遺す言葉

つぶやき日記

遺す言葉 200 夏に寄せて・・・蜃気楼 月下美人

2018-07-29 13:51:26 | 日記

          夏に寄せて・・・蜃気楼 月下美人

 

          蜃気楼 (2010.9.23日作)

 

   おそらく 五歳か 六歳のわたしがいた

   真夏の太陽は 一片の雲にさえぎられる事もなく 金色の光りで

   青く透明な海を 砕ける波を 輝かせていた 白い入道雲 を

   湧き立たせた沖合い 彼方から吹いて来る風が

   皮膚に絡みつく潮の匂いを感じさせながら 八月の陽光に

   焼かれた体の熱気を 心地よく拭ってくれていた 広く白い砂浜の

   あちこちに作られた ヨシズ張りの小屋の中では 縞模様の日陰を楽しみながら

   水着姿の人たちがラムネを飲み サイダーを飲み

   串に刺した御手洗団子を口にしていた わたしを連れた母は

   まだ 若かった 母と一緒の それぞれに子供たちを連れた

   母の友だちも また 若かった すべてが穏やかで幸福感に満ちた

   夏の一日 人びとの笑いさざめく笑顔が輝き 晴れやかだった

   ーーーーー

   あれから幾十年もが過ぎた わたしは年老い 母は逝った

   父も逝った わたしが知る まだ若かった母の友だちの

   消息を知る事は出来ない すべてが穏やかで 幸せに満ちていた

   夏の日の一日

   あれは真夏の蜃気楼 ?

 

 

 

          月下美人(2018.7.10日作)

 

   月下美人は艶な花

   香りと姿で 魅惑する

   だけど おまえは さびしい花

   夜更けにひとり 

   そっと咲く

 

      ( この猛暑のせいか今年は八月に咲く下美人が

       七月に咲いてしまいました )

   


遺す言葉 199 意味するものは

2018-07-22 13:17:51 | 日記

          意味するものは(2010.4.13日作)

 

   海よ 波よ

   何もない広大な空の下(もと) おまえたちが  

   延々と繰り返す

   寄せては返し また 寄せて来る 果てしない

   その行為の裏には いったい

   どんな意味があって                                                                                 

   何が隠されているのか

   おまえたちの途切れる事のない

   力に満ちた永遠の

   その繰り返しを眼にしてといると

   わたしは

   虚無への深い感覚に囚われる

   -----

   春には新緑の芽を吹き

   夏の盛りには

   分厚い深緑で 木陰をつくり

   秋には燃え立つ紅葉で 彩り鮮やかに

   深山を覆い尽くす木々たちよ

   誰の眼にもとまる事もないその場所で

   来る年も来る年も繰り返す おまえたちの

   その行為の裏には いったい

   どんな意味があって

   何が隠されているのか

   おまえたちの限りない美しさを眼にする時

   わたしは

   切ないまでの寂寥の感覚に囚われる

   -----

   地上高く 雲を突き抜け 刃のように

   鋭い峰峰を研ぎ澄ましながら

   常に変わる事のない雪の白さを戴き

   天空に聳え立つ

   この地球 各地に存在する無数の山々たちよ

   おまえたちが それ程までに峻厳に

   毅然とした姿でそこに屹立している事の裏には いったい

   どんな意味があって

   何が隠されているのか

   おまえたちのその姿を数々の映像で眼にする時

   わたしは

   孤高が持つ 孤独の鋭い痛みに囚われる

   -----

   海よ 木々よ 山々よ

   おまえたちの揺ぎない

   その姿勢の前に立つ時 わたしは

   常に抱く厳かな感情と共に 謙虚な心で

   自ずと 頭を垂れている自分を

   見い出さずにはいられない

   


遺す言葉 198 小さな明かり

2018-07-15 12:51:59 | 日記

          小さな明かり(2018.7.12日作)

 

   あなたが もし

   世の中の光り 希望 で

   あろうとするなら まず

   足元を照らそう

   足元を照らし 足元の明るさ が

   定着したら 階段を一段 登り

   手の届く範囲に 明かりを 灯す

   人間 一人一人 それぞれが 灯す

   誠実 真摯 な 一つ一つ の 小さな明かり

   一つ一つ の 明かりが寄り集まれば やがて

   世界に広がり 世界を照らす 大きな

   明かりが生まれる 

   焦るな 気負うな 冷静 沈着

   物事 すべてには 手順がある

   それぞれに 於ける それぞれの 手順

   大きな志しの 心ほど 気持ちは焦り

   焦燥感に 囚われ易い 囚われの焦燥感 は

   時として 思わぬ挫折 思わぬ不幸

   思わぬ破滅を 呼び起こす

   焦るな 急ぐな まず 小さな明かり

   そこから 始めよう 小さな明かりを

   人から人へ 人から人へ と

   伝えてゆこう 一人一人 人間同士

   寄り集まれば 一人 一人では不可能

   出来ない大きな事 大きな光りの 輪を

   描き出せる  一人 一人では不可能 及ばぬ

   無限の力 無限の光り が

   生まれる 小さな明かり 小さな力を

   軽んじるな 足元を照らす

   小さな明かり 小さな明かりを

   卑下するな やがて それが

   大きな世界へ広がる 無限の力

   無限の 可能性 を 秘めたもので

   あるならば


遺す言葉 197 死刑に代わり得る刑罰を

2018-07-08 13:39:39 | 日記

          死刑に代わり得る刑罰を(2018.7.7日作)

 

  「人が人の命を奪う行為は

   言語道断 断じて 

   許されるべきではない」

   至極 真っ当な常識

   ならば 死刑の執行は ?

   当然ながらに 許される行為ではない

   人は 人の命を奪ってはならない

   しかし 犯罪者に命を奪われた

   被害者の立場 権利は ?

   犯罪加害者は 他者の命を奪った罪を

   どのように償うべきか ?

   被害者は 自身の命の尊さ 価値に

   見合うべき 犯罪加害者への刑罰を科す

   権利がある

   被害者の失われた命の代償 死刑

   しかし 人の命を奪ってはならない

   この言葉が 壁となり 立ち塞がる

   その死刑に代わり得る 犯罪者への

   刑罰は ?

   永久 永遠 減刑 恩赦 のない 刑罰

   生涯 被害者 及び その家族への

   奉仕 労働 金銭的 社会的名誉 等の

   回復 手渡し 提供 その義務を科す

   犯罪加害者が 被害者の命 生きる権利を奪った以上

   犯罪加害者は自身の命を生きる権利を剥奪されて

   当然 それで対等

   犯罪加害者は生きる屍 屍として生涯

   被害者の奪われた命の代わりを

   生きる 自身の尊厳 自由 生きる権利 は

   許されない 加害者に

   その権利はない 一面

   死刑より残酷な刑になり得る ? だが

   一人の人間 人の命を奪った人間に

   自身の命を生きる権利は ない

   一度 失われた命の償われる事は

   どのような謝罪行為の下でも 決して

   ないのだ

   

   

   


遺す言葉 196 今 八十歳

2018-07-01 13:57:49 | 日記

          今 八十歳(2018.6.23日作)

 

   今 八十歳

   世の中 世間 わたしを見る眼の

   老いぼれ 痴呆 老人ボケ

   そうあって 不思議はない

   衰える肉体 行動力

   実感は 日増しに深まる

   これが出来ない 

   あれが 出来なくなった

   それも 出来ない

   堅く強張る筋肉 

   ギシギシ痛む骨格

   呼吸の衰え 波打つ心臓

   頭脳の回転 鈍くなり

   あれを忘れた これも忘れた

   人の名前 思い出せない

   素速く巡る血流 思考の回転

   望むべくもなく わたしは

   今 八十歳

   八十歳

   それでもわたしは 今

   ふと 思う 重ねた年齢

   八十歳

   悪い事ばかり でも ないのでは?

   過ごした年月 歩んだ日々

   その中で 得たもの 身に付け

   自ずと 深めて来たもの

   人間 人を 見る眼 世の中

   社会の仕組みの 裏表

   隠れたもの 隠されたもの

   その正体 中身 内容物の

   重厚 軽薄 頑強 脆弱 虚偽 真実

   かつての時代 若き日々

   若さの力 その活力で ただ一途

   突き進み 見る事 心に深く

   留める事 思考を巡らし

   思慮する事 そんな行為の

   眼中 頭の中 頭脳の片隅にも

   なかった あの頃

   前へ 前へ それが すべて

   それだけが 目的 ただ その為にだけ

   生きた 日々 そんな日々の中では

   掴み得なかった 物の真実  見る事の

   出来なかった 物の姿 眼の前

   鼻の先にありながら

   気付けなかったもの達 そんな

   もの達の姿 真実が 今 八十歳

   八十歳の頭の中に 鮮明に見えて来る

   亀の甲より年の劫

   深みを増した思考の力

   深みを増した理解の力

   深みを増した洞察力

   文学 芸術 音楽 社会の動き 現実

   かつては理解出来なかった

   もの達 その姿が 今 八十歳

   その頭の中に 鮮明 明瞭に

   浮かんで見えて来る 今 八十歳

   老いぼれ 痴呆 老人ボケ その 年齢

   だが 人間 八十歳 八十年の歳月

   伊達に 生きて来ただけではない

   伊達に 年だけ取った訳ではない

   重ねた歳月 過ごした日々 その数多さ

   積み重ね 経験 体験 得たものが 今

   輝き 八十歳の頭の中で 光りを

   放っている でも しかし 八十歳

   鈍った頭脳の回転 その力

   咄嗟の判断 その困難さ オレオレ詐欺には

   充分 充分 御注意 御注意 御用心

   お気を付けて下さいよ