すずしろ日誌

介護をテーマにした詩集(じいとんばあ)と、天然な母を題材にしたエッセイ(うちのキヨちゃん)です。ひとりごとも・・・。

マムシ

2006-06-17 22:06:30 | うちのキヨちゃん
 うちはすごい田舎であるため、よくマムシに遭遇する。山の子だとて恐いのは同じなのだから、出来ればお会いしたくないのだが、これがほぼ毎年一度や二度は出会うのである。巣が近くにあるのか、我が家の隣家などは庭で出くわすというからいただけない。
 さて、うちのキヨちゃんは何を隠そう「マムシ捕り」の名人である。危険だからいいかげんやめてと訴えても
 「うちが見つけたときに仕留めんと、他の人が噛まれる。」
と言ってきかず、自分が噛まれるとは思ってもいない。
 ある夏の日、隣家のお嫁さんから声をかけられた。
 「あの・・・、蛇がいるんだけど、マムシかなあ?」
田舎育ちとはいえ、マムシと会ったことがない彼女には見分けがつかなかったのだ。私はといえば、キヨちゃんのおかげですっかり目が肥えており、その分見分けが付く。ちなみにマムシは
1,太くて短い
2,鎖模様がある
3,ほとんど動かない(逃げない)
である。
 おそるおそる庭先を見ると、それはまさにマムシであった。慌ててキヨちゃんに電話するように伝えて、私とマムシはにらみ合った。その後は子供を家の中に入れ、ふたりして遠巻きにウロウロするばかり。
 するとあろうことかマムシは壁を登り始めたのだ。そこで私は咄嗟に「お湯!」と叫んでいた。壁のこちら側に身を隠しつつ、熱湯で退治しようという、浅はかな考えではあった。ところがお嫁さんもほのぼのとした天然系で、渡されたやかんから出てきたのは、あずかなぬるま湯。頭からそれをちょろりと掛けられたマムシは怒る怒る!
 万事休す!と思っていたところにキヨちゃん登場。体よりも大きな殴り鎌と火ばさみを持ち、高笑いする姿は、プチ弁慶である。
 「お前らにはあつらえん。ははは・・・」
そして数分後、マムシはあえなくキヨちゃんの手に落ちた。「危ないからやめて」とは決して言えなくなる私である。
コメント (1)
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性格

2006-06-17 21:39:38 | じいとんばあ
   性格

 人は変わっていくのです
 あなたの愛した おばあちゃんは
 優しい笑顔の おばあちゃんだったのですね
 暴れたり 叫んだり ひどい言葉を吐くこの人を
 見るのは きっと辛いでしょうね
 受け止めるのは もっともっと辛いでしょうね

 人は変わっていくのです
 あなたの憎む おじいちゃんは
 冷たくて わがままな おじいちゃんだったのですね
 でもほら こんなに無邪気に笑うのです
 一度 会ってあげてくれませんか
 それで水に流せるほど 歴史は甘くないのでしょうか

 私たちは 今のこの人たちしか知りません
 だから この人の過去に どんな罪があっても
 今のこの優しさを 抱きしめていこうと思うのです
 だから この人のあたたかい昔の人柄を
 もっともっと教えてください
 きっと 忘れてはいないと思うのです

 今 意地悪で 実は昔もいじわるだったおばあちゃん
 たぶん 当然 そんな人もいるのです
 だけど 認めていこうと思うのです
 だって 本当の家族は逃げることは出来ないのだから
 その人たちに 託された命なのだから
コメント (2)
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