
それでも、どこにでも地域鉄道への愛着が深い方がいるものですね。「入地駅は縁起の良い字が使われている
じゃないか」だから「この駅を受験の聖地にしよう」そうすれば「入地駅で降車するきっかけになる」と考え
た方たちがいます。
入地駅の「入」を入学できるや入社できる、「地」を地力が付く、ことにそれぞれ掛けて、更に「合格」と
「5を書く」の語呂合わせをして、「合格の思いを込めて白チョークで黒板に5を書き、スマートフォンなどで
写真を撮ってもらいたい。合格したら、以前書いた5を赤いチョークで囲んで」としました。掲示板の名前は
「合格掲示板」です。閉校した旧長戸小学校で使われていたものが再利用され、黒板になっているので、同駅
待合室にあるチョークで文字を書くことができます。
掲示板を見るとこの時期ですから、沢山の「5」が書かれており、中には「合格しました」とのコメントも見
られました。書き込めるのは合格祈願らしく3月末までの限定です。どうやら思惑が的中しているようです。
掲示板には「5」の字がたくさん書かれていました。「5」を書くために、この駅に降り立つ人がいることは
間違いないようです。
線路は一直線で、片側ホームのみのシンプルな駅です。駅舎はなく、ホームにドアのない待合室が置かれてい
るだけです。当然、駅前広場も周辺の見どころの案内表示もありません。
茨城県南地域唯一の無人駅「入地駅」は都心からそう遠くないのに、このローカル感はたまりません。