飾り人形(2024.1.17日作)
大仰な言葉を口にし
見映えのいい場所で
見映えのいい事だけに身を委ねる人間に
眼を奪われるな この世界 世の中は
普段 眼に見えない場所 隠れた場所で
日々 地道に 自身の仕事に励む
多くの人々によって 支えられている
見映えのいい場所 陽の当たる場所で 日々
華やぎ踊る人間達は 地道に自身の仕事に励む
陰の人達が差し出す手の上で 浮かれ騒ぐ
飾りの人形にしか過ぎない
大地が無ければ花の咲く樹木は育たない
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希望(7)
その日、二つのチームが走るという情報はしかし、警察には筒抜けだった。双方がぶつかり合うインターチェンジには、二十数台のパトロールカーや白バイが待機していた。
北川が率いる<ファイヤードラゴン>と<ブラックキャッツ>は警察を中にして、それぞれの領域に車を並べて向き合う形になった。
「すぐに解散しなさい。この道路を走る事は出来ません。直ちに解散しなさい」
警察官はパトロールカーの中から何度も呼び掛けた。
双方の車が今にも飛び出しかねない勢いでエンジンを吹かし続けていた。
辺りには異様な雰囲気と騒音が立ち込めた。
時折り、乗用車や大型トラックがその間を通り抜けて行った。
双方の睨み合いは二時間近くに及んだ。
時々、どちらからともなく二、三台の車が飛び出して相手を挑発する様に派手な走りを展開したが、それもすぐに白バイに制止された。
最初に引いたのは<ブラックキャッツ>だった。
百台近くの四輪や二輪が<頭>に続いて次ぎ次ぎに中央に飛び出しUターンをしては、自分達のエリアへ帰って行った。
「あのまま、まともにぶつかっていたら、明らかにこっちの分が悪かったですよ」
北川は言った。
走りの夜、北川は修二のナイフを借りには来なかった。
「じゃあ、警察の車に助けられたようなもんじゃねえか」
マスターが言った。
「まあ、そう言えるかも知んねえですね」
北川も素直に認めたが、
「とにかくあい奴等、一度、さんざん傷め付けてやんねえと、いい様にのさばって来やがっからね。こっで済んだと思ったら大間違いさ」
如何にも腹立たし気に言った。
如何にも腹立たし気に言った。
「誰か、警察に垂れ込んだ奴がいるのか ?」
「それは分かんねえけっど、警察も俺達の動きには眼を光らせてるんで、派手な行動はすぐに読まれちゃうんですよ」
「まあ、ぶち込まれねえようにした方がいいさ」
マスターは言った。
「俺達はピュアに走りを楽しんでるっていうのに、奴らが突っ掛かって来やがんでどうしょうもねえですよ」
「舐められたもんだなあ」
マスターは笑った。
「まったく、すっかり舐められちゃったですよ」
北川は腹立たし気に言った。
3
「マスター、また二階を貸して下さいよ。集会をやろうと思うんで」
北川が言った。
「使っても構わねえけど、修二に聞いてみな。今は修二の部屋になってんだから」
マスターが修二をかえり見て言った。
北川はマスターの言葉に修二を見て、
「今度の土曜日に部屋を貸してくれよ」
と言った。
「うん」
修二は気のない返事をしたが、北川達が何をするのかは分からなかった。
マスターが別段、反対する様子も見せなかったのでそう答えるより仕方がなかった。
ただ、修二に取って気がかりなのが部屋に貼ってある高木ナナのポスター写真だった。
その写真を誰にも見られたくなかった。
高木ナナは修二が唯一、心を寄せる憧れの人だった。
また、秘かな恋人でもあった。
その秘密を知られるのが恥ずかしかった。
もし、北川達が部屋に来るのなら、あの写真は外さなければ、と思った。
修二が小学校六年の時で、父が倒れる少し前の事だった。当時、歌手になったばかりの高木ナナが駅前のレコード店にキャンペーンで来た。その時、高木ナナはCDを買った人にサイン入り色紙とポスター写真をくれて、握手もしてくれた。
「名前はなんて言うの ?」
高木ナナはそう聞いてから色紙に、
高木ナナ
山形修二君へ
これからもよろしく
応援してね !
と書いてくれた。
その時握手をした白いきれいな手の柔らかな感触が今でも鮮明に脳裡に残っていて、ふと思い出しては夢のような世界に浸っていた。
現在、高木ナナはポップス界のトップスターだった。
テレビで見る彼女の美貌には一段と磨きが掛かっていて、押しも押されもしないスター歌手の雰囲気が備わっていた。
あの高木ナナが色紙に俺の名前を書いて握手をしてくれたんだ、テレビの画面に高木ナナを見る度に得意な気分に包まれて言い様のない幸福感で満たされた。
店が終わってマスターとおかみさんが車で帰ると修二はすぐに鎧戸を降ろして鍵を掛け、二階の自分の部屋へ上がった。
一日中、閉め切りになっていた部屋は扉を開けると正面の壁に高木ナナのポスター写真が貼ってあって、修二を笑顔で迎えてくれた。
" 今日も一日、御苦労様 "
何故か、ポスター写真は何時もそう語り掛けて来てくれるような気がしていて、修二自身も思わず笑顔になっていた。
それからの時間は修二にとって一日のうちで最も至福に満ちた時間だった。この時間の為にのみ一日があるような気がした。高木ナナとたった二人だけの時間・・・・
「二階を使うのはいいけど、あんまりでっけえバイクや車を通りに並べて置くなよ。一応、ここは堅気の店になってんだから、変な事で警察に嗅ぎまわれたくねえからなあ」
マスターは言った。
「それは大丈夫ですよ。来るのはサブ(副)だけですから。せいぜい六、七人ってとこですよ。車もみんな分散して置くように言っておきますから」
「クロも来んのか ?」
「ええ、おふくろさんも退院したみてえで、奴も工場へ出てますよ」
土曜日の夜、零時過ぎに北川を始め、六人の男達が修二の部屋へ集まった。
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桂蓮様
勉強のストレス
拝見しました 見落としていたのでしょうか
初見の気がします とても面白く拝見しました
学生時代に還った様に机に向かって参考書類のページをめくる姿が
自ずと文面から浮かび上がって来ます これも普段 退屈に思われる日常の中の
ちょっとした変化で面白かったのではないですか
いずれにしてもアメリカ市民 その新しい視点でまた
ブログに日常をお書き下さい
この一年 アメリカはちょっと騒がしいですね
日本でも連日 あの大統領候補を目差す嫌な男の顔がテレビ画面に
映し出されますが その光景を見ていますと アメリカという国の品格も
大分落ちたのかなあ などと思ってしまいます
いずれにしても これからはアメリカ市民としての自覚が必要になりますね
とても興味深く拝見しました
有難う御座いました
takeziisan様
いやあ 今回のブログ 特別の懐かしさと共に
たっぷり楽しませて戴きました
藤本二三吉 梅は咲いたか かっぽれ
幼い頃 よく耳にしたものです ラジオからこれ等の歌が流れていた当時が蘇ります
江戸情緒たっぷり 懐かしいですね 取り分け
かっぽれ まだテレビが出て間もない頃だったと思いますが
かっぽれ で当時の 雷門助六 この人が踊った踊りが今でも
眼に焼き付いています
踊りの名手と言われた人ですが それこそ
眼に焼き付いています
踊りの名手と言われた人ですが それこそ
踊りを踊らずに踊る その言葉通りの踊りで
後にも先にもあのような芸は見た事がありません
ですから今の若い人たちの踊りを踊る踊り など全く見ていられません
何事に付けても昔の修行の方が厳しかったような気がします
今ではちょっと見栄えが良ければすぐに売り出してしまう
芸はそっちのけで人気取りだけの芸です
また レコードのかすれた音が殊更 郷愁を誘います
冬の木立の景色 水仙 見ているだけで気持ちが洗われます
今のわたくしどもの環境では再び あのような自然の中に身を置く事は
出来ないでしょう 懐かしさばかりです
ブラザーズ・フォー 七つの水仙 知りませんでした
初めてです 遥かなるアラモ グリーン・フィールドなど
よく耳にしていたものですが
背伸ばし 伸脚 屈伸 分かります
わたくしは腰の痛みはないのですが 右膝がチクチク痛みます
軟骨のすり減りによるものなのか 昔あった神経痛の名残りなのか
ちょっと判断が付き兼ねています 大した痛みではないのですが
夜 寝ている時などにも突然 襲って来ます
なんで 何もしてないのにと不思議な気がします
それだけに多分 神経痛の名残りなのだと思ったりしています
いずれにしても 足腰の痛み これ以上悪化させないよう
お気を付け下さい
今回も楽しいひと時を過ごさせて戴きました
有難う御座いました