「まあ ぶぶ漬けでも食べとくれやす」
「ぶぶ漬け」とは京ことばでお茶漬けのこと。
京都で他人の家を訪問したときに、こう勧められる。
それは大抵の場合、「早よいんでおくれやす」と暗に帰宅を催促していると思って間違いないだろう。
そのお茶漬け屋に行ってきました。
京都でも老舗で知られた丸太町にあるお茶漬け専門の「十二段家」。
外観は鉄筋の建物ですが、内部はお茶漬け屋さんらしく京の町屋風。
二階は、しゃぶしゃぶ、近江牛ステーキコース専用で、3室の個室があります。
階下は5人座りのテーブル席が4席。
混んでいても、決して相席させないのが、この店の流儀なのです。
〇 元祖お茶漬け 〇
「十二段家」のお茶漬けメーニューは「すずしろ」「水菜」「菜の花」の3種。
(画像は「水菜」のコース料理です。)
■ 水菜 ■
・ 冷やし京野菜の盛り合わせ
・ 出し巻き
・ 赤出し
・ お漬物の盛り合わせ
・ 御飯(←おかわり自由)
最初から御飯にお茶はかけず、まず普通通りにいただいて、おわりにお茶でもかけてサラサラと頂くのが、本来の「お茶漬け」の召し上がり方です。
ちなみにお茶は香ばしい「京番茶」でした。
京番茶とは、京都の家庭では常用のお茶として親しまれています。
お茶で有名な「一保堂茶舗」では『いり番茶』、「柳桜園茶舗」では『刈り番茶』の名で売っています。
お茶漬けといえば、欠かせないのが漬物です。
「なす」 「胡瓜」」 「白菜」 「人参」 「長芋のわさび味」 「牛蒡」 「すぐき」 「志ば漬」など京野菜の漬物の盛り合わせ。
「出し巻き」の美味しかったこと。
フワ~フワ~で、茗荷がそえてありました。
隣の席のおばちゃん「出し巻き」のおかわり・・・・ですって。
「出し巻き」だけでも「十二段家」さんに来た価値は十分あります。たしかに。
▼ こんな写真も撮りました ▼
昭和初期の「十二段家」建物全容の版画です。
大正のはじめ、先代が京都・丹後出身の菓子職人だったことから、京都は四条の祇園町に「丹後家」という小さい「甘いもの」やを構えました。
場所が廓の近くであり、朝帰りの酔客からあっさりしたお茶漬けで口直しを望まれたのす。
たまたま有り合わせの浅漬けでご飯を出したところ、これが大層よろこばれて注文も日毎に増してまいりまして、赤出しに季節のお漬物とりどりにご飯という簡単な献立が今日のお茶漬けのはじまりだったようです。
なんだか圓生の人情噺をきいているようでございます。~おあとがよろしいようで・・・
お茶漬け処 「十二段家」
京都市中京区烏丸丸太町西入ル
11:30~14:30
17:00~20:00
075-211-5884
水曜日
なし
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