竹とんぼ

家族のエールに励まされて投句や句会での結果に一喜一憂
自得の100句が生涯目標です

乗り継ぐや北の単線刈田風 たけし

2019-11-06 | 入選句



乗り継ぐや北の単線刈田風 たけし



11月6日 朝日新聞栃木俳壇

石倉夏生先生の選を頂きました

句会のメンバーが何人も同じ紙面に載っています



切磋琢磨しながらの晩学

みなさんの精進に刺激されます



当該句は北海道へ列車で帰るときの

寄り道をした時の景です



当時は新幹線も寝台特急もありませんでした

夜行列車の寝台は3段だったことが懐かしい

食べるでも飾るでもなく通草の実 岩淵喜代子

2019-11-05 | 今日の季語


食べるでも飾るでもなく通草の実 岩淵喜代子

季語は「通草(あけび)」で秋。いただき物だろう。むろん食べて食べられないことはないのだけれど、積極的に食べたいとも思わない。かといって飾っておくには色合いもくすんでいて地味だし、たとえばレモンのようにテープルを明るくしてくれるわけでもないので、困ってしまった。でも、せっかくいただいたものでもあり、先方の好意を無にするようなことはできない。さて、どうしたものか……。作者はさっきから、じいっと通草をにらんでいるのである。ふふっと思わず笑ってしまったが、こういうことは誰にでも経験があるだろう。昔の話になるが、小学生が修学旅行の土産に小さな筆立てをくれたことがある。私には小さすぎて使い物にならなかったのは仕方がないとして、筆立てに大書されていた言葉がいけない。「根性」だったか「努力」だったか。とにかくそんな文字がくっきりと焼き付けられていて、しばし机上に飾るというのもはばかられた。どうしようかと私もしばらくにらんでから、やむを得ず戸棚に保管することにしたのだった。が、句の通草の場合は、まさか戸棚にはしまえない。いったい作者はどうしたのだろうか。『硝子の仲間』(2004)所収。(清水哲男)

【草の実】 くさのみ
◇「草の種」 ◇「草の実飛ぶ」
秋草の実。概してあまり目立たないが、殻がはじけて実が飛んだりするものもある。中には手にとって愛でてみたいものもあり、秋季に実を結ぶことが多い草木類の実りをとらえた語。
例句 作者
武蔵野や名もなき草が実をこぼす 真田風来
実をこぼしきつたる草の天を指す 坂本京一
実をつけてかなしき程の小草かな 高浜虚子
通夜に来る人みな草の実をはらひ 宮井港青
草の穂に実が入り一日海濁る 沢木欣一

菊人形問答もなく崩さるる  藤田湘子

2019-11-03 | 今日の季語



菊人形問答もなく崩さるる  藤田湘子

季語は「菊人形」で秋。漱石の『三四郎』に本郷団子坂での興業の賑わいぶりが登場する。明治末期の話だが、この時期の娯楽としては相当に人気が高かったようだ。さて、掲句は現代の作。菊師(きくし)入魂の作品である人形も、興業が果てて取りかたづけられる段になると、かくのごとくに「問答無用」と崩されていく。丹精込める菊師の人形作りには「問答」があるけれど、始末する作業者にはそれがない。ないから、むしろ小気味よい感じで「崩さるる」のだ。このときの作者には、せっかくの人形を乱暴に崩すなんてなどという感傷はないだろう。見る間に崩されていく場景を、むしろ無感動に近い気持ちで見つめている。仮に哀れの念がわくとしても、それはこの場を去ってからのことにちがいない。あまりにも見事な崩しぶりに、感じ入っているだけなのだ。ひどく乾いた抒情が、句から伝わってくる。ところで、小沢信男に「凶の籤菊人形の御袖に」がある。「凶」だとはいえ、そこらへんに捨ててしまうわけにもいかず、持ち歩いていた御神籤(おみくじ)の札を、そっと「菊人形の御袖に」しのばせたというのである。なかなかに、洒落れた捨て所ではないか。で、展示が終了したときに、この人形をどさどさっと手際よく作業者が崩しにかかると、なにやら白い紙がひらひらっと舞い上がり、男の額にぺたりと張り付いた。なんだろうと、男が紙を開いてみる。……。「へい、おあとがよろしいようで」。『去来の花』(1986)所収。(清水哲男)

【菊人形】 きくにんぎょう(・・ギヤウ)
◇「菊細工」 ◇「菊師」 ◇「菊花展」(きっかてん) ◇「菊展」
菊の花や葉を衣装に擬して作った人形。見世物として興行する。明治時代には本郷団子坂の展覧会が有名。現在は各地の公園や寺社の境内、遊園地などで行われている。また花のみを観賞する展覧会も各地で開催され、審査のうえ様々な賞が授与されるので、「菊花展」として季語になっている。

例句 作者

さびしさや懐ろ見える菊人形 増田龍雨
菊花展より戻りたるばかりの鉢 西村和子
菊展を観て来て越える団子坂 阿部夜咲
殺される女口あけ菊人形 木村杢来
菊人形五衰の肋見えにけり 三村純也
討つ人も討たるる人も菊人形 木島斗川

年度作品賞予選通過しました

2019-11-02 | 入選句




現代俳句協会の会員になって7年を経過した

過去に2回、賞ののなんたるかも不明のままに応募したことがある

句会の出席者に3に入の受賞者がいるが皆凄い人ばかり
予選通過者の名が選考経過の中で知ることが出来るが
毎年そのなかに句会での顔見知りがおられる

今回は予選通過を目指しての3回目の挑戦だった
現代俳句11月号に選考結果が掲載された

応募作品224編
予選を3次まで行い最終は選者5人の投票
同点で決選投票の結果、久根美和子氏の「房はつかず」に決定した

一次予選通過 68編/二次予選通過 13編/三次予選通過 6編
私は二次予選通過の13編に名前があった
目標達成で一人で首肯、ワインが美味かった

ちなみに応募30句は次のものだった

白牡丹闇を余白とつかい切る
逃水の先にたしかに少年期
無為無聊風なきときの風車
さくら貝はつ恋という不燃物
春寒し結び目ゆるむ黒ネクタイ
慟哭のひとつに足らず青岬
炎帝に追われ逃げ込む閻魔堂 
白夜の被災地結界の入り乱る
梅雨湿り期限の怪し置き薬
レコードの雑音汗まみれの青春
夏は俺流ハーレーダビットソン
心太透けて見えてる二枚舌
問診になんの強がり走り梅雨
炎天の芯に杭打つ測量士
首塚の由来は知れず曼珠沙華
沖波の白刃千本雁渡し
疎開地の故山となるや芒晴
サーファーのスローモーション秋落暉
鰯雲町の名今もんゆータウン
木の実独楽その一癖のただならず
今年藁氏子総出で大蛇編む
奥津城の風のてっぺん鵙の贄
晩学に小さき応え冬苺
テンガロンハット冬耕のトラクター
声ありつたけ冬波に石つぶて
煮大根何度も本音聞き返す
冬うららそうか卒寿も悪くない
通夜の列冬満月のうすっぺら
懐手東京駅に凶弾痕
隙間風自戒の手酌きりもなし

高まりし堰の水音野分晴  たけし

2019-11-01 | 入選句


高まりし堰の水音野分晴  たけし



10月31日 産経俳壇に寺井谷子先生の選をいただきました

投稿を休んだ時期もありましたが

寺井先生に始めて摂っていただいたのは2012年11月でした

俳句をつづけることの励みになっています

10月は全国紙の入選を諦めていたところだったので

この入選に救われました(笑)



掲句は台風の頻発する現在の気象状況のなか

自宅前の田圃に繋がる用水の堰の勢いを詠んだもの

野分晴 この季語が通用するかを試みました

認められトヨウです