遂に、大きなモニュメントも最後の工程「漆がけ」に来ました。
研ぎ出して、コントラストの出た作品に、漆を浸み込ませ、艶と風合いを作り出していきます。
私の所では、「朱合」というタイプの漆を使っています。刷毛で全体に塗り、その後、斑が出来ない様に、ブラシで散していきます。
2回、漆がけをします。
1回目は、記事に漆が吸い込まれてしまい、殆ど、艶は出ません。下地が出来た所へ、2回目の漆を塗っていきます、すると、しっとりとした艶が出てきます。この2回目の漆の濃さが、表情を作ってくれます。あまり濃いと、テカテカして安っぽい感じになってしまうし、薄いと、艶に物足りなさが感じられます。
どの位の濃さにするか?は、その時その時の条件を加味しながら、経験値で決めていきます。
今回、一番困った事は、作品の大きさです。
普段は、「室(むろ)」に入れて、乾かすのだが、今回は、大きすぎて、とても室に入るものではありません。
漆と云うのは、面白いもので、生きているのです。
乾く条件を作ってやらなければ為りません。
空気が乾燥していると、乾きません。
漆を乾かすのには、適度な温度と湿度が必要なのです。
室の場合は、湿度を作り出す熱ヒーターを使って、温度と湿度を作り出していきますから良いのですが、今回は、部屋全体を室にすることになります。
2月の気候は乾燥しており、低温です。湿度35%、気温マイナス5℃などと、何もしなければ、漆は乾きません。
そこで、漆の部屋全体を24時間、ストーブの上に大きな鍋を乗せ、加湿器をフル稼働させ、漆が乾く条件を作っていきます。その代わり、夜中に、起きて、ストーブの石油と、鍋の水の補給をしなければなりません。
2回の漆を乾かすのに、ほぼ、1週間かかりました。
やっと、出来上がりました。
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