闇の中(2025.3.4日作)
生きる事は
一寸先は闇の中 歩いて行く事
今この瞬間 そしてまた
明日という時の中 自身の身に
何が起こるか 誰にも分からない
それでも人は 歩いて行かねばならない
今日も 明日も また明日も
歩くという事 生きる事
その中で 人は せめて 自身を照らす
一つの明かり 一つの星を心に持ちたい
一寸先は闇の中 今この時
今日という日を生きる糧として
金色輝く一つの星 希望という名の
一つの星を心に持つ それだけで
ただ それだけで 一寸先は闇の中
明日に向かって歩いて行く その足下が
明るくなるだろう
一寸先は闇の中 明日の事は
誰にも分からない その中で
心に点した一つの明かり 金色輝く希望の星
それを頼りに今日もまた 今この時
今日という日を歩いて行く
生きて行く
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<青い館>の女(28)
義父が亡くなり、会長に就任してからのわたしはもう、専用電話を持ち歩く事もなくなった。
それは頸木から解き放された様な解放感をわたしにもたらした。
その上、丁度この頃、わたしは体調の不良にも悩む様になっていた。
専用電話の放棄はそんなわたしの、仕事の第一線からの無言の引退宣言とも言える様な事だった。
幸いと言うべきか、<マキモト>の株式の大半を握っていて絶対的議決権を持つ現在、九匹の猫と暮らす為にお手伝いさんを雇い、一人暮らしをしている義母とわたしの妻がわたしを社長の座から降ろして息子に未来を託し、社長の座を与えてわたしを会長職へと押し上げたのだった。
社長を辞め、お飾りと言ってもいい様な会長職に就任した事に付いては、体調不良もあってむしろ肩の荷を下ろした様な解放感をさえ覚えたものだったが、それでもわたしはこの時、結局、わたしは何時まで経っても牧本家に於いては外様の存在でしかないのだ、と言う思いを強くしていた。ーーーー
わたしが扉を開けた公衆電話の中は、如何にも漁港に面した場所を思わせて染み付いた魚の匂いがしていた。
加奈子の電話番号は覚えていた。
電話はすぐに繋がった。
「はい、加奈子ですぅ」
加奈子は答えたが、その声には何か困惑した様な気配さえが感じられて、先程見せた明るさが無かった。
わたしはだが、半分怒りに任せた感情でそんな仔細に拘る気分にもなれないままに、
「一体、何やってるんだよ。今、何処に居るんだ」
と怒鳴っていた。
受話器を通した向こうからは明らかに、加奈子の緊張した気配が伝わって来た。
「御免なさい。今、家に居るんだけどぉ、外に出られないんですよぉ。変な男がうろうろしていてぇ」
今にも泣き出しそうな声で加奈子は言った。
「変な男 ?」
わたしは思わず口にしていた。
同時に不安が心を過ぎった。
厭な事に巻き込まれるのでは ?
最も恐れている事だった。
たとえ、偽名を使っていても、もし、この事が新聞記事になったり、テレビ、ラジオ等で大々的に報じられたりした時には、身元などは簡単に判明してしまうだろう。
加奈子が生きている世界が多少、如何わしいとも言える夜の世界だっただけに、わたしの脳裡にはその背後に居る存在が黒い影となって大きく浮かび上がった。
何かの罠に掛かったのでは ?
恐怖が身体の中を走った。
そんな思いの中でわたしは極力冷静さを保って、
「どんな男なの。その男は ? 知らない男なの」
と聞いていた。
「知らないんですよぉ。だけどぉ、何時もぉわたしの後を付けて来るんですよぉ」
加奈子は半分泣き出しそうな声で言った。
「その男が ?」
この時になって漸くわたしは、加奈子に対する疑念が払拭出来て静かな声で聞いた。
「そうなんですよぉ」
加奈子は言った。
と言う事は、今流行りのストーカーという事か ?
「若いの ? その男は」
わたしは軽い緊張感と共に聞いた。
「若いんですよぉ、二十四、五歳かと思うんですけどぉ」
困惑と不安の入り混じった声の、今にも泣き出し兼ねない表情を言葉に滲ませて加奈子は言った。
わたしはそれ等の事から想像して、加奈子の言葉に嘘は無いという思いを抱いて早くも逃げの姿勢を自身の裡に感じ取っていた。
厄介な事には巻き込まりたくない。
同時に軽い疑念をも抱いた。
この前会った時はそんな事は一言も口にしなかった。
わたしから逃げる為の口実ではないか ?
だが、加奈子はわたしと直接に会う事によって店で得る収入よりも遥かに多くの現金を手にする事が出来るのだ、と考えるとまんざら嘘でも無いのでは、という気もして来た。
わたしは不可解な思いを抱いたまま聞いた。
「その男は何時も、そうして居るの」
「よく分からないんだけどぉ、わたしが仕事から帰って来たりするとぉ、居たりするんですぉ」
「ずっと前からそうだったの ?」
「何時からかは分からないんだけどぉ、この所、しつっこいんですよぉ」
「今も其処に居るの ?」
「そうなんですよぉ。樹の陰に隠れてるんですよぉ。それでぇ、わたしの部屋を見てるんですよぉ」
加奈子の言葉の中に男の姿が浮かんで見えて来る気がした。
それでもわたしは男の存在を無視する様に、
「男になんかは知らん顔をして、そのまま出て来る事は出来ないの ?」
と聞いた。
「でもぉ、怖いんですよぉ。わたし前にぃ、腕を掴まれて服を破られた事があるんですよぉ。だからぁ、怖いんですよぉ」
「その男に ?」
「そうなんですよぉ」
この時、初めてわたしは緊張感を覚えた。
その緊張感と共に言った。
「じゃあ、これから、わたしが君の部屋へ行こうか ? 何気ない顔をして行けば男には解からないだろう」
真相を確かめてみたい気持ちと共に、何故かその時、その事に対する強い執着心を覚えていた。
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takeziisan様
有難う御座います
春の気配一杯 ブログ記事を拝見していますと
なんとなく心が浮き立って来ますが今日のこちらは寒く
雨で冬の気配 憂鬱です
行ったり来たりの気紛れ天気 ヴィヴァルディの四季の様な
心弾む陽射しが欲しいものです
ブログには春一杯の景色 北国の春 ダーカーポ 早春賦
早春賦は中田喜直の父 中田章の曲ですね
森繁久彌の知床旅情の元歌と言ってもいいと思います
出だしの部分などは全く同じです
それにしても何事に於いても良いものは人の心を捉え
何時までも後世に残ります
フリオ イグレシアス 懐かしいです
日本にも来ましたね
ブログ画面の様な春の気配 待ち望むばかりです
不安定な天気 どうぞ御身体にお気を付け下さい
わたくしは血圧が低いものですから 低気圧が来ると覿面に
体調に響いて来ます それでどうと言う事は無いのですがーー
有難う御座いました
albi-france様
有難う御座います
厄祓い なんとまあ 生意気な と愛情を込めて言いたくなります
犬にも厄祓いがあるのですかね
たとえペットと言えども 愛玩する者に取っては
大切な行事なのでしょうか
でも 初めて聞きました
相変わらずの美食 どうぞ 食べ過ぎには御注意を
わたくしは以前 大腸がん手術をしましたので
今は専ら 野菜が主食と言ってもいい様な食事をしています
勿論 タンパク質 適度な油分の補給にも注意をしています
お蔭で現在 体調はほぼ完璧です
どうぞ 過食 美食には御弔意を !
年齢と共に代謝は悪くなって来る
日頃 実感している事です
小梅ちゃんのあの物欲し気な眼差し 以前にも書きましたが
人間の眼差しと全く変わりません
" 愛さずにはいられない "
その気持ちが良く伝わって来る画面です
こうして画面で見ているだけで楽しくなって来ます
有難う御座いました