Dream Gate ( 中野 浚次のブログ )   

本日はようこそ開いてくださいました!お芝居のことグルメを語ります!


          

江の島のクリスマス

2008-12-23 | 特別バージョン
         

     


  ★序 章★  
       
       夜の星はやがて 聖なる瞬間(とき)を知り
       真白な雪になって落ちる
       君の華奢な肩を 抱きしめたいけれど
       ロマンスが溶けてしまいそうさ
       車のハザードが急かすように
       無口な人を照らしてる

       I'll kiss you in the holy night
       yes, 熱い想い

       このときめきを忘れないで
                   
       I'll kiss you in the holy night
       yes, 愛の力

       この江の島で素敵に・・・

       メリークリスマス

     
       KAT-TUNが歌った『江の島のクリスマス』です。
       赤西仁のソロがしびれます。
       凍るような・・・
       透きとおるような・・・
       精巧なガラス細工のような・・ と言いましょうか・・。

       それに歌詞がとても切なく、心に沁みてきます。
       セピアカラーのクールな光景が泛んできます。
       クリスマスにぴったりのラブソングです。

       クリスマスの江の島はファンタジー。
       鮮やかなイルミネェーションで飾られ、島全体が宝石箱のようだ!
       そして、なぜか人びとを詩人にしてくれます。
       きっと、あなたのハートに・・・

       メリークリスマス・・・・ 





     


★第二章★

デジカメだけを持って、七里ヶ浜のホテルを出たのは昏れどきだった。
江の島の弁天橋を渡り、ヨットハーバーへと向うつもりだが、時間に空きが出来たので、その一本奥まった場所にある『カフェーマル』で少憩することにした。
店内はアンティークな机やイスが竝び、各テーブル上には古びた西歐風の置時計がカチカチと時を刻んでいた。
手作りのケーキとファイヤーキングのカップで供されるコーヒーが驚くほどに美味。

コーヒーを啜りながら、わたしは、ついさっきから窓際の席で、しきりに携帯電話をかけている女性をみかけた。
彼女は何度となく電話をかけるが、相手が電話に出ないらしい。
呼び出し音だけが鳴っている。
彼女は大きく息を吐いてから、ポイと携帯をテーブル上へ投げ出した。
ほんの数分しか経たないのに、また携帯をとって電話をかけはじめた。
やはり相手は出ないようだった。

「二度出ないのは三度かけても同じでしょ!!」
そう言ってやりたかった。
今夜のクリスマスイブに、男とデートの約束でもしているのだろうか・・・。
だとすると、約束の時刻をとおに過ぎているのに男はあらわれそうにない。

携帯電話という便利なおもちゃを手にすると、知らぬ間に時間をつぶせるものである。
彼女はそのおもちゃを弄ぶように、また電話をする。こんどはどうやら行きつけの美容院らしい。
「この間かけたデジタルパーマがうまくかかっていないので、もう一度かけ直してほしい」
ずいぶんと高飛車な物言いである。
約束の時刻に来ない男への苛立ちと、怒りをふくんだ声であった。
ついては自分は忙しいので、来週の××日しか空いていないから、その日に予約を入れて欲しいと主張していた。
棘のある口調だった。

決局、わたしと携帯を離さない女性だけが店に残った。

わたしが店を出るまで相手の男はついに姿を見せなかった・・・・。


       


  ★終 章★

          島の上ばかりが江の島の魅力ではない
          時にはヨットハーバーまで足を延ばすのもいいだろう
          
          湘南港のイルミネーションは ひと味異なる
          霧が靄って 紗をかけた舞台はエトランゼ
          ヨット60艇ほどあろうか  無数の光の帆が澯き
          海面(みなも)に映して 光の乱舞がはじまる
          海上自衛隊の掃海艇『のどじま』(画像・中央)も
          みなとを一人占めするかのように
          暗澹と横たわっていた

          少し風が出たのだろうか・・・
          夜目にも處々白い波頭だった
          ひゅーと夜風が 面を打ってきた

          もう二度とこの江の島を訪ねることもなかろうかと
          ふりかえれば
          波の音が背に迫っていた




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