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底冷えが卓の四脚を匍ひあがる 富安風生
はんぱなお寒気が部屋中に満ちている
それでもいよいよ寒気は強まって
ついには卓袱台の脚を這いあがってくるような
作者はどうにもやりきれない
みたことのない擬人化だ
(小林たけし)
【底冷え】 そこびえ
身体のしんそこまで冷えることや、そういう感じの寒さをいう。「冷たし」同様、皮膚に感じる感覚的な寒さをいうが、即物的な印象は薄い。
例句 作者
そこ冷えの夜ごとは筆のみだれけり 石橋秀野
眠りても底冷に置く耳ふたつ 橋本榮治
底冷えに水音のしてゐたるかな 猿山木魂
比叡暮るゝより底冷のはじまりぬ 岸 風三楼
底冷えの底に母病むかなしさよ 井戸昌子
底冷や詫びて仏間を丸く掃く 青木久美子
底冷の洛中にわが生家残る 村山古郷
そこ冷えの夜ごとは筆のみだれけり 石橋秀野
眠りても底冷に置く耳ふたつ 橋本榮治
底冷えに水音のしてゐたるかな 猿山木魂
比叡暮るゝより底冷のはじまりぬ 岸 風三楼
底冷えの底に母病むかなしさよ 井戸昌子
底冷や詫びて仏間を丸く掃く 青木久美子
底冷の洛中にわが生家残る 村山古郷