生物の形-ポリ亭のマクロ・顕微鏡写真-

 身近な動植物のマクロ写真や顕微鏡を用いて撮るミクロ写真を載せていきます。「生物の形」を気楽に楽しんでいきたいものです。

トビウオのうろこ(4)縞々構造領域(c)偏光顕微鏡写真

2007-06-10 11:29:37 | Weblog
◆ 前回と同じ場所の偏光顕微鏡写真です。ただし,試料を時計回りに90度回転して撮影しました。空青色の領域が少なくなりました。
◆ 前回の写真で中央の区切られた領域内の空青色が濃い領域とそうでもない領域が交互に存在していると述べましたが,今回の写真ではそれが逆転していることが分かります。すなわち,前回空青色が濃い領域の空青色は消えてしまいました。
◆ 前回の結果とあわせますと,縞々構造内では,屈折率が外周に沿って大きい領域と,半径方向に沿って大きい領域が交互に並んでうろこを形成していることになります。
◆ 屈折率にはマトリックスである高分子と無機成分の両者が寄与しています。いずれ,脱金属処理した試料を用いて再測定するつもりです。
ミクロラボ Π(パイ) ポリ亭  参照:高分子-ミクロの世界-(Yahooブログ)

トビウオのうろこ(3)縞々構造領域(b)偏光顕微鏡写真

2007-06-10 10:48:43 | Weblog
◆ 前回示した縞々構造の同一場所の偏光顕微鏡写真を示します。例によって光を通過させる方向を直交させた2枚の偏光子の間に試料をおいて検鏡しました。試料を通過後の光路に1λ(赤色)の検板が挿入されています。
◆ この条件では空青色の領域の屈折率が右斜め上方向の屈折率が大きいことになります。縞々構造を区切っている筋がそうです。中央の区切られた領域内では,下半分の縞々構造は全体として半径方向の屈折率が大きいのですが,中でも空青色が濃い領域とそうでない領域が交互にできています。
◆ 試料を時計回りに90度回転したときに,この写真と同領域の縞々構造の色がどう変化するのでしょうか。次回に述べましょう。
ミクロラボ Π(パイ) ポリ亭  参照:高分子-ミクロの世界-(Yahooブログ)

トビウオのうろこ(2)縞々構造領域(a)

2007-06-10 10:41:05 | Weblog
 トビウオのうろこの上半分(先端側)の顕微鏡写真を示します。この領域には外周に沿って縞々構造が形成されています。縞々構造は基底を構成する膜に盛り上がって同心円的に形成されており,膜の補強の効果を果たしています。縞々構造は放射状に区分され,立体的にすこし盛り上がっています。全体として平たくなっているより,このような構造の方がうろこの弾力や強度を保持するためには有利だと考えられます。凧でも平べったいよりはぐっと曲がっているほうが,少々の風に対応して弾性的に変形できるのと同じと考えてよいでしょう。
ミクロラボ Π(パイ)  参照:高分子-ミクロの世界-

トビウオのうろこ(1)パノラマ像

2007-06-10 10:01:33 | Weblog
 トビウオのうろこのシリーズに入ります。図は長い方向のパノラマ写真です。左側にはうろこに共通的な縞々構造,中央付近には同心円環的構造があります。右側は平たくなっており,そこで皮膚にくっついています。前回の記事で紹介したタイのうろこと異なり,皮膚に突き刺さる尖った針のような組織はありません。イワシのうろこと同様,皮膚から剥がれやすいのはそのためでしょう。
ミクロラボ Π(パイ) ポリ亭  参照:高分子-ミクロの世界-