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悪童の書 cc

2014年11月05日 | 悪童の書
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 吉田松陰のことば。要約すると。

 不朽ということが見込めるなら死んでも良し。生きて大きなことがまだできそうなら生きるべきだ。

 いつまでも、永遠に朽ちないもの。もし、商人の観点に立てば、一作の不朽より、ある商品が普及して広まってもらった方がうれしく、大勢が潤うのではないのだろうか。次の製品も普及。ヒット・メーカーという名誉。

 例えば、マリリン・モンローという不朽。(二千字を一回の目標にして書いているが、すべて魅力的な女性のフル・ネームだけで埋めたり、費やすことをこっそりと望んでいる。ずらっと。こころの声、一時解放)ビリー・ワイルダーがその不朽のもとを作ったのだろうか?

「普及学」という研究もあるらしい。イノベーションの散布学。頒布学。五つの要素。

 比較優位。適合性。わかりやすさ。試用可能性。可視性。どんなもん使ってんの? 便利そうだね。

 消費する側、購入する面子にも五つの段階が発生する。

 イノベータ―。アーリーアダプター。アーリーマジョリティ。レイトマジョリティ。ラガード。つまりはグズグズちゃん。ガラケー最高説。

 変化を嫌う。伝統を重んじる。身内だけの世界に引きこもる。悪意もなく、どんな感情も介入させずに、ただ列記しているだけなのだが、欠点に見えて仕方がない。

 反対。どんなものにもすぐ飛びつく。誰が、最初にナマコを食べたのか? ナマコで満腹学。ホヤとクサヤで一杯学。

 流行は軽薄感がともなうものなのか。黒船到来という流行。反対に明治の終わりになっても、ちょん髷にこだわっていたひともいたのだとか。すると、流行にすばやく乗り危機感が芽生えたひとたちが、その後の社会の仕組みをつくったともいえる。勝てば官軍。勝海舟はイノベータ―の反対にいたと定義してしまって誤りはないのだろうか。そうも思えない。

 靴も普及する。ネクタイも広まる。新製品のスタートは高額でもある。妥当な価格設定や売れなくなってきたので割り引くという検討もできる。結果。売れ残り。回収か、店の奥でほこりをかぶる。

「七人の侍」と「東京物語」という不朽。金字塔。失敗作は淘汰され、偉大なものは語りつづけられる。ルービック・キューブやヨーヨーという普及。公園にヨーヨーのチャンピオンが来る。どこで大会が開かれていたのかも分からない。普及には偽物がうまれやすい。それでも、買ってもらえるか否かというのが子どもにとって最重要になる。カセット・テープやビデオ・デッキという普及。ベータという対抗馬。レーザー・ディスクをカラオケ・スナックで交換して唄っている。ひとは無駄と思える前哨戦を組み入れる。レコードの表面をベルベッド状の布で拭く。

 エジソンという不朽。蛍光灯や蓄音機、ラジオという普及。

 普及にはお客さんの要望で改善する必要がある。議会で賛成と不賛成の投票をする。押しボタン式にして瞬時に集計できる仕組みをつくる。しかし、牛歩戦術ができなくなったひとたちが不満をもらす。世の中はスピードだけで出来上がっているようではないようだ。

 ブームという普及。誰かが仕組んでいるのだな、と大人になってはじめて気付く。ひとは並ぶ。並んでまでも欲しいものって、なにかしら? との疑問が生じる。世界はある意味、横並びになるようできている。

「タッカー」という映画を見る。特別な車をつくろうとするも、その社会を牛耳るものたちがいる。自分の製品が売れなければおもしろくない。そして、邪魔をする。ゴッド・ファーザーという不朽。コッポラという知名度。

 ボジョレー・ヌーボーというイベントの普及。毎年、恒例という地位につく。ハロウィンも受け入れる。開国という選択後からずっと経って。

 吉田松陰や佐久間象山という好奇心とさらにひとに伝達する情熱。ふたりが現在のひとなら、仮装してフランスから到着したワインを真っ先に飲んだであろうか。植民地にならなかったと胸を張ってぼくは過去に宣言できる覚悟を得ているのか。

 外国語という狭間と隔たり。英語という普及。江戸はオランダ語だった。目指す世界はオランダであった。

 貿易が利益を生み出すという仕組み。株式会社という発明。藩に頼らない生き方。円が高くなり、安くなる。労働力や賃金が安いところでものは作られる。子どもまで働かされる。搾取されるということが犠牲のかたちをとれないでいるようだ。

 高級車は売れ、ブランド品もデパートに並ぶ。不均衡が生じる。穴埋めとしてグローバルということばを挟む。

 大きなことができなくても、世界の片隅で生きる。ジーンズやスニーカーを縫う小さな手がどこかにある。自分に罪がある。あるいは、まったくの無実でもある。余った小遣いで株を買う。寝ている間に儲かったり、損したりしている。ある日、失業者が増えている。なにもすることがない状態で朝を迎える。不朽のことを考える。ベーブ・ルース。ハンク・アーロン。ペレ。プラティニ。自分が覚えなければいけないことばが無数に増える。

 自分という活断層に、どんな能力があったかも気付かないで終わるひとびと。もし、警察官か自衛隊の一員になったとしたら、拳銃を撃つ能力を発見できたかもしれない。そう思いながら失業手当を受け取りに行く。仕事がないひとの集団。仕事を紹介する能力と技術があるかもしれない机の向こうの労働者。対面。履歴書の書き方の上澄み。誰も、不朽になど達しない。数日後に口座に振り込まれる金額の乏しさ。暇を持て余す一日。そのはじまり。


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