いい大人になった私にとって、キヨちゃんはネタの宝庫であり、大変愛おしい存在である。しかし、さすがに子供の頃、まだ恥じらいという物が大半であったり、ユーモアで切り抜ける術を知らなかった子供の頃は、大変ネガティブで、キヨちゃんの存在は大いに私を悩ませた。夏休みの宿題を手伝ってもらった子供は、他にもいるだろうが、手伝って貰わなくていいものに手を出されて、泣きながら手直しすることもしばしばあった。水彩画にボールペンで縁取りされ、悲鳴をあげたこともある。
ある参観日、他のみんなは後ろのお母さんが気になってわくわくしていたものだ。そして私もある意味どきどきしていたのだ。何かやらかすんじゃないかと・・・。さすがに授業中は大人しく見学しており、私もほっとしたのだが、給食の時間にそれは起こった。
今でこそ全く好き嫌いなくモリモリ食べる私であるが、子供の頃はひどく偏食で、給食の時腹痛を起こすほどだった。その日も、大嫌いなレーズンが山ほど入ったサラダと、大きすぎるタマネギに音を上げていたら、つかつかと歩み寄ったキヨちゃんは私の給食を食べ始めたのである。
「もったいない。こんなに美味しいのに。母ちゃんの味とちっとも変わらん。何が嫌なんで?」
教室が爆笑のるつぼと化したのは言うまでもない。みんなが笑えば笑うほど、純情だった子供の私はどんどん悲しくなり、親友にぽつりと
「私・・・死んじゃいたい。」
とつぶやいたりした。優しい彼女は
「どうして?すごくいいお母さんでえ。」
と言ってくれたが、見る側と本人とは違うのよと心の中で思っていたものだ。
しかし、人間は逞しくなるもので、今では何かやらかさないかと、ネタ待ちしている有様である。
ある参観日、他のみんなは後ろのお母さんが気になってわくわくしていたものだ。そして私もある意味どきどきしていたのだ。何かやらかすんじゃないかと・・・。さすがに授業中は大人しく見学しており、私もほっとしたのだが、給食の時間にそれは起こった。
今でこそ全く好き嫌いなくモリモリ食べる私であるが、子供の頃はひどく偏食で、給食の時腹痛を起こすほどだった。その日も、大嫌いなレーズンが山ほど入ったサラダと、大きすぎるタマネギに音を上げていたら、つかつかと歩み寄ったキヨちゃんは私の給食を食べ始めたのである。
「もったいない。こんなに美味しいのに。母ちゃんの味とちっとも変わらん。何が嫌なんで?」
教室が爆笑のるつぼと化したのは言うまでもない。みんなが笑えば笑うほど、純情だった子供の私はどんどん悲しくなり、親友にぽつりと
「私・・・死んじゃいたい。」
とつぶやいたりした。優しい彼女は
「どうして?すごくいいお母さんでえ。」
と言ってくれたが、見る側と本人とは違うのよと心の中で思っていたものだ。
しかし、人間は逞しくなるもので、今では何かやらかさないかと、ネタ待ちしている有様である。