雪原を奔る雲影春兆す たけし
俳句は自得の文芸と割り切っているが
独りよがりに陥る危険がある
自身でもある程度の得心があって
他から評価される句を佳としている
今回掲句が毎日のようにトライしている
「俳句大学」の投句で安倍真理子氏の選をいただいた
鑑賞文は過分で赤面ものなのだが参照いただきたい
安倍真理子 一句鑑賞】(3月24日「一日一句互選」より)
雪原を奔る雲影春兆す たけし
大地はまだ雪に覆われている。その上を雲の影が奔る。ただそれだけのことだけれど、作者はその景に、冬とは明らかに異なる春の気配を感じている。
「雪原」の白と「雲影」の黒のコントラストがとてもいい。「雲影」が「奔る」、そのスピード感もとてもいい。降りそそぐ陽差し、雪の煌めき、青空を流れる雲、雪の匂いの風、そのなかにある、動き出そうとする樹々の匂い。簡潔な描写と「春兆す」という季語の働きによって、情景がいきいきとひろがってゆく。
いつの間にか、私も雪原に立っていた。