あの日を望んだわたし-2
A:「なんかよかった。平日の思いがけない休みになって。二重生活ばんざい」天をあおぐ。「そうそう、鍋でも作ってやるか。仕事、一日、任せちゃったし。あれ、わたし、妹みたいなの欲しかったのかな。世話やきたいのかな」
豆腐屋の前を通りかかる。
「湯豆腐でいいか。あのころのわたしも、好きだったし」
店主:「こんにちは、あれ、今日、休み? 珍しいね」
A:「まあ」
奥から店主の妻、顔をのぞかせる。「あれ、朝、いつもの時間にみゆきちゃん、店の前、駅の方に向かってたの見たと思ったけど、あれ、今日だったよね」
A:「そうですか。似てる人、この辺にいるって聞いたことあるかも。美容院でも、この前、そんなこと言われたし」
店主妻:「そう」首を傾げる。
A:「今晩、湯豆腐にしようと思って。何丁ですかね?」
店主:「湯豆腐ね、あったまるし、いいね。ひとりなら、これぐらいで充分でしょう」
A:「もう少し、もらおうかな」
店主妻:「こんなに食べられる? 彼氏さん、くるの?」
A:「ひとり、ひとり。でも、余って困らないのが、豆腐の良さですよ。ヘルシーだし」
おつりの受け渡し。
店主:「まいど」
店主妻:「似てる子、いるのね」
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