団塊シニアのひとりごと

定年退職して14年目になりました、定年後の生活で
日々感じたことを伝えたいと思ってます。

最高の贈り物

2017年07月07日 | 

1998年ベストエッセイに選ばれた仙台市の小学5年生の女の子

の書いた「最高の贈り物」、がんを患ったお祖母さんがお母さんに

贈った「まな板」、もしも亡くなった時に台所でまな板をトントン

と叩くたびに、きっと私のことを思い出してくれるでしょうという

いで贈った、まな板。

 

人間はお金を残すと喧嘩の種を残すから私は何も残さないと言った

お祖母さん、人間、人生の最後に自分の家族に何を残せばいいのだ

ろうかとふと子供ながらに考えた作者、まな板というささやかな物

だけど家族にとっては最高の贈り物であると思ったという内容のエ

ッセイであるが瑞々しい感性が溢れてて素敵な内容である。

 

そして私自身「最高の贈り物」とは何だろうか?そろそろ家族のた

めに考えなければと思う今日この頃である。


「小泉今日子書評集」の魅力

2017年06月06日 | 

芸能界きっての読書家、女優小泉今日子さんの「小泉今日子書評集」

2005年から10年間、 読書委員の書評97冊をまとめたものであ

る。

 

 

この書評が独特なもので自らのエピソードを交えさりげない文章で

み手を惹きつける手法は秀逸である。

 

そこで4冊の書評の冒頭部分を紹介したいと思う。

 

■穂高明「これからの誕生日」

 

見ず知らずの人の人生を想像してみることがある、この世にはたく

んの人が生きていてそれぞれの毎日がある、私の陳腐な想像を超

える幸福や悲しみがきっとある。



 ■辻村深月 「ツナグ」

 

死んでしまった人に一度だけ会えるチャンスがあるとしたら私はど

するだろうか?



 

■益田ミリ  「ほしいものはなんですか?」

 

とりあえず今を生きるために必要なものを十分に手に入れてしまっ

私にはほしいものなんてないのかもしれない、でも心のどこかで

自分の人生には確かになにか足りないと感じてしまう日々である。



 

■桐江キミコ  「お月さん」

 

この世の中では生きにくそうな人達が悲しくなるくらい、はかなく

小さな夢を見ながら生きている、それでもいいから生きたいんだ!

という切実な思いが伝わってくるからぎゅっと抱きしめてあげたく

なるほどみんな愛おしい。

 

このように本の中身についての評論に入る前に、冒頭の一行で読み

手を惹きつける、自分が考えていること、感じていること、懐かし

い記憶など小泉今日子という一人の女性の本音が聞こえてくるとこ

ろが魅力である。



 

特に「別れ」について言及した次のフレーズが私が最も気に入ってる

評のひとつである。

「生きている私はサヨナラを言った人たちのことを時々思いだす、求

られれば思い出を語る、そうすれば私は死ぬまでその人たちは私の

なかで一緒に生きているような気がして頼もしい気持ちになる」