時は過ぎ逝く(2023.4.24日作)
時は
喜び 悲しみ 怒り 嘆き
幸 不幸 総てを 幻 と 化し
夢の如くに 過ぎて逝く
人の行く道 その果てに浮かび
迫り来るもの ただ 老い 死の断崖
人の 世との別れ 訣別 さよならだけの人生
死の断崖 総てを包む闇
人の行く道 その果てあるもの
人生は一瞬の夢 束の間のまぼろし
過ぎ逝く時は 永遠に還らない
A I
A Iには
考えない事 が出来ない
無意識裡の世界 人間には
無意識裡の世界がある その
無意識裡 無意識の世界こそが
人間の本質 人間存在そのもの
A Iには
人間の無意識の世界に到達出来ない
何故なら
無意識の世界は数値では表せない
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いつか来た道 また行く道(18)
タオルを中沢に渡し、彼が風呂に入る支度にかかるのを待ってからわたしは脱衣所を後にした。
一挙に緊張感が高まった。
失敗は絶対に許されない !
総てを此処で解決してしまうのだ。
わたしはすぐにトレーニングルームへ向かった。
先程、入口に置いたタオルにくるんだままの鉄亜鈴を手に取った。
その時になって初めて、自分の服装が着替えてない事に気が付いた。
まさか、こんな格好でこれからの仕事は出来ない。
動きやすい黒のスラックスに身体の線のはっきり浮き出る濃紫のセーター、耳には何時ものように、わたしの誕生石のダイヤモンドを散りばめて揺れる白金のイヤリングがあった。更には、左の中指にはこれもダイヤが三個並んだ角型の大きな指輪が光っている。腕には金と白金を絡めたブレスレット・・・。
先程、わたしは湯船を洗う時にも、物置からシャベルを取り出す時にも、これらを身に付けたままで動いていたのだ。
改めてわたしは、目先の事にばかり気を取られていて、冷静さを欠いていた自分に気付いて身体中の凍る思いがした。
自分では冷静な心算でいたがこんな落ち度があったとは !
他に手抜かりは無いだろうか ?
冷静に、冷静に、と自分に言い聞かせながらわたしは更衣室へ急いだ。
更衣室では何枚ものトレーニングウエアが重ねて置かれてある棚のガラス戸を開け、厚手の蒼い一着を取り出してすぐに着替えに掛かった。
時計もブレスレットもイヤリングもネックレスも外した。
セーターは勿論、スラックスもストッキングも脱ぎ、トレーニングウエアに着替えた。
着替えが終わると傍の鏡に自分の姿を映して点検した。
よしっ、これでよしっ、小さく呟いて満足感と共に再び、トレーニングルームへ向かった。タオルに包まれて置かれてある鉄亜鈴を手にしてそのまま、脱衣室へ急いだ。
脱衣室に入ると鉄亜鈴を入口に置いて、左隣りにある浴室の曇りガラス越しに中沢に向かって声を掛けた。
「どう ? お風呂の加減は」
「うん、ちょうどいい」
相変わらず屈託を感じさせない中沢の暢気な声が返って来た。
「今、おばさんから電話があって、すぐに食事が来るって言うから」
わたしは浴室のガラス戸を開けた。
中沢は金色の枠がはまった鏡に向かって、石鹸の泡で両頬を真っ白にしながら髭を剃っていた。
「あら、何時ものおめかし ?」
からかうようにわたしは言った。
ひげ剃りはわたし達の間で習慣になっていた事だった。
「うん」
すっかり以前の気分に還っているらしい中沢は軽く答えただけだった。
わたしは改めて中沢のその無防備さを意識すると、身体中に沸き起こるような緊張感を覚えて身を堅くした。
反面、中沢の弛緩した神経を絶好の好機だ、と捉える心も働いていた。
「今、着替えてきたので体を洗ってあげるわよ」
わたしはトレーニングウエアの裾をたくし上げ、腕まくりをして浴室に足を踏み入れた。
中沢はわたしの言葉には答えず、鏡に向かったまま剃刀を使っていた。
その背後に立つてわたしは鏡の中で中沢を見ながら、
「どう ? とってもいい匂いのするシャンプーがあるの。使ってみない」
と言った。
まず、最初の誘いだった。
鏡の横の棚には様々な洗顔用品や化粧水などが置かれてあった。
中沢がそれらのものに手を延ばしていじくり回したらしい事は一目で分かった。
わたしは中沢の返事も待たずに鏡に向かっている中沢の肩越しに、洗面台に置いたままになっている濡れたタオルを手にして傍にある石鹸をなすり付け、彼の背中をこすり始めた。
「ちょっと待ってよ。剃刀を使ってるのに危ないよ」
中沢は怒って言った。
「じゃあ、早く剃っちゃいなさい。今、シャンプーを取って来るから」
わたしはタオルを元の場所に戻して、彼の背中から離れた。
無論、珍しいシャンプーなどあるはずがない。脱衣所の棚から国産の少しだけ高価なシャンプーとリンスを取り出し、手にして浴室に戻った。
中沢は剃刀を使い終わって顔を洗っていた。その少し前屈みになった姿勢がわたしの眼に、わたしの行為に対する絶妙の姿勢をふと、印象付けた。
この姿勢の中で一気にやる事が出来る !
わたしの気持ちの中で決定的に実行の形態が固まっていた。
成功への確信にも似た思いが生まれた。
わたしは急かれる思いで中沢の背後へ行くと、
「ちょっと、そのままでいなさい。一緒に髪も洗うから」
と言って、彼の前屈みの体を押さえた。
中沢は今度は抗はなかった。わたしの砕けた口調に警戒心も失くしていたようだった。
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桂蓮様
有難う御座います
バレーに復帰 大丈夫 ? まず心配が頭を過ぎります
御無理をなさらず 楽しみとしてお励み下さい
わたくしも大腸癌を患いましたが 癌は取り除いてしまえば怖い事はありません
ただ 発見が遅れ転移してしまった時が怖いのですが わたくしの場合
転移もなく 手術で取り除く事が出来たので 今は何処にも不具合はなく
至って健康な日々を過ごしています
新作 言葉 国民性 なかなか奥深い問題でおいそれとは片付かない事ですね
人は言葉で考える 何か国もの言葉を話す方々はそれぞれの言葉で話す時
その話す言葉の国の人々の思考に従って自身の思考を構成しているのか
多国語の話せないわたくしに取ってはとても興味のある事です
それでも その国で生まれ育ち 育まれた人の性格はきっと根本に於いては
他国語を話すようになっても変わる事はないのではないでしょうか
とても面白く拝見しました きっと根本の何処に残っているのではと思っています
それにしても他国で打ち解けて話しの出来る仲間が居るという事は幸せな事ですね
この幸せが何時までも続くよう願ってます
旦那様の御心配 分かります 暖かさが伝わって来ます
大きな木 これでは倒れた時には家屋への被害も実感出来ます
このような大きな木々に囲まれて生活できる日常を羨ましく思います
稚拙な文章に何時も御眼をお通し戴き御礼申し上げます
有難う御座います
takeziisan様
コメント 有難う御座います
数々の物語にお眼をお通しの方に このような御感想を戴きますと
ちょっと緊張感が増します
わたくしとしては物語を紡ぐというよりは人間心理を追ってみたいと思っていますので
物語としての単調さは否めないかも知れません
いずれにしても人間 ふとした小さな事が思いも掛けない大事に発展してしまう事は
よくある事です 最近でも一家で殺人に係わったという残虐事件が報じられました
一人の上昇志向の強い女性が ふとした遊び心がキッカケで思わぬ運命の悲劇に
追い込まれてゆく
その心理過程を嘘のない描写で追ってみたいと考えています
物語としてはこれまでと違って多少 長くなるかも知れません
長編まではゆかなくとも中編にはなると思います
その過程で文章に弛緩が生まれないか 重要な点だと思っています
お眼をお通し戴き 有難う御座います
「引き潮」「ダヒル サヨ 」
懐かしい曲ですね フランク チャックスフイルド
わたくしにはやはりこのオーケストラですが 耳にしていて自ずと
故郷の海辺の光景が眼に浮んで来ました
当時の砂浜は松林の間の道を抜けて 波打ち際まで降りてゆくのに
百五十メートルもの距離がありました それが今では侵食されて
五十メートル程しかないという事です それだけに
曲を聴きながら昔の砂浜の限りなく美しかった光景を思い出していました
ダヒル サヨ わたくしはやはり エセル中田 ですね
フラを踊りながら歌っていた姿を思い出しました
川柳 同感 冴えている そうだ そうだ 全く あの大国は
どうしょうもない ! 強欲 バカに付けるクスリ無し
カブトムシ クワガタ 夏休みの朝 露に濡れている雑草を掻き分け
カブトムシーーセイカジの来る木へ急いだ事を思い出しました
わたくしの方ではカブトムシをセイガジ クワガタをハサミムシと読んでいました
サルスベリの木はショウの強い木です 田舎の墓地にサルスベリがあり
葉が落ちて掃除が大変だと言うので
植木職人に頼んで掘り出して貰いました
ところが何年か後にまた生えて来て 昔の木とそっくりの木に成長してしまいました
この話には後日談があって その木を運送途中でその車が事故に会ってしまいました
それでみんなはお墓にあった木を切ったのでバチが当たったんだよと
話し合ったものでした
この話は以前にも書いています
連日の暑さ 熱中症に御注意して下さい
それにしてもあの雑草 御苦労が偲ばれます
何時も有難う御座います
今週も楽しませて戴きました