キム・ヨンスの最新作!
奥付を見ると1か月で4刷とか。めっちゃ売れてます。
ホンデにある文学トンネ直営のブックカフェ、カフェコンマで買えば1割引きなんですけど、
あまりに手垢がついていて、買う気がしなかったほど。
さて。
こんなにも読みやすく、
こんなにも面白く、
こんなにも読み終って心がほっこりするキム・ヨンスは初めてです。
以下ネタバレです。
母を知らずに育った少年が交通事故に会い、目覚めてみると
父はスパイの逃亡を阻止するために命をなげうって祖国を救った英雄になっていて、
昏睡状態だった少年が目覚めることを、大統領閣下をはじめ全国民が祈っていた、という展開に。
「ワンダーボーイ」として注目を浴びた彼の存在も
事故をきっかけに芽生えた彼の超能力も、国家のために利用されます。
国の庇護というか監視から抜け出した彼は
母親を探します。
そこで彼を助けてくれるのがカント兄さんとジェジンおじさん。
カント兄さんはよくよく見ると女性で、恋人を失っています。
恋をして自分の体の変化も自覚していく中で、彼は超能力を失います。
成長するって普通になることだって。
理科教師だったジェジンおじさんのアドバイスで
鳥の密猟をしていた父のノートのおかげで、鳥の研究をしていた母親の存在にたどり着きます。
一つしかない地球が、暗くて孤独で特別なこと。
孤児になってしまった自分も、孤独で、そして特別なこと。
母親にはたどり着けないのですが、(もう少し探したらいいんじゃないかとも思ったけど)
もう孤独ではなく、自分の大切さに気づき前を向いて生きてゆく、というハッピーなエンディング。
途中で、村上春樹になっちゃうの??とか、
ただのエンタメ小説家になっちゃうの??とか、はらはらしましたが
自分を見つめるエンディングはやっぱりキム・ヨンス。
背景としては、1980年から1987年の、
つまり光州事件からオリンピックに向かう韓国の現代史があります。
カント兄さんもジェジンおじさんも、民主化と軍事政権の中で運命の変わってしまった人で
70年生まれのキム・ヨンスはぎりぎり学生運動の最後の世代です。
今回、奥付ついでに参考資料から読んだのですが、
結構社会派の本がずらっと並んでいて、意外な感じがしました。
自分の内面を見つめる作品を多く書いてきた作者が、
分断と民主化という大きな流れ全体を背景に取りいれているところ、
また「自分は誰なのか?」という、問いだけを読者に投げかけてきた作者が
これまでの問いに対して「一人きりで孤独だから特別なんだ」と初めて答えているところが、
新しいです。
何よりも文が短くなってます。
こんなにとっつきやすいキム・ヨンスは初めてです。
しばらくはどの本屋でも平積みで買えるでしょう。
無条件にオススメします!!
旅行のついでに本屋に行ける方はぜひ。
奥付を見ると1か月で4刷とか。めっちゃ売れてます。
ホンデにある文学トンネ直営のブックカフェ、カフェコンマで買えば1割引きなんですけど、
あまりに手垢がついていて、買う気がしなかったほど。
さて。
こんなにも読みやすく、
こんなにも面白く、
こんなにも読み終って心がほっこりするキム・ヨンスは初めてです。
以下ネタバレです。
母を知らずに育った少年が交通事故に会い、目覚めてみると
父はスパイの逃亡を阻止するために命をなげうって祖国を救った英雄になっていて、
昏睡状態だった少年が目覚めることを、大統領閣下をはじめ全国民が祈っていた、という展開に。
「ワンダーボーイ」として注目を浴びた彼の存在も
事故をきっかけに芽生えた彼の超能力も、国家のために利用されます。
国の庇護というか監視から抜け出した彼は
母親を探します。
そこで彼を助けてくれるのがカント兄さんとジェジンおじさん。
カント兄さんはよくよく見ると女性で、恋人を失っています。
恋をして自分の体の変化も自覚していく中で、彼は超能力を失います。
成長するって普通になることだって。
理科教師だったジェジンおじさんのアドバイスで
鳥の密猟をしていた父のノートのおかげで、鳥の研究をしていた母親の存在にたどり着きます。
一つしかない地球が、暗くて孤独で特別なこと。
孤児になってしまった自分も、孤独で、そして特別なこと。
母親にはたどり着けないのですが、(もう少し探したらいいんじゃないかとも思ったけど)
もう孤独ではなく、自分の大切さに気づき前を向いて生きてゆく、というハッピーなエンディング。
途中で、村上春樹になっちゃうの??とか、
ただのエンタメ小説家になっちゃうの??とか、はらはらしましたが
自分を見つめるエンディングはやっぱりキム・ヨンス。
背景としては、1980年から1987年の、
つまり光州事件からオリンピックに向かう韓国の現代史があります。
カント兄さんもジェジンおじさんも、民主化と軍事政権の中で運命の変わってしまった人で
70年生まれのキム・ヨンスはぎりぎり学生運動の最後の世代です。
今回、奥付ついでに参考資料から読んだのですが、
結構社会派の本がずらっと並んでいて、意外な感じがしました。
自分の内面を見つめる作品を多く書いてきた作者が、
分断と民主化という大きな流れ全体を背景に取りいれているところ、
また「自分は誰なのか?」という、問いだけを読者に投げかけてきた作者が
これまでの問いに対して「一人きりで孤独だから特別なんだ」と初めて答えているところが、
新しいです。
何よりも文が短くなってます。
こんなにとっつきやすいキム・ヨンスは初めてです。
しばらくはどの本屋でも平積みで買えるでしょう。
無条件にオススメします!!
旅行のついでに本屋に行ける方はぜひ。