遺す言葉

つぶやき日記

遺す言葉(381) 小説 岬または不条理(完) 他 企業 会社とは・・・

2022-01-30 13:10:12 | つぶやき
          企業 会社とは・・・(2022.1.20日作)


 企業 会社は 資本家だけのものではない
 資本家 経営者 従業員 この 三者によって
 構成され 成立する 無論 そこから得られる利益は
 この三者に 公平 平等に 分配されるべきもの
 資本家尊重主義 現在の資本主義は
 資本家尊重主義に傾いていないか
 資本家への利益配分を重視するーー
 当然 現在の企業の在り方は
 批判されて然るべきもの 資本主義の本家
 アメリカの若者達の間では ほぼ 半数に近い者達が
 資本主義に否定的という  かと言って
 社会主義と称しての専制主義 全体主義 権力主義(どこかの国の)が
 良いというものではない 人間社会は総てに於いて
 平等 公平であるべきものだ





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          岬
            または
                不条理(完 )



 三津田が部屋に待っていた男が開けたドアを出ると男も、三津田の後に続いて部屋を出た。
 男は後ろ手にドアを閉めるとすぐに三津田の前に立って、先程歩いて来た廊下を玄関へ向かって歩き始めた。
 その間、男は無言だった。
 三津田は無事に自分が一つの役目を果たし終えた安堵感を覚えながらも、何故か、男の執拗に押し黙ったような態度に無言の重圧感にも近い感じを受けて思わず、
「これから駅へ送って貰えるんですか」
 と、男に話し掛けていた。
「はい」
 と、男は言った。
 その言葉には三津田を威圧する感じはなかった。
 三津田はその言葉を聞いただけで、なんとなく、気持ちのほぐれる気がした。
 男に案内されて戻った、先程、三津田を運んで来た車には、運転手が座り込んだままでいた。
 三津田を案内した男は、先程と同じように後部席のドアを開けた。
 三津田が座席に着くと男はそのドアを閉め、自分は来た時と同じように前の座席に運転手と並んで座った。
 男も運転手も無言だった。
 車はそのまま走り出した。
 三津田は軽い安堵感に捉われ、ホット、微かな溜め息を洩らした。
 車は先程来た道を戻っていた。後は駅へ行くばかりだ、と三津田は思った。
 車がどちらの方角へどう走っているのか、地形に疎い三津田には分らない事だった。
 だが、暫くしてから三津田はふと、疑念に捉われた。
 車は今は、先程来た道とはまったく違った道を走っていた。むしろ、駅へ向かうのとは逆の方向ではないか ?
 三津田は心配になって思わず聞いた。
「駅は、こっちなんですか ?」
 車はかなりの速度で走っていた。
「いえ、違います。でも、せっかくこの地へいらっしゃったんですから、その前にちょっと、岬の風景を御紹介しようかと思いまして。ーー素晴らしい眺めですよ」
 男は静かに言った。
 三津田は狼狽した。
「いや、いいですよ。何処へも寄らずに駅へ行って下さい。明日の仕事の予定もあるので、早く帰りたいので」
 自分が訳も分からない所へ連れて行かれるような気がして三津田は、思わず込み上げて来る男に対する微かな怒りと共に言った。
「でも、もうすぐですので」
 男は冷淡に言った。
 この時初めて三津田は、自分がのっぴきならない立場に追い詰められている、というような思いに捉われて気持ちが焦った。
 その間車は、舗装もされていない荒れた、道とも言えない道をかなりのスピードで走っていた。三津田が不安と共にドアを開けて外へ逃れようとしても飛び出せる状態ではなかった。

 三津田の妻の時子から警察に電話があったのは、その夜の十時を過ぎてからだった。
「遅くとも十時前には帰って来られるだろう、と言っていたんですけど、まだ、帰らないんです。携帯に電話をしても繫がらないんです。何か、あったんではないでしょうか」
 時子の声は怯えに震え、半分、泣き声になっていた。
 以前から相談を受けていた警察ではすぐに動いた。
 三津田の死体が発見されたのは、それから二日目の午前十一時過ぎだった。
 岬の大小様々な岩が海面に突き出ていて、荒々しく波の砕けるその岩の間に波に揺られながら浮かんでいた。
 初めから三津田に接近して来た男はすぐに取り調べを受けた。
 続いて、三津田に東京駅でアタッシェケースを渡した男も調べられた。
 男達はそれぞれに自分の役目を認めた。
 警察はそこに捜査の手を入れたが不審に思える事態はなかった。
 男達はそれぞれに鞄の中身までは知らなかった。東京駅で三津田にアタッシェケースを手渡した男は書類を依頼した会社の社員だったが、その男の所属する会社にも不審な事項は認められなかった。
 男達の話しから三津田がアタッシェケースを届けた男も捜索を受けた。
 警察では麻薬に関わる事態を予想していたが、その形跡は皆無だった。
 村上という三津田の応対に当たった七十二歳の会社経営者は、その地方で魚介類の加工販売を手広く行っていた。
 村上はその日の出来事のいっさいを事細かに話した。
「そうです。わたし共はこの鞄を受け取り、約束していた手数料も支払いました。これがその三津田さんの受け取りのサインです」
 村上は三津田が署名した書類を警察に見せた。
「鞄の中身は機密書類です。確認するとすぐに燃やしました。外部に知られたくはありませんので。それが取引先との約束でもありましたし」
 村上の言う取引先という会社も、別段に怪しい会社ではなかった。
 ただ、既に燃やされたという機密書類に付いては何も分からなかった。
「三津田さんはこの鞄を置くとすぐに帰ったんですね」
 警察は聞いた。
「そうです。お茶でもと勧めましたが、すぐ帰ると言って、帰りました。ええ、そうです。わたしがタクシーを呼んで、そのタクシーに乗り、帰りました。わたし自身がこの眼ではっきりと確認しています」
 村上は言った。
 村上の証言に従ってタクシー会社も取り調べを受けた。
 その日、三津田を乗せたという運転手の証言もあった。
 運転手は言った。
「駅ですね、と聞くと、うん、その前にせっかく来たんだから、少し岬の方を見てみたいと思うので行ってくれないか、と言いました。それで、岬へ行ったんですが、帰りはどうしますか、待っていますかと聞くと、いや、私鉄の電車があったよね、と言いますので、ここから十分程北へ歩くと土産物屋や旅館などもあります、と教えてやりました。すると、待たせちゃ悪いから電車で行くよ、と言いました。それでわたしは、その私鉄線の方へ向かい、岬駅へ行く客を乗せて帰りました」
 警察では当然ながらに、その日の業務日誌も調べたが、総てが運転手の証言と辻褄が合っていた。
 警察の調査はすぐに行き詰まった。結局、調査の結果からは、三津田自身が引き起こした事故死ではないか、そんな結論しか導き出し得なかった。これ以上、警察には手の施しようもないように思えた。裏に何があるのか、事実と村上やタクシー運転手の証言には明らかな食い違いがありながら、それを見破る手立てがなかった。ただ、それにしても、三津田が不当に殺害されたという事実は、厳然として存在した。その事実に警察が何処まで迫り得るか、残されたのはその一点のみだった。村上、タクシー運転手の虚偽の証言を突き崩す、その方法はあるのか ? 最初に三津田に接近して来た男の、何処なく不審気な行動を知る警察の地道な、長い捜査に期待するより他になかった。
 波の間に間に浮かんでいた三津田の上着の内ポケットからは破れた封筒が見つかった。中には一万円札二枚が入っていた。その他の四角い封筒の中の一万円と八枚の一万円札は見つからなかった。


                      完





          ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


          桂蓮様

          有難う御座います
          塩を撒く 初めて知りました
          硬く凍結させる為でしょうか
          それにしても大変ですね
          こちらではマイナス一度か二度でふうふう言っています
           衣服の整理 わたくしには出来ません なんだか
          勿体ないという思いばかりが先に立って・・・・
          そのくせ 着る予定もなく 着られる歳でもない
          のですが これを一体 どうするんだ 見る度に
          思うのですが思い切って整理が出来ないのです 
          いずれにしても 衣服や靴には思い出が宿っていますね     
          この国のある作家が物は捨てるな そこには
          自分の人生が詰まっているというような事を
          言ってましたが
           過去に拝見した事があるか ちょっと記憶が曖昧
          なんですが 英語の独学法 とても面白く読ませて
          戴きました 物事 実践と頭で考える事の間には
          どうしてもギャブが生じますね だから禅などでは
          理屈を言うと一棒をくらい 実践のみが重視される
          職人さんの卓抜の技 あれなどもみな体で覚え 身に
          着けたものなんですね
           それにしても 日本人の外国語の下手さ加減には
          定評があります
          その点 桂蓮様は三か国語を見事にこなして
          いらっしゃる 敬服です   
           お忙しい中 何時もお眼を通して戴き 
          有難う御座います



           takeziisan様


            有難う御座います
           いろいろ懐かしさを誘う記事 楽しく
           昔を思い出しながら拝見させて戴きました
            平凡 明星 いや 懐かしいですね
           あの頃は若尾文子も若かったですね
           思い出します 津島恵子 久我美子
           憧れの女優でした わたくしの中では
           原節子が別格です
            菜の花畑といえば わたくしには
           忘れられない記憶があって 菜の花畑の
           歌を聴いたり 写真を見たりする時に
           必ず浮かんで来る景色があります 中学三年の時
           ある用事で担任教師と共に自転車で教師の
           お宅へ伺った事があります その時途中の道で
           菜の花畑の中を通ったのですが まわり一面
           菜の花の黄に囲まれて白い夕月がかかり 夢のような
           景色でした その時の記憶が未だに鮮やかに脳裡に
           焼き付いています 懐かしい記憶です
            氷の華 初めて知りました 美しい写真
           堪能しました
            井戸の水 我が家の井戸の水も近所では評判で
           子供たちが(わたし自身も子供でした)川へ水浴びに行 
           く度に帰り道 我が家へ寄っては「水くっだい」と
           言って釣る瓶で 汲んで「うんめぇ水だなあ」と言い
           なからて飲んでいた事を思い出します
           「くべる」わたくしの地方でも使いました
            今年の野菜のなんと高い事か タマネギなど
           安いものとばかり思っていましたが 値段を見ると
           手が引っ込んでしまいそうです
            デボラ カー 題名は思い出せませんがこの人を
                  初めてスクリーンに見た時 美貌に驚いた記憶が
           あります 昔のハリウッドには綺麗な女優さんが
           多かったですね
            今回も美しい写真 楽しませて戴きました
           有難う御座います
            

   
            

 



 
 
 
   
 
 

遺す言葉(380) 小説 岬または不条理(9) 他 中学生時代作品(2) 

2022-01-23 12:09:00 | つぶやき
          塩原へ(1953.8月作)
             修学旅行の思い出  
               匝瑳郡(そうさぐん)中学校連盟発行文芸誌
                 「さふさ」掲載

 青葉の山道あえぎつつ
 曲がりくねってバスは行く 
 山又山を越えながら
 霧のはいよる崖道を
 いで湯の町へバスは行く

 鬼怒高原の山深く
 白樺林の白き肌
 赤きは嶺の百合の花
 行けど走れど山遠く
 いで湯の町へいつ着くか

 五分休みの白滝を
 過ぎればやがて下り坂
 新湯を越せば眼の下に
 いま見えだした憧れの
 いで湯の町へバスは行く


         道を抜けて(1954.5月作)
 松林を抜けて
 小高い丘の上を過ぎ
 また 松林の中を
 この道はどこまで続いて行くのか
 そろそろ
 春に
 なりましたなあ・・・・・
 若い農夫の声が
 澄んだ空気を破って
 聞こえて来る
 やがて 途切れた道の向こうに
 青々と葉色を青くした
 麦の畑が一面に開けて来る


         雨の中の浜辺(1954.9月作)

 人影もない小さな漁船が
 銀色の雨に濡れている
 波もない鏡のような入り江に
 雨は 
 音もなく降り続く
 砂浜に
 小さな麦わら帽子が一つ
 転がっている 傍で
 鴎が一羽
 雨に濡れた羽根を休めて
 沖を見つめている





          ーーーーーーーーーーーーーーー



          岬
            または
                不条理(9)


 車はそれから二十分以上も走り続けて、もはやこれ以上行けば海に突き当たる、と思われた時にほんの十メートル程手前で右へ曲がった。
 そこには細い砂の道が続いていて、半分以上が雑草に覆われていた。
 周囲は雑草に覆われた平地で、所どころにポツンと一本、松の木が立っていたりした。
 左手は見渡す限りの、荒々しく波の砕ける海の景色で、数限りない大小の岩々が押し寄せる波を砕いて白い飛沫を上げていた。
 車はそれからまた、五分程走って右へ曲がった。今来た道へ出てしまうのでは、と思われた時、突然、左手に疎らな松林の中に建つ、白く瀟洒なコンクリートの建物が見えて来た。
 いかにも瀟洒な建物で、この人里離れたこんな場所に、と思われるような違和感があった。それでも三津田は何故か、その建物を見た時、ホットするような安堵の気持ちを覚えていた。改めて、自分の席の横に置いた見知らぬ男から託された黒い鞄に意識を戻して手に取った。
 これを、ここに住む人間に渡してしまえば、それで総てが終わりになると思うと、ようやく、この訳の分からない仕事から解放されるという気がして、体全体から力が抜けてゆくような感覚を味わった。と共に自分が無意識のうちに緊張感で体を固くしていた事を改めて認識した。
 車はその間にも目の前に見えて来た白い建物に近付いていて、疎らな松林の中に開けた道に入った。白い大きな建物が目の前に迫って来た。
 車はやや小ぶりな、よく手入れのされた庭に入る直前で停まった。
 運転手の横にいた男がほとんど同時に自分の横のドアを開けて車を降りた。
 三津田ガ開ける前に男が外側からドアを開けてくれた。
「お疲れ様でした」
 男は鄭重に三津田に言った。
「いや、どうも」
 三津田は応じた。
 三津田が車を出ると男は早速、そのまま建物の正面玄関に通じるコンクリートの三和土の上を歩いて三津田を案内した。
 建物玄関の内側はやや暗い感じで大きかった。
 玄関に続いてよく磨き抜かれたフローリングの床が続いていた。
「どうぞ」
 男は言うと自分から先に靴を脱いで上がった。
 奥に長い廊下を、両側に見える三つのドアの前を通って、四つ目の左手のドアの前に立つと男は扉をノックした。
「あい」というような少し重い感じの声が内側から聞こえて来た。
 男は無言のままドアを開けた。
「どうぞ」
 と言って、三津田に中へ入るように勧めた。
 三津田が勧められるままに入った部屋のほぼ正面には大きな机を前にして、椅子に掛けた白髪の綺麗な七十代かと思われる小柄な男がいた。
 男は三津田の顔を見ると、
「おお」
 と言って、笑顔を見せた。
 穏やかな笑顔だった。なんとなく、三津田を安心させるようなものがあった。
「遠い所をわざわざお出で戴き、有難う御座います。さあ、どうぞ、お掛け下さい。早速、用件に入りたいと思いますので」
 白髪の男はあくまでも穏やかだった。
 三津田を案内した男はドアを閉めるとそのまま部屋に残った。
 三津田は勧められままに椅子に掛け、手にした鞄をテーブルの上に置いた。
 白髪の男に取っては総てが了解済みの事のようだった。顔一つ動かさなかった。
「これをお届けするように頼まれましたので、お持ちしました」
 三津田は如何にも自分に取っては不本意な事なのだ、というようにぶっきら棒に言った。
「そうですか、有難う御座います。わたし共としましては、状況はよく分かりませんが、いずれにしてもお届け下さった事に感謝致します。で、報酬の事はお聞きになっておりますでしょうか ?」
 男は相変わらず穏やかな笑顔で言った。
「いえ、ただ報酬は払いますとだけは聞いています」
 三津田は硬い口調のままに言った。
「そうですか。勿論、わたし共としましても用意はしております」
 白髪の男はそう言って机の引き出しを開け、茶色のありふれた一枚の封筒を取り出した。中に何かが入っている事は見た目にもすぐに分かった。
「それから僭越ですが、往復の交通費もここに用意してありますので、お納め下さい」
 男は小さな四角い封筒を取り出した。
「では、わたしはこれで失礼してもいいでしょうか。お約束の物はお渡ししました事ですし、わたしには明日の仕事の用意もありますので」
 三津田に取っては、どう見ても理不尽としか思えないこの、訳の分からない仕事を済ませてしまえば、見も知らぬ他人の家に長居をしなければならない理由など何もなかった。
「まあ、そう言わずにお茶でも如何ですか。わたし共としましても、お礼の気持ちだけでも思いますので」
 男は言った。
「有難う御座います。でも、急ぎますから」
 三津田の口調は突っけんどんでさえあった。
「そうですか」
 男には敢えて三津田を引き留めようとする気持ちもないようだった。
「では、失礼ですが、この封筒の中をご確認して戴けませんでしょうか。こちらには謝礼として十万円、こちらには交通費として一万円、用意してあります。それで、もし、お間違えがなければここに、確かに受け取ったというサインをして戴きたいのです。わたし共としましても、依頼主に証拠として示したいものですから」
 三津田は男が差し出した二つの封筒を手にすると中身を取り出し、確認した。
「間違いありませんでしょうか。もし、間違いがなければここにサインをお願いします」
 三津田は男に言われるままにサインをした。
「有難う御座います」
 白髪の男はそれから、その間、ずっと部屋の片隅に立っていた三津田を案内した男に向かって、
「駅までお送りしてくれないか」
 と言った。
 三津田を案内した男は
「はい」
 と答えた。





           ーーーーーーーーーーーーーー


           桂蓮様

           有難う御座います
            人との波長 拝見しました
           波長が合う 合わない 人と人との
           付き合いの中で これ程大切なものは
           ないのではないでしょうか たとえ
           高学歴の世間では立派な人間と思われる人の中にも
           嫌な人間もいるし 巷に生きる平凡な人の中にも
           好感の持てる人もいます いずれにしても
           波長の合わない人間と付き合うのは 苦痛の伴う事
           です
            お住まい 随分 寒い所なんですね こちらも
           今年は珍しく寒い冬になっています それにしても
           その寒さの中 バレーに励む 楽しくなければ
           出来ない事ですね なんだか バレーに付いて語る
           その語り口も拝見していてとても楽しそうで読んでい      
           るわたくし自身も浮き浮きした気分に包まれます
           練習風景が自ずと眼に浮かんで来ます 良い趣味を
           見つけられましたね 体を動かす事は身体にも
           心にも良い事で 充実した人生をお過ごしになれる
           のではないでしょうか それにしても 御主人様
           御理解のあるお方のようで 幸せそうな風景が
           浮かんで来ます 
            修理して履く 着る 年齢を重ねると物が持つ
           その重みが理解出来て来るようです わたくしも
           この物が溢れた世の中で一つの物を後生大事に何年も
           使ったりしています 貧しい時代に育ったせいか
           物を捨てる事が出来ない性分になっています
           わたくしの四畳半の部屋を見た者はゴミ屋敷だね と
           言います ここに来ると今にも本や新聞の溜まった
           切り抜きなどが頭の上に落ちて来るのではと思って
           はらはらすると言います  
            韓国 日本 アメリカ それぞれにその国の 
           個性がある 同じ人間 分けるのはやはり環境で
           しょうか
            何時も有難う御座います



          takeziisan様

           有難う御座います
          「寒い朝」 吉田正の最も好んだ曲
           初めて知りました 外目から見た時
           もっといい曲がこの人には一杯あると思うのですが
           あの頃の吉永小百合は若かったですね
           「鞍馬天狗」わたくしは戦前 父に連れられ
           映画館で観た記憶があります 馬で風を切って
           走り去る様 未だに記憶に焼き付いています
            コダカラソウ 初めてです
            イナゴ 懐かしいですね それこそ田圃の中の
           道を通る時 稲の中から一斉に飛び立った景色が
           眼の奥に残っています 凄まじい数でした
           当時 わたくしの方では佃煮などにしていました
           のどかな田園風景の記憶です
            アルフレッド ハウゼ タンゴの大御所
           いい曲がありましたね 懐かしいです 
           今の音楽は聴く気がしませんが 昔の音楽には
           郷愁を誘われます
            方言 「ナス」前回の「ソイ」にしてもなんとなく
           東北 北陸などの言葉には優しさがあるような気が
           します 一方 関東の言葉は粗っぽい感じがします
            寒い中 よくお歩きです 風邪など充分
           注意をいして下さい
            これからも美しい写真など楽しみにしております
           有難う御座いました
      

              
 
 
 
 






         

          
 
          

遺す言葉(379) 小説 岬または不条理(8) 他 中学生時代作品(1) 

2022-01-16 12:47:16 | つぶやき
          中学生時代作品(1)


          母(19553.3月作)
             (千葉新聞募集母の日入選掲載作)

 暗い電燈の下に
 皆 寝静まった夜中に
 ただ一人
 仕事に励む母
 疲れたような影が
 いつまでも障子に映る
「かあちゃん もう寝たら」
 思わずその影に声をかける
「もうすぐーー」
 母は答えて
 また 針を運ぶ
 暗い電燈の下に
 今夜も荒れた母の手が
 一心に針を運ぶ

     (昭和二十八年 当時は今のように物の溢れて居る時代ではなく
     着る物も何度も継ぎを当てながら着ていたものです 今では
     破れたジーパンなどがファッションとして持て囃されていますが
     隔世の感があります)



          冬の日(1953.12月作)

 冬の日は木枯らしとともに暮れ
 西の空が茜に映えるころ
 家々に一つ 二つと 
 明かりが灯る
 夕餉の煙りが立ちのぼる
 仕事を終えた
 若い農夫の家路を急ぐ背中に
 白い月がある



          ーーーーーーーーーーーーーーー



          岬
            または
                不条理(8)

 乗換駅には五輌編成のジーゼルカーが停まっていた。この駅から岬の駅までは二時間四十分の予定だった。
 ジーゼルカーの発車までには二十分程の間があった。三津田はこれから三時間近くの旅を考えると何か口にするものでも売店で買おうかと考えたが、気も進まないままに止めて新聞だけを求めた。
 右手に託されたアタッシェケースを握ったまま三津田はジーゼルカーに乗り込んだ。
 車内は空いていた。地方としてはかなり大きな駅だったが、何処となく東京の列車内とは違う雰囲気があって、三津田はそこに地方都市の雰囲気を感じ取った。
 二人掛けの椅子が向き合った座席の、誰もいない席に腰を落ち着けると三津田はなんとはない緊張感から解放された思いで、ふうっと溜息を洩らした。
 これから二時間四十分、岬の駅に着く頃には五時を過ぎてしまうだろう。その後、どんな交渉が待っているのかは分からなかったが、その仕事を終えて帰る頃には既に日が暮れているに違いない。
 明日の、自宅へ持ち帰った仕事の内容を考えると三津田は今更ながらに、余計な、訳も分からない仕事を押し付けて来た男達への腹立たしさを覚えずにはいられなかった。
 それから三津田はふと気になって、この訳も分からない仕事に関りのある、自分を見張る男達が必ず何処かにいる、という思いの払拭出来ないままに、それとなく周囲に眼を配ってみた。
 眼に入って来る人達の中にはだが、特別に異様な雰囲気を感じさせる人間は見当たらなかった。それでも三津田はやはり、自分が見守られている、という思いは拭い去る事が出来なかった。この仕事が、世間に大手を振って罷り通るような種類の仕事でない事だけは確かだった。そしてそれが、どんな仕事で、内容がどんなものであるのかは、依然として、仕事を依頼された当人の三津田にも分からないのだ。
 三津田は一層の腹立たしさを覚えずにはいられなかった。
 ジーゼルカーは間もなく動き出した。三津田は次々と彼に取っては物珍しい地方の景色を後ろにずらしながら走る車窓から外を眺めていたが、それに飽きるとおもむろに背広のポケットに突っ込んだままの新聞を手にして開いてみた。
 紙面には相変わらず人間社会の愚行と、矛盾や理不尽に満ちた数々の出来事が満載されていた。三津田に取ってはだが、今ではそれらの愚行、矛盾、理不尽も、格別に珍しいものではなくなっていた。既に四十年に近い歳月をこの世に生きて来た。世の中が正義一筋、正当一筋で成り立っていない事は明らかだった。裏には裏がある。それがこの世の常識なのだ。三津田自身、既にそう達観している。そう達観しなければこの世は生きてはゆけない。それに自身が染まるか染まらないかは別の問題としてーー。三津田は自身のこのジーゼルカーに身を委ねた立場と照らし合わせて、諦めにも近い気持ちと共に紙面に眼を落し続けていた。
 何時の間にかうとうとしていたらしかった。眼を覚ました時には、その眠りの中で自分が夢を見ていてた事を自覚した。だが、その夢の内容は分からなかった。漠然とした重い気分と共に、何か、華やかな雰囲気も一方であったような気がした。
 なんの夢を見ていたんだろう ?
 なぜか、三津田にはその夢の内容が気になった。
 ジーゼルカーはその間にも確実に岬の駅に近付いていた。車内の案内があと五分で到着です、と伝えていた。

「駅に着きましたら改札口を出て、駅舎の出口でこの鞄を手にして立っていて下さい。黒塗りの車があなたの傍へ行きます。迎えの男があなたを車内に案内しますので、それに従って下さい。後は車があなたを目的地にお連れしますので、あなたはただ、それに従って戴ければ結構です。決して、あなたに御迷惑をお掛けするような事は御座いません」
 東京駅で乗車券とアタッシェケースを三津田に託した男は言った。
 三津田はその言葉に従った。
 三津田が男の言葉通りに行動すると、三分の間も置かずに一台の黒塗りの車が三津田の前に来て停まった。 
 国産のありふれた車種だった。
 運転席の隣りに座っていた男がすぐにドアを開けて出て来た。
「三津田さんでしょうか ?」 
 男は言った。
 相手が自分の名前を口にした事に三津田は嫌な感じを抱いた。
「そうです」
 三津田はそれでも言っていた。
「どうぞ、お乗り下さい。御案内します」
 男は鄭重だった。
 三津田は男の鄭重な態度に幾分救われる思いがして、男の言葉のままに従った。
 男は三津田が後部席に座るとドアを閉め、自分は運転席の隣りに座った。
 車は五分程で市内を抜け、疎らな松林の明るい道に入った。
 海が近い事を思わせて空が明るかったが、海そのものはまだ見えなかった。
 運転手も男も無口だった。
 車が走り出してからは一言も言葉を口にしなかった。
 三津田にはその男達の無言が次第に気になって来た。
 何故、男達は黙りこくったままでいるのだろう ?
 初めて顔を合わせた自分に何か、話し掛けて来てもいいはずではないか ?
 こちらへ来るのは初めてですか ?
 長い時間で、お疲れにはなりませんでしたか ?
 三津田には男達が無言のうちに何か自分に圧力を掛けて来ているのではないかと思えて来て、気持ちが落ち着かなくなった。
 車はその間にも明るい松林の中を抜け、一面に野菜畑の広がった空間に出た。その先には遠く、小さく広がった海の青さと白く砕ける波の一部が見えていた。
 車は既に三十分以上も走り続けていた。三津田の眼には車はただ、海を目差して走っているとしか思えなかった。
 三津田は男達の無言の行と不安定に揺れる車の振動に疲れて、
「まだ、長く掛かるんですか ?」
 と、聞いた。
「いえ、間もなく着きます」
 三津田を迎えた男はそれだけを答えた。 
 言葉遣いに三津田を威圧する響きはなかった。





           ーーーーーーーーーーーーーー



           桂蓮様

           有難う御座います
           今まで気が付かなかったのですが 今回
           初めて 心の洗剤 を読ませて戴きました
            人間の記憶 厄介なものですね 食器を
           洗うように人間の心も洗剤で洗い落す事が出来たら
           どんなに楽な事でしょう 嫌な思い出はみんな
           洗い流してしまう 楽しく 美しい思い出だけは
           残して置く そんな事が出来たらこの世は
           極楽です でも それが出来た時には 人間も
           人間としての進歩が停まってしまうのかも知れません
           良い事悪い事 総て包含したものが人間という存在
           なのでしょうね きっと 多分 それだからこそ
           この世界も退屈ではないのかも知れません
            バレー その意欲 感嘆です 人間 意欲が
           ある限り いつまでも若々しく いられるのでは
           ないでしょうか バレーに付いての難しい事は
           分かりませんが その美しさ 人間の身体能力の   
           素晴らしさにはバレーを見る度に 感動しています
           桂蓮様のこれからの楽しく 嬉しい御報告 期待と
           共にお待ちしております
            是非 頑張って下さい と申し上げるのは
           御負担になりますでしょうか
            何時も御感想 有難う御座います


          takeziisan様

           コメント 有難う御座います
           お変わりのない御様子 実は前回 ページが
          一月一日で切れていましたので ちょっと気にかかり
          あのような文章になりました まずは一安心と
          いうところです
           初夢 夢の不思議さ 奇怪さ 人の心の何が
          夢を見させるのでしょうか 良い夢の時は目覚めも
          爽快ですが 悪い夢の時は気分もなんとなく沈みます
          わたくしも時々 両親の夢を見ます 親と子供
          何時まで経っても変わらないものなのでしょうか
           わたくし共も兄妹の集会 中止しました
           穏やかな三が日 良い写真を見せて戴き田舎の景色を    
          思い出しました 全く変わらない風景です
          懐かしさと共に拝見しました
          オオバン 昔のアメリカ映画「黄昏」が浮かんで来ます   
          ヘンリー フォンダ キャサリン ヘップバーン 
          フォンダの娘 ジェーン フォンダ 三人による  
          バンの棲息する大きな湖のほとりで 人生の
          終盤 黄昏を生きる夫婦の物語です 当時 
          ヘンリー フォンダと娘のジェ~ンの関係がぎくしゃく   
          していてその共演が仲直りとして話題に
          なったものでした もう一度見たい映画の一つです
           川柳 相変わらず楽しませて戴きました 何時も
          書くようですが これだけ創るのは大変な事では
          ないでしょうか これからも楽しみにしております
           ソリ作り 雪の記憶は雪国生まれではないわたくしに
          取っても懐かしさに満たされます 何故ですかね
          あの雪の白さが良いのでしょうか 
           オー ヘンリーの学芸会 やっぱり進んでいます
          まだ書きたいのですが 長くなりますので
           ブログ拝見と共に今回も愉しいひと時を過ごす事が
          出来ました 
           有難う御座いました


  
 

            

           
 
 






















 
                      

 



遺す言葉(378) 小説 岬または不条理(7) 他 価値 ほか

2022-01-09 12:56:15 | つぶやき
          価値(2021.12.19日作)


 命は平等だ しかし
 人間はそれぞれ 異なる存在
 異なる存在に於いて それぞれが その場で
 真実 最高の仕事をした時
 その仕事の価値は平等だ
 人それぞれが それぞれの立場で
 真摯に成し遂げた仕事の価値は 平等
 真摯に生きる 生きた 
 その評価こそが 人が生きる上で
 最大限 大切 必要な事 



          宗教 神仏


 宗教は虚構 フィクション
 そこに心を遊ばせる事は出来ても
 頼る事は出来ない
 神仏は心を律するためのもの
 頼るべきものではない
 唯一 確かな現実は今 ここに
 自分が居るという事
 この現実を生き切るためには
 自身の才量 努力以外に 叶えられるものはない
 他力本願は幻想 有り得ない
 神仏は 居る のではなくて 自身が
 心のうちで育み 生み出すもの


 禅 わたしがここに居る
 
 平常心是道(へいじょうしんこれどう) 
  
 生きながら 死人となりてなり果てて
 思いのままにするが業ぞよし





          ----------------





          岬
            または
                不条理(7)



「わたし共の調査では、あの男の素振りに怪しいものは、なんら見られません。男は東京駅八重洲口の近くにあるビルの八階にある商社に勤めています。会社は外国からの食品の輸入を主にやっています。あの男はそこの営業部長です。家族は妻と高校生、中学生の二人の男の子です。住所は千葉県船橋市です。あなたには内緒で録音した会話のテープがこれで、このテープの内容を分析してみても、怪しいと思われる箇所は見当たりません。単なる商談のようにしか受け取れないのです。あの男があなたにどのような仕事を依頼したいのかは分かりませんが、今のところ、これ以上、警察が踏み込んでゆくだけの理由が見当たりません。わたし共としましては、たまたま同じ通勤電車内で顔を合わせたあなたが、優秀な社員だと知ったあの男が、何かの重要な仕事を依頼する気になったとしか、受け取れないのです。この会話の中で最も胡散臭いのは、" ある物 " を岬まで運んでくれ、という点ですが、我々はこれも、いろいろな角度から検討してみました。最も考えられるのは麻薬ですが、男の周囲からそのような状況を掴み出すのは不可能でした。あとは何かの密輸ですが、これも白でした。--どうですか。今度、あの男から電話があったらはっきりと、断る、とおっしゃっては ? 別段、なんの障害もないと思いますが」
 警察官は言った。
 三津田は自分が分からなくなった。なんの怪しいところもない !
 しかし、それならあの男はなぜ、こんなにも執拗にまとわり付いて来るのか。
 警察では、表面上の調査だけで済まして、楽観的に考えているのではないか、と三津田は警察への不信感さえ覚えずにはいられなかった。
「でも、わたしはこれまで、何度も断っているんですよ。それでもあの男は、しつこく言い寄って来るんです。わたしには、この裏に何かがあるとしか思えないんです。たとえ今度、断ったにしてもまた、同じ事の繰り返しになると思うんです。ですから、兎に角、男の要求を一度、受けてみようかと思ってるんです」
 三津田は警察官への不信を滲ませる口調と共に言っていた。
「そうですか。兎に角、わたし共としましても今のところ、これ以上の事は出来ませんので、注意だけは充分しておきますが、もし、何か変だと思えるような事があった時には、すぐに電話を下さい。出来るだけの準備はして置きます」
 警察官は言った。
 男から電話があったのは四日後だった。
「十三日、土曜日。午前十一時三十分に東京駅N番ホームに来て下さい。黒いソフト帽を被って灰色のスーツを着た若い男が、最後部の乗車位置の柱の陰に立っていますので、そこへ行って下さい」
「報酬は何時、貰えるんです ?」
 三津田は挑むような口調と共に、皮肉を交えて言った。
 警察では、断れ、と言っていたが、三津田にしてみれば、とにかく一刻も早く、この事へのケリを付けてしまいたいという思いのみが強かった。
「それは目的が達成されたと分かった時点で、間違いなくお支払いされるはずです」
 男は言った。
 三津田は妻に言った。
「とにかく、この仕事を受けてみよう。何があるかは分からないけど、警察も付いていてくれる事だし、何時までもぐずくず引っ張っているのは、かえって気が重いから」
「でも、一度引き受けたら、類が類を呼ぶで、また次にもなんて事にならないかしら」
 妻は心配した。
「うん、でも大丈夫だろう。一度、遣ってみれば、それがどんな仕事なのかも分かる事だし」
 妻はそれでもまだ、不安な気持ちが拭えないようだった。
「大丈夫だよ。警察も付いていてくれる事だし、なんとかなるよ。兎に角、今度の事は平和な過程に突然訪れた、癌の兆候みたいなものさ。一度、切り取ってしまえばまた元に戻れるんじゃないのか」
 三津田自身、完全に不安な気持ちが払拭出来たわけではなかった。
 それでも兎に角、事を一歩前に進めたいという思いは強かった。

 十三日の土曜日、三津田は指定された時間より少し早く、約束の場所へ行った。
 そこに男の姿は、まだなかった。
 ホームの時計が十一時三十分を指すのとほぼ同時に、階段を上って来た男の姿が見られた。
 男は電話で言われた通りの服装で、一目で判別出来た。
 右手に黒い、小型で薄いアタッシェケースを持った男は三津田に近付いて来ると軽く頭を下げて、
「三津田さんでいらっしゃいますか」
 と言った。
 三津田は「そうです」と言った。
 男は三津田の前に立つとすぐにアタッシェケースを差し出して、
「実はこれを、岬にある一軒の家に届けて貰いたいと思いまして」
 と言った。
 三津田にはなんの変哲もない、ただの小型のアタッシェケースに思えた。
 こんな事の為にわざわざと思いながらも三津田は次の瞬間には、それが何か、不法なものか、不審物なのか、という思いに捉われて体の芯に走る戦慄を覚えた。
 三津田は即座に言っていた。
「中身はなんです ? まさか、不法なものや不審物ではないでしょうね」
 男はその言葉を聞いても顔色一つ変えずに、
「いえ。決して、変なものではありません。その点は御心配戴かなくて結構です。ただ、わたし共に取って大変貴重なものですので、誰にも気付かれたくない、という訳なんです。それで、見ず知らずのあなたに敢えてお願いしたような訳なんです」
 と言った。
「分かりました。ただ、これを持って行けばいいんですね」
 三津田は男の手からアタッシェケースを受け取りながら言った。
「そうです。でも、くれぐれも中は見ないようにして下さい。見られないようにはなっていますが、もし、途中で気持ちを変えられて、ちょっと不味い事になっても困りますので」
 男は言った。
「見たりなんかしませんよ。第一、鍵もないのにどうやって開けたらいいです」
 三津田はアタッシェケースを見廻わしながら皮肉交じりに言った。と同時に三津田は、ふと、男の言葉から自分の背後に見え隠れする監視の眼を意識した。今の時点では、何処にもそのような気配は感じられなかったが、列車に乗った途端に、その眼が何処からか、自分に向けられて来る事を意識した。

 東京駅から次の乗り換え駅までは約一時間半だった。
 切符は男が用意していて、三津田は男の手から乗り換えの駅と、そこから先の岬の駅までの切符を渡された。
 乗り換えの駅までは乗客の混雑もなく、楽に座席を確保出来た。
 東京駅での男との遣り取りの中では、黒い小型のアタッシェケースの中身の分からない事を除いて他には、格別に不穏な空気やその気配の漂う事もなかった。男にしても至って紳士的で物静か、言葉遣いも丁寧だった。その点で、三津田が不安に思う事は何もなかった。列車が走り出して暫くしてから三津田は、ふと、先程意識した、自分を監視する眼を周囲に探したが、それらしい人影も見られなかった。
 だが、三津田はそれでも緊張感を失う事はなかった。仕事の内容がいずれにしても不可解なものだったし、その裏に何かが隠されている事は間違いなかった。そして、それがなんであるのかは依然として分からないままだった。





          ---------------



          桂蓮様

          コメント 有難う御座います
          御主人様共々、良いお年をお迎えになられた事と
          御推察致します 
           今年も宜しくお願い致します
          新作 拝見しました
          全く同じように思い 拝見しながら頷いていました
           それにしてもこうして率直な飾りのない御文章を
          読ませて戴くのはなんとなく楽しい気分になります
          それだからこそ こうしてこのブログ欄に来るのが
          週一回の事とはいえ 楽しいのかも知れません
           冒頭の写真 穏やかな良い写真です わたくしの居る
          県にもこのような海の風景があって 色鉛筆の絵を
          描いて飾ってあります
           眼には見えない人との関わり 人と人との心の
          触れ合い という事ですね 大切な事だと思います
          近頃は眼には見えないからといって 人を傷付けても
          平気な人間が多くなりました でも 眼には
          見えないからこそ 人の心は一層 大切にしなければ
          ならないのではないでしょうか
           私のコメントを肯定的に受け取って下さって感謝
          申し上げます どうぞ ちょっと違うな 
          そうじゃない と お思いの時には 御遠慮なく
          お書き下さい わたくし自身の反省にもなりますので
           バレーレッスン 頑張って下さい その
          お写真 お待ちしております
           有難う御座いました 今年も良いお年でありますよう
          遠く 日本からお祈りしております それにしても
          不思議な感覚です 日本とアメリカ 異国の雰囲気を
          感じながら 何故か 身近に感じられます それも 
          桂蓮様のブログを拝見するせいかも知れません



          takeniisan様

          コメント 有難う御座いました
          良いお年を奥様共々 お迎えの事と御推察致します
           記事を溜め込みたい 良い事ではないのでしょうか
          ここに一人の人間の生きた証しが刻まれます お子さん
          お孫さん等が将来眼にして ああ 父は お爺ちゃんは
          こんな風に考え 物をみていたんだな と懐かしく
          思う事でしょう その為にも是非 良い記事を残して   
          下さいませ
           今回も楽しくいろいろな記事を拝見させて戴きました
           餅つき わが家でも定番です ですが わが家の
          餅つき器はもう五十年くらいになるのではなでしょうか
          その為 蒸しに三十分余り 衝きに十分ぐらい要します
          それでも未だに健在で 毎年 暮れが来ると 今年も
          餅つき器は大丈夫かな の点検から始まります
           それにしても田舎の餅つき風景 懐かしい思い出です
          一家総掛かりの一日仕事 懐かしく思い出されます
           年末の御挨拶 心温まる話しに気持ちが和みます
          わたくしどもも 御近所付き合いは欠かしませんが
          何気ない日常の人と人との触れ合い これ程 
          大切なものはないと思います
           それにしても見事な野菜 素人農家(失礼)とは 
          とても思えません        
           川柳 相変わらず 楽しませて戴きました 
          随分 お創りなんですね まだまだ 口で
          おっしゃる程の頭脳年齢ではないですね これからも
          どうぞ 楽しませて下さいませ
           何時も愚にもつかない文章にお眼をお通し戴く事に
          感謝とお礼を申し上げます 有難う御座います

           ブログ 一月一日で止まっていますが 御旅行でも ?
          ちょっと気になりましたので

           寒さの中 相変わらずお歩きのようですが
          くれぐれもお体には気を付けて下さいませ



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         スタッフの皆様 今年もまた一年 何かと
         お世話になる事と思います どうぞ 宜しく
         お願い致します