別府にある竹の学校の生徒が見学に遣って来た。今年の春に入学した生徒さんである。例年、10月ぐらいになると、そろそろ卒業後の進路が現実味を帯びて来るのだ。春に入校したばかりの頃は、初めての体験ばかりで、心も新しい体験などで卒業後の現実などはあまり考えていない。しかし、卒業が段々と迫ってくると、嫌が上でも現実と向き合わなくてはならない。
昨日は3人見学に来た。私が独立した頃の話や、現在の工芸品の置かれている状況など話してあげるのだが、今、この成熟した豊和状態の社会の中で如何に自分の作品の存在感を作っていくのか?厳しいけれど、やらなければ生き残って行けないのだ。そんな事を彼らと話して居る時に、もう一人、ヒョコンとお客さんが遣って来た。一番左の彼である。
先月、私の大阪の知り合いから「来月、友達のD君が、九州に行きます。その彼から、「九州で面白い人が居たら紹介して!」と頼まれ、高江さんを紹介しても良いですか?」と電話があった。「私は別にかまわないから良いですよ!」と答えておいたのだが、男の人なのか?女の人なのか?どんな形でどんな目的なのか?そんな事も知らないで安請け合いしたのだ。紹介してきた友人というのも、通販会社の社員で、私のバッグを扱ってもらった時の担当者だが、2・3度くらいしか話した事が無いのだが?
果たして、やってきたのが奈良県の大学で情報工学などを勉強している学生であった。NHKのロボコンなどにも出たことがあるそうだが、今は一年休学して、日本中をスーパーカブに乗って旅をしているらしい。
背中に釣竿を背負い、大きなリュックと荷台にテントや生活用品、果ては、下関の市場で仕入れた小魚の開きを網に詰め、走りながら日干しにしていた。おなかが空くと之を食べるのだそうだ。ほとんど、野宿をしながら、北海道から本州、四国、九州と南下してきた様だ。実にたくましい、微笑ましいキャラクターである。