禅五題(2020.5月)
坐禅の意味
坐禅は坐って 心を空にする
心を空にする訓練 その
空になった心を 日常 生活の中に 活かし
何事にも捉われない心 空 無 の 心で
物事に対処し 処理をする
何事にも捉われない心で その場 その場 での
真実の道を探す 日常生活に於ける
仕事 家事 交際 様々な面に於いて
世間 一般的な 道徳 風習に 捉われる事なく
人が人として生きる為の 最高 最善の道を
その時 その時 その場で 見極め 対処
処理をする その 空の心 それを
養う為の訓練が 坐禅 坐っただけで
体験を日常に活かす事がなければ
いくら坐っても 無意味 意味が無い
禅家 白隠の言う
" 老いぼれ狸が 穴の中で居眠りをしているようなもの " に
なってしまう
目覚めた意識での真実の修行(仕事)に取り組む事は不断の坐禅ーー白隠
農民は畑仕事 大工は大工仕事 女性は機織り仕事 それぞれ
目覚めた意識で努力すれば それが直ちに 深い禅定ーー白隠
生産の仕事は総て 真実の道と 相違するものではないーー法華経
禅に於いては 知的解釈 概念的理解 は
虚偽
禅は 体験的理解 直感的理解 のみを
真実とする ーー悟る
悟りのみを 真実とする
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荒れた海辺(4)
二階建ての木造家屋の小ぶりな旅館は、海からの風をいっぱいに取り入れて、窓という窓が開け放たれてあった。
< 白浪荘 > と金色の文字で書かれた一枚ガラスの引き戸は開いたままになっていた。
八月の陽射しに馴れた斎木の眼には、建物の内部は暗くて見えなかった。
「ごめん下さい」
斎木は玄関先から暗い奥に向かって声を掛けた。
静まり返った家の中からは返事がなかった。
斎木は更に、二度、三度と声を掛けた。
「はあい、只今」
ようやく返事があった。
家の中の暗さに馴れた眼に、奥に向かって真っ直ぐに延びた廊下が見えた。
若い女性が、その廊下を小走りに走って来た。
女性は玄関先に立つ斎木を見ると、一瞬、虚を突かれたように足を止めた。
「あのう・・・、部屋は空いてますか」
斎木は女性が、ちょうど自分と同じ歳ごろに見える事に少しの戸惑いと気恥ずかしさを覚えながら、それと共に、自身の身なりの貧しさを恥じる気持ちでしどろもどろに聞いていた。
「はい」
女性はそう答えたが、なおも信じ難いものを見るような眼で斎木を見つめていた。それからようやく、自分の立場を思い出したらしく、
「ちょっとお待ち下さい。女将さんが参りますから」
と言うと、逃げるようにして再び、廊下の奥へ走って行った。
若い女性の取り次ぎを受けて姿を見せた女将は、田舎宿の女将とは思えない品の良さを備えていた。
その女将の斎木に向けた視線にも、やはり、若い女性が見せたのと同じような一瞬のたじろぎの色が見て取れた。
斎木は膝の抜けた長ズボンに、汗の染み付いた白の開襟シャツを着ていた。手には布製のボストンバッグがあった。踵のすり減った古靴は埃にまみれて汚れていた。
額に汗を浮かべて、暗い表情を宿したそんな若者に宿の女性達は、不吉な予感を抱いたのに違いなかった。
「お泊りでいらっしゃいますか ?」
ようやく問い掛けた女将の言葉には戸惑いの色があった。
「はい」
斎木は自分が歓迎されていない事を意識した。
自ずと声が小さくなっていた。
「でも、うちは、お泊りには予約を戴く事になっておりますので、突然のお客様はお断りしているので御座いますよ。突然のお客様ですと、お出しするものを揃える事が出来ませんので」
女将の口調にはそれでも、得体の知れない若者を気遣うかのような柔らかさがあった。
斎木はその口調の柔らかさに救われる思いを抱くと共に、微かな期待をも繋いでいだ。
「ただ、泊めて貰えるだけでいいんですけど」
と、おずおずと言った。
女将はなお、戸惑いの表情を見せていたが、強い否定色までは読み取れなかった。
「お一人でいらっしゃいますか ?」
何かを警戒する気分は払拭出来ない様子のままに女将は、それでも静かに聞いた。
「はい」
斎木は女将の静かな口調にすがる思いで素直に答えた。
女将のためらいは依然、消えないようだったが、やがて気持ちを固めたように、
「何もお出しする事が出来ませんが、宜しいでしょうか」
と言った。
その日の朝、斎木は東京を発って総武本線を走る汽車に乗っていた。
海の季節も終わりに近い八月下旬は、海水浴場へ向かう人の姿もなくて、下りの列車は空いていた。
斎木には何時もの事で、当てなどなかった。工場の機械の入れ替えで、思い掛けない三連休になっていた。心の中の鬱屈した思いに押し出されるように斎木はアパートの部屋を出ていた。
昔のままに見える、しなびた佇まいに惹かれて降りた小さな横芝駅は、屋根の無いホームが夏の陽射しを浴びて、ひっそりとして静まりかえっていた。斎木は汽車が発車したあと、線路の上を渡って改札口へ向かった。
荒い玉砂利の敷かれた駅前広場には、数少ない乗客を乗せたバスが発車の時刻を待っていた。
「木戸浜方面」と書かれた字幕を見て斎木はそのまま、訳もなく乗り込んでいた。
「木戸浜へお出での方はここで降りて下さい」
若い女性車掌の声に促されるように斎木はバスを降りた。
駅からは二十分程の行程だった。海辺へ出るにはそれからまた、一キロ程の砂利道を歩かなければならなかった。
最初から、海へ行くという予定のあった訳ではなかった。行き当たりばったりの行動だった。
舗装もされていない、砂利を敷いただけの県道は、八月の陽射しの中で埃っぽく、白く続いていた。自分が何処へ行くのかも分からないままに斎木は、ただ、その乾いた道を当てもなく歩き続けていた。
荒い砂利石が靴底に当って痛かった。周囲には田圃や畑だけが続く景色が開けていた。その合い間、合い間に時折り、槙塀に囲まれた家々が姿を見せた。
遠く開けた田園風景は東京にはない景色で、斎木の眼を和ませたがそれはまた、幼い頃の斎木がそこで育った景色にも似ていた。
やがて前方に海の広がりを予感させて、空の明るさが見えて来た。粗い松林の中に人家が点在していた。
その向こうに砂浜が見えて来た。更に歩いて行くと、時折り、白く砕ける波を遠く彼方に見せて、海の一部が見えて来た。
斎木は人家が点在する松林の間の道を通って、砂浜の方へ歩いて行った。
松林を抜けると眼の前に広々とした砂浜と、その向こうに開けた海が見えた。
海は荒々しく砕ける波を幾重にも幾重にも連ねて沖合いに続いていた。夏の陽射しの中で、深い海の青と砕ける波の白とが眩しく眼に映った。
砂浜は二百メートルに近い広がりを見せて、渚に続いていた。
その砂浜を歩いて行くと、砂にめり込む靴の中に砂が入り込んで来て熱かった。
砂浜を抜けて辿り着いた渚には人影一つなかった。八月の焼け付くような陽射しの中で海はただ、飽きる事の無い波の繰り返しを続けていた。
斎木は暫くは熱砂に熱くなった靴の底を冷やすように、砕けた波の寄せては退いて行く渚を、遠く開けた視界に眼を向けながら歩いた。
砂の白一色の砂浜は、所々に風で吹き寄せられた小さな砂丘を幾つも作って、浜昼顔を群生させながら、やがて、八月の陽射しが描き出す陽炎の中に溶け込んで見えなくなっていた。
靴の底が濡れて来て不快感を覚えると斎木は、ようやく渚を後にした。
再び、砂浜に戻ると砂の中を浜昼顔の群生する小高い砂丘へ向かって歩いた。
浜昼顔の群生が砂の熱気をさえぎるその場所に腰を降ろすと斎木は初めて、強烈な陽射しの中に身をさらしていた事の微かな疲労感を覚えて、ボストンバッグから手拭を取り出し、汗に濡れた顔や首筋、胸などを拭った。
依然として砂浜には、人の影一つ見えなかった。見渡す限りの海と砂の広がる景色だけが何処までも続いていて、やがてそれは、陽炎の中にかすんで見えなくなっていた。
そして、そんな無人の景色は何故か、斎木の心を和ませた。今日まで自分が抱き締めて来た孤独感とその景色が完全に溶け合い、斎木自身と同化する思いだった。砂の上に坐っている、それだけで心が満たされた。
斎木がようやくその砂の丘から腰を上げた時には、既に午後三時を過ぎていた。
斎木は当てもないままに松林の間の道を戻った。
小さな十字路へ出た時、来る時は気付かなかった左側、向こう角に雑貨店がある事に初めて気が付いた。炎天下の中、何も飲まず、食べもせずにいた事の、のどの渇きと空腹とを途端に意識して、アンパンとサイダーを求めた。それを口にしながら再び、当てもないまま歩き続けた。自分が何処へ行くのかも分からなかった。
いつの間にか、川岸近くに来ていた。その時、< 旅館 白浪荘 >と書かれた白塗りの看板が橋の袂近くにあるのが眼に入って来た。咄嗟に斎木は、なんの思いも無く、今夜はここに泊まろう、と考えていた。
三
二階の部屋からは松林越しに海が見えた。
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桂蓮様
有難う御座います
桂蓮様も大分 御苦労なされた御様子
でも、現在の桂蓮様からはそんな御様子は
微塵も見えて来ません 韓国 日本 アメリカ
三ヶ国語を自在に繰る 見事な現在のお姿では
ありませんか 敬服致します それに現在が
御幸せとの事 なによりそれが一番です
今がよければ それで良し それに越した事はない
どうぞ 良き理解者でいらっしゃるらしい御主人様と
これからも末永く 御幸せでいらっしゃいますよう
今と時を大事にして下さい
体性知覚
自分の肉体がそれを悟った時 それは自然に
出来るようになる そんなものではないでしょうか
今回の御文章 誰もが感じる事がそのまま表現されて
います 誰もが そうだ そうだ と
思うのではないでしょうか 共感出来る御文章です
今回も苦労しながら 辞書片手 英文も拝読
致しました 楽しい時間でした
何時もお眼をお通し戴き 有難う御座います
takeziisan様
有難う御座います
それにしても 猛暑の中 よく
お歩きですね どうぞ 熱中症にはくれぐれも
御用心を もっとも よく歩くからこそ 楽しく
美しい写真が撮れるのでしょうけれども
遠くへゆきたい 懐かしい言葉の響きですが
実はわたくしは この番組 一度も見ていないんです
ですが当時から 永六輔初め、出演者の名前は知って
いました 人気番組でしたから それにしても
当時の出演者の多くが亡くなっていますね この間も
中島弘子さんが亡くなって 総てが遠い昔の事
そんな感じですね
アッチッチ 面白い写真 状況がよく分かります
それにしても昆虫の元気な事 驚くばかりです
先だっても小さな虫を見ながら こんな虫には
熱中症は無いんだろうか などと詰まらない事を
考えていたばかりです
ニラは性が強いですね 屋上菜園でもひと夏に何度も
収穫出来ます
北陸 山村言葉 美しいです それに優しい
概して東北方面 北の言葉には優しい響きが
感じられます それに比して 関東 海辺の言葉は
粗っぽい つくづく思います わたくしは何故か
東北地方の総てに惹かれます 或いは 無いものねだり
なのかも知れません
見るたび羨ましく思う自然写真の数々 眼の保養です
何時も 有難う御座います