本日の高住神社の状況です。
◆曇り
◆3℃
◆積雪量…20cm~
気温が上がり、一気に雪が溶け始めました。
おかげで路面の雪がシャーベット状になり、カーブでは尻を振りながら危険な目に。
土木事務所に除雪要請を依頼したので、現場を見にきて判断してくれることでしょう。
さて、昨日の続きですが、シカ・イノシシの農林作物への被害はこの山に限ったことでなく、とりわけシカによる被害は全国的に見られるようです。
シカが増加した原因はいくつかあり、生態系バランスの崩れ、狩猟者の減少、温暖化などが挙げられ、シカ・イノシシによる被害は農作物に限らず、希少な山野草や植樹した苗の採食、また樹皮を食べることで樹木の生育阻害などがあります。
熊谷信孝氏著「英彦山・犬ヶ岳山地の自然と植物」によると、シカは餌が少ない冬期は常緑広葉樹や杉の葉・樹皮を食べてしのいでいるそうです。
写真は落ちてきた杉の葉を食べに向かったシカの足跡
とりわけ希少植物の多い英彦山では、これらの植物が絶滅などの危機に窮してますから、どこかで歯止めをかけなくてはならないのでしょう。
そこで昨日の疑問点に戻るのですが、“英彦山のシカ”は狩っても大丈夫なのか?と思ったわけです。
それは、英彦山の開山伝承に藤原恒雄が射った鹿の話があるから。
猟師であった藤原恒雄が一頭の白鹿を射ったところ、三羽の鷹が倒れた鹿に舞い降り、一羽が矢を抜き、もう一羽が羽で傷を拭い、さらに一羽が桧葉に水を浸して飲ますと、鹿は見事に生き返り去っていったという話。
これを彦山の神の仕業ととらえた恒雄は、殺生を懺悔し、善正上人のもとで修行して忍辱と名乗り、善正・忍辱の二上人として称えられるようになりました。
このようにシカは英彦山に縁深い生き物ですから、狩猟対象にしてよいものかと疑念が湧いたのですが……。
もちろん、現実的な側面からすれば、増えすぎたシカは自然生態系に著しい負荷を与えてしまうため、適正個体数に調整すべく管理捕獲は必要であり、シカ・イノシシ肉という副産物によって町が経済的に潤えば、ということなのでしょう。
私も何度かイノシシ料理を食べたことがありますが、美味しいうえに山間でしか食べられない珍しい食材を食べることができたと嬉しく思いましたね。
元々、獣肉の中では昔は一般的だったものですから、彦山山伏も一度たりとも口にしなかった、なんてことはないはず……
猟をするにも、山の神様に断りさえいれれば、寛大な処置をしてくれるのではないでしょうか。
と、長い独り言になってしまいましたが、シカやイノシシが増えたのは人間側にも原因があるようです。
結局のところ、狩猟によるシカ・イノシシの捕獲は最終手段であり、まずはこれらの動物が人里に近づかせないようにすること、人間が恐ろしい存在と理解させることが大事。
本来できていた動物と人間の棲み分けですから、ちょっとずつ時間をかけてでも元に戻してゆければと思います。