遺す言葉

つぶやき日記

遺す言葉 131 責任という事

2017-03-26 11:38:00 | 日記

          責任という事(2017.3.22日作)

 

   ある組織の 頂点に立つ者は

   その組織に対する 全責任を負う

  「部下に任せていたから 分からない」

   この言葉は 部下の仕事に対する

   監督者としての 責任放棄

   責任逃れ

   この言葉で 一つの不祥事 出来事 に対する

   責任の 免除される ものではない 

   -----

   組織の 頂点に立つ者は

   ビンの 外蓋 ビンの

   中蓋を 突き破り 溢れ出た 内容物を

   最終的に 押さえ込む

   押さえ込めず 内容物の 喪失を得た時

   ビンは ビンの 容器としての 最終的務め

   義務を 果たし得なかった 欠陥商品 として

   排斥 排除 される

   外蓋 は 装飾 飾り ではない

   ビンの 容器としての 完璧 完全性 を

   担保するための 最終的 責任を担う 器具 であり

   その 責任を負う

   

   

   


遺す言葉  130 沈丁花

2017-03-19 12:58:08 | 日記

          沈丁花(2011.3.21日作)

 

   静かな町の 小さな道を辿る

   住宅街の中 ふと 漂い来る

   仄かな香り 沈丁花

   春一番の 来訪者

   冬の殻を突き破り 春を

   告げる花

   春の気配の配達人

   配達人は 今年もまた

   やって来た 心躍らす

   甘い香りを たずさえて

   -----

   平成二十三年 (2011) 三月

   それでも  人の心は暗い

   未曾有の大災害

   東日本大震災

   数えきれない死者の群れ

   -----

   ・・・・言葉もない

   

   

 

   


遺す言葉  129 波が あの子を さらっていった

2017-03-12 11:13:26 | 日記

          波が あの子を さらっていった(2012.3.15日作)

            ーー若い母親の嘆き 東日本大震災ーー

 

   あの子を 未曾有の波が さらっていった

   あのひ子は もう いない

   でも あの子はまだ 生きている

   あの子の死んだ証しは 何一つ

   見つかっては いないのだから

   -----

   あの子は もう いない

   津波に呑まれて

   海の底に 消えていった

   それは 分かっている

   それでもあの子は

   わたしの心の中では 生きている

   あの子の死んだ証しは 

   何処にも  ないのだから

   -----

   あの子は もう

   わたしの腕の中には いない

   それでもあの子は まだ

   わたしの心の中で 生きている

   あの子の死んだ証しは 何一つ

   海の底から 見つけ出されては

   いないのだから

   -----

   わたしの体の中には ふたつの心がある

   悪魔の心 と 天使の心

   あの子は もう いない

   悪魔の心が わたしに囁く

   それでも あの子は 生きている

   天使の心が 優しく微笑む

   明日には あの子は

   帰って来る

   -----

   天使の心は いつでも待っている

   あの子はきっと 帰って来る

   と

 

   

 

   


遺す言葉 128 芭蕉の四つの句

2017-03-05 12:16:35 | 日記

          芭蕉の四つの句(2017.3.2日作)

 

      古池や 蛙飛び込む 水の音

 

   鬱蒼とした樹々に覆われた

   澱んだ水の古い池

   一匹の蛙が飛び込んだ 音と共に

   小波(さざなみ)一つなかった水面(みなも)が

   にわかに動き 小さな波紋が生まれる

   波紋は次第に大きくなり やがて

   池全体に広がって 水面を乱す

   人の世もまた同じ

   古い習慣 因習に囚われた 澱んだ空気の

   世の中 社会 異端児ーー蛙が飛び込んだ

   蛙の行動は 何かと物議を醸し 世間を騒がせ

   最初の 小さな波紋が生じる

   小さな波紋は 徐々に拡大 のちには

   世の中 社会を覆って 

   その姿 その有り様を変えてゆく

   蛙と古池

   人間社会の縮図を写し出す

   -----

   (この句は何匹もの蛙が 池に飛び込む様を写したものだという事だが・・・)

 

 

      五月雨を 集めて早し 最上川

 

   一つ一つの小さな雨粒が寄り集まって

   人をも 舟をも 翻弄する 激流 急流に

   穏やかな川を変えてゆく

   無名の人々 名もない人の 一人一人は 五月雨

   その五月雨が寄り集まれば 大河

   時の権力 支配者 その存在の 足下をも

   揺り動かし 押し流して

   壊滅させる

   見事な暗示の一句

 

 

      田一枚 植えて立ち去る 柳かな

 

   田圃の中の畦道に 一本の柳の木がある

   人々は 年々歳々 その柳の下(もと)で田植えをし

   秋になれば 稲刈りをし 人の世の

   営みを続けてゆく 変わる事のない

   人の営み それでも 時は移り

   人は老い 人の姿は変わり 季節は巡る

   変わり逝くもの 変わらぬもの 柳の木は

   自身 少しずつ成長しながらも 去年 今年 と また

   変わる事なく 田圃の中の畦道に立ち続け

   人々の営み 変わり逝く人の世の姿を静かに

   見つめ続けている   永遠と今

   人間存在根源の象徴   柳と人

 

 

      閑(しずけ)さや 岩にしみ入る 蝉の声

 

   人の言葉も同様 静けさの中でこそ

   話す言葉も 聞く人の心に沁み込み

   胸を打つ 大声 怒声 に包まれた 言葉は

   声 そのものが 人の心を乱し 動揺

   混乱させて 言葉の中味 内容 を

   霧散 散逸 させる

   大声 怒声 憤怒の声 に 満ちた言葉は

   人が閉ざした心の扉に反響し

   砕け散る

 

   -----

 

      教訓

   長ったらしい凡百の物語より

   たった一行の優れた言葉の方が 

   はるかに深い真実を語り得るものだ