すずしろ日誌

介護をテーマにした詩集(じいとんばあ)と、天然な母を題材にしたエッセイ(うちのキヨちゃん)です。ひとりごとも・・・。

勘違い

2006-06-22 23:36:19 | うちのキヨちゃん
 家に猫が来てから、一年あまりもたった頃である。キヨちゃんの怒声に、私は何事かと裏庭に向かった。訳を聞くと、どうやらよその猫がうちの猫と寄り添っていたらしいのだ。別段、悪さをしているわけでなし、構わないと思うのだが、もともと猫嫌いだったのだし、よその猫は可愛くないのだろうと思っていた。
 すると私に彼女はこう言った。
 「うちのくろちゃんに、子供が出来たら困る!」
・・・・。私はしばし絶句した。何故ならうちの「くろちゃん」はれっきとした雄なのだから。しかも「去勢」しているのだ。
 だいたいキヨちゃんは、信じられないような勘違いが多い。あるいは感じたまま考えずに、口に出してしまうので、結果驚くような発言となる。
 動物好きの我が家の好きな番組に、「ポチたま」というのがある。中でも大好きなのが、「まさおくん」というラブラドールの旅犬と「松本くん」という旅人が、全国を回るコーナーである。その「まさおくん」に子犬が産まれた。あまりにそっくりなので、旅先でも間違われるほどだった。それを見ていたキヨちゃんも
 「まさおくん、可愛いなあ。」
と、「だいすけくん」(息子犬)を親犬と勘違いしていた。
 「お母さん、これまさおくんと違うんよ。」
 「まあ、違うん?」
 「息子の方。」
私が説明すると、キヨちゃんは間髪入れずにこう言った。
 「まあ、松本くんの息子。」
・・・。いくら何でも、勘違いにもほどがあるだろう。
 「そんなわけないやん!」
と突っ込む私を軽く無視して、
 「この人ら、お気楽な仕事でええなあ・・・。」
としみじみ言うキヨちゃん。あなたに言われたら気の毒だなと思うのだけど・・・。
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

2006-06-22 23:33:21 | うちのキヨちゃん
 現在我が家では猫と犬を飼っている。もともと祖父の犬好きのお陰で、昔から犬は常に飼っていた。しかし、猫はかつて飼った試しがなかったのだ。おそらく祖父が猫好きではなかったのであろう。父は動物はだいたい好きな人であるが、独身時代に飼っていた猫を、目の前で車に轢かれたトラウマから、飼えなくなっていたらしい。うちのキヨちゃんに到っては、大の猫嫌いだった。多くの主婦と同じく、土足で家に上がることを許せなかったのだ。
 そんな我が家に一生飼うはずもなかった猫がやってきた。ある日、家の前に捨てられていたのだ。当然家族は大反対、何となく家の周りで雨露をしのぐだけの猫だった。そこで仕方なく里親を探していたのだが、簡単に見つかるはずもなく、そのうちに少しずつ少しずつうちの猫になっていった。
 父と私はともかく、猫嫌いのキヨちゃんは最後まで飼うことを認めなかった。例え家で餌を食べていても「預かっている」と言い続けたのだ。しかし、ある日私は見てしまった。「しっしっ!」と猫を追い払いながら、落としたふりをして、いりこ(餌)をやるのを。ついに彼女も猫の魔法にかかったようだった。
 今では誰よりも猫の虜であり、父と二人にこにこ猫の寝姿に見入るキョちゃん。
 「父ちゃん、娘がいて猫がいて犬がいて、幸せよなあ。」などと言われてしまうと、なまじ「孫の顔が見たい」等と言われるよりも、胸に堪える私である。

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする