竹とんぼ

家族のエールに励まされて投句や句会での結果に一喜一憂
自得の100句が生涯目標です

梟を眺め梟から眺め 原田 暹

2019-11-28 | 今日の季語


梟を眺め梟から眺め 原田 暹

梟は鋭いカギ状の短い嘴と強力な爪のある脚を持った夜行性の肉食鳥である。だから普段は動物園くらいでしか見られないが、一度利根川河畔で見たことがある。その時は目の前でカラスと組んず解れずの大格闘をしていた。何を間違ってか、昼間その姿を見せてしまったのである。カラスは夜間は動けなく、夜行性の梟に度々襲われるらしい。特に子育て中の子ガラスは標的である。それやこれやで昼間は立場が逆転、勝負は圧倒的にカラスが優勢となる。揚句は梟が2回、眺めが2回でこれを「を」と「から」で結んで出来上がった。確かに梟を見ているとあのまん丸い梟の目からも見られているのかも知れないと思う。この作者と梟の間合いがどこか可笑しい。『天下』(1998)所収。(藤嶋 務)

【梟】 ふくろう(・・ロフ)
◇「ふくろ」
人の顔に似た顔面を持つ。ミミズクより大型で耳羽はない。森林に棲息するが神社の大木などにも営巣する。夜行性で、ネズミなどの小型哺乳類を中心に、鳥類、昆虫なども捕食する。その声などから、冬の夜にふさわしいとされた。

例句 作者

梟のその真下にて星座狩り 市川英一
禽嚥んでふくろふのまた瞑想す 鈴木貞雄
月雲に入れば梟鳴きにけり 岡田夏生
梟に夢をあづけし旅寝かな 摂津よしこ
さびしさの絶対量を問ふふくろふ 夏井いつき
百夜来し梟に遣るものの無し 大石悦子
梟のねむたき貌の吹かれける 軽部烏頭子
梟の声に応へてをりしかな 上田 操
これ着ると梟が啼くめくら縞 飯島晴子
鉄皿に葉巻のけむり梟の夜 飯田蛇笏