郷愁(2009.5.13日作)
松林の中の道に沿った
彼女の家の横を過ぎる
丈高い生け垣に囲まれたその家に彼女は
二人の姉と両親 祖母と暮らしていた
彼女に憧れていた中学生の頃
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十幾年かが過ぎた
東京での暮らしを生きる身になっていた
十幾年かぶりの帰郷 故郷の村は
昔と変わっていなかった
郷愁を誘われるままに
松林の中の道を歩いてみる
彼女の家は昔のままにあった
十幾年か昔の記憶が甦る
彼女がその家にいると思うと心が高鳴った
郷愁はだが たちまちに深い喪失感に変わっていた
昔の彼女は もう いない 地方の都市に嫁いだ噂を
誰かから聞いていた
丈高い生け垣に囲まれた
松林の中の道に沿った家
その家は昔と変わらずそこにあるのに
彼女はもう いない
時の流れが永遠に
彼女を連れ去ってしまっていた