もう一つの恐怖

北海道の山を歩いていて
気を付けることはたくさんある

山が深い分、気象条件はもちろんだが
山の水もそのまま飲むことが出来ない

必ず煮沸しなければならない
今度の山行で便利なものを見つけた

単独行の男性が持っていたろ過機だ
あれは軽くて便利だと思った

そうして今回、山で初めて恐怖を感じたものがあった
それはヒグマの存在

特に霧の時や夕暮れ時など出くわすことが多いそうだ
ロングコースを歩くときは疲れて忘れてしまいがち

トムラウシからの下山の時、そのことが最も気になった
それは、長丁場のコースで後半は足取りも重くなり

時間がかかってしまう
予定時間が大幅に遅れることになると

一番にヒグマの存在が恐怖となる
この時も、一緒に歩いていた仲間二人（広島からの単独行の女性を含む）が

途中で悠長に花の写真を撮っていた
私は、時間も大分かかっていたので先を急ぎたいのと

ヒグマのことが気になっていた
リーダーとしてつい彼女たちに注意してしまった

「ここは北海道と言うことを忘れないでください」
「クマがいるんですよ！それもヒグマがそこいら中に」

せっかく楽しみの花を写真に収めたいのは分かるが
ここは心を鬼にせざるを得なかった

先を歩いていたツアー登山のガイドさんは言っていた
ここはどこでも出ると思っていた方が良いですよと

そして彼らはクマ撃退のスプレーを持っていた
やっぱりそうなんだ

地元のガイドさんでも用心してるんだ
北海道に住んでいたお父さんも出かける時に言っていた

ヒグマが出るからな！
十分気を付けて行きなさいと

手つかずの大自然には当然動物たちもいる
その場所にお邪魔させてもらうのだから

幸い今回はクマに出会うことはなかったけれど
いつも心して歩こう