遺す言葉

つぶやき日記

遺す言葉(366) 小説 十三枚の絵(3) 他 歌謡詞 夜のブランコ 他

2021-10-10 12:38:27 | 小説
          夜のブランコ(2021.10.4日作)


 揺れろ 揺れろ 夜のブランコ
 わたしの恋の 哀しみのせて
 あの人は 遠い街
 愛は短い 幻でした
 揺れろ 揺れろ 夜のブランコ

 揺れろ 揺れろ 夜のブランコ
 消えない胸の 傷あとのせて
 口づけに ふるえた日
 あれもはかない 幻でした
 揺れろ 揺れろ 夜のブランコ

 揺れろ 揺れろ 夜のブランコ
 流れる時の 過ぎ行く中に
 今はもう 帰らない 
 夏の短い 幸せでした
 揺れろ 揺れろ 夜のブランコ



     人の世は 
     片道切符の旅衣
     いつの日にかと
     夢を追いつつ幾歳月

     では またと
     誓いし人の今日逝きて
     愁いは深し 彼岸花





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         十三枚の絵(3)


 一日の働きを終えた猟犬達が、空腹を訴えるように忙しく庭先を動き廻っていた。
「メリーはどうした ?」
 森本が聞いた。
「帰(けえ)ってるよ」
 辰っあんが言った。
「メリーが帰っていて、結城さんはどうしたんだろう ?」
 森本が初めて心配気な表情をみせた。
「メリー、結城さんはどうした ?」
 森本は結城さんが飼っているセッター種のメリーを掴まえ、首に手を掛けて聞いた。
 メリーはいかにもバツが悪そうに首をすくめると、森本の手をすり抜けていった。
「おかしいな。まさか、家に帰ったわけじゃないだろうな」
 森本は手をすり抜けていったメリーを呆然と見つめたまま不安気に言った。
「家に帰ったのなら、メリーだって一緒に行くだろう」
 わたしは言った。
「そうだよなあ」
 森本は言った。
「ああに、風呂さ入(へえ)ってるうじには帰って来べえよ」
 辰っあんは、たいして気にもしていない様子だった。
 わたし達は縁先に腰を掛け靴を脱いだ。
 森本の奥さんが四頭の猟犬に大きなボールに入った食事を与えた。
 わたし達が風呂から上がっても、結城さんは帰らなかった。
「好江。誰か、結城さんの所へやって、帰っているかどうか見て来て貰ってくれないか」
 森本が言った。
 使いは戻って来ると、結城さんは帰っていない、と言った。
 夜の食事は、何時もなら酒を酌み交わし、それぞれの自慢話しに夜の更けるのも忘れるのが常だったが、その夜は、結城さんの帰らない事への気懸かりを抱えたまま、酒も進まなかった。
「何か、あったのかなあ」
 森本はしきりに気にした。
「ああに、土地勘のねえ者(もん)ではねえし、戻りそびれて、山ん中(なが)で一晩、過ごす気になる事もあっべえよ」
 辰っあんは、あくまでも大らかだった。
「明日の朝になれば,、帰って来るかも知れないな」
 わたしも辰っあんの言葉に同意するように言った。
「でも、メリーが戻って来てるっていうのが、おかしいじゃないか」
 森本はなお、気懸かりを拭い切れないように言った。
「結城さんとはぐれてしまったんじゃないのか ?」
 わたしは言った。
「そういう事なんだろうけど、猟犬が主人とはぐれてしまうなんて、考えられるだろうかね。まして、利口なメリーの事だ」
 森本が辰っあんに問い掛けた。
「そういう事(こど)も、あっがも知んねえよ」
 辰っあんは、大きな箸で鍋の中のものを小皿に取り分けながら言った。
 その夜、辰っあんは十時過ぎに,自分の家へ帰った。
 わたしは森本の所に宿を取っていた。翌日の午後、東京へ帰る予定だった。
 結城さんは翌日も、午前中一杯待っても帰らなかった。
 その朝、メリーの姿が見えないので、わたしと森本は結城さんが帰っているかと思い、住まいに行ってみた。
 結城さんの家は雨戸が閉ざされたままだった。
 メリーが玄関先に、しょんぼりとした様子でうずくまっていた。
 メリーはわたし達の姿を見るといかにも心細気な様子で傍へ寄って来た。
「やっぱり、帰っていないよ」
 森本がわたしの顔を見て言った。
 わたし達が森本旅館に戻ると辰っあんが来ていた。
「あじょうだった。結城さんは帰ってだがい ?」
 辰っあんは言った。
「いや、帰っていない」
 森本は重い口調で呟くように言った。
「昼前(めえ)まで待ってんべえよ。そっで帰らねがったら、探しに行ってんべえ」 
「そうだなあ。ーー午後、帰るのか ?」
 森本がわたしを返り見て言った。
「ああに、俺と公ちゃんだけで、いいでねえがよお」
 辰っあんが言った。
「いや、大丈夫だ。一日二日帰るのが遅れたって電話で連絡しておけばいいんだから」
 その日の午後、わたし達は三頭の猟犬を連れて山へ入った。猟銃は持たなかった。
 わたし達はメリーを先頭に立てて、おおよその見当が付けられる場所という場所を探した。
 手掛かりは何一つ得られなかった。
 日没と共に森本旅館に戻った。
「この辺に危険な場所っていうのは、あるのかね」
 わたしは辰っあんに聞いた。
「いや、危険な場所っつうのはねえな」
 辰っあんは地形に思いを巡らす風にして言った。
「北山の奥に、伝説みたいに語り継がれている沼があるっていう事は聞いているけど」
 森本が言った。
「だけっど、あんな所(とご)さは行ぎやしねえよ。ちょっくらちょんと行げるもんでねえ。俺(お)らあ、何回が近ぐまで行った事があっけど、いろんな木が絡み合ってで、ながなが入(へえ)れるもんでねえ」
「どんな沼なんだい ?」
 わたしは聞いた。
「ああに、村の者(もん)だって、よぐは知りゃしねえだよお。ただ、沼みでえな物(もん)があるっつう事(こど)は、昔(むがし)がら言われでっだあ」
 わたし達は昨夜の雉鍋の残り物を突きながら酒を酌み交わした。
「それにしても一体、結城さんはどうしてしまったんだろう ? 全く手掛かりが掴めないなんて・・・・。明日、その沼の辺りまで行ってみようか ?」
 森本がわたしと辰っあん二人に問い掛けた。
「うん。でも誰れか、消防団にでも、助太刀を頼んだ方がいいんじゃないか ?」
 わたしは言った。
「そんな大袈裟な事(こど)なんがする事あねえよ。きっと、帰ってくるよ」
 幼い頃からこの地に根を張って生きて来た辰っあんには、山も自分の家の庭先程にしか思えないらしかった。そしてこの場合、山と言っても険しい高山などとはまるで違っていた。平地に続くなだらかな丘陵としか呼べないような山で、杉の巨木や様々な雑木が生い繁っていて暗さは深かったが、直接的に生命の危険を感じさせるような山ではなかった。
「ただ、考えられるのは、転んで足でも折って、動けないでいるんじゃないかっていう事だよな」
 森本が言った。
「それぐれえは、あっがも知んねえ」
 辰っあんが言ったその時だった。森本の二頭の猟犬が突然、けたたましく吠え立て始めた。その異常さは、普段、二頭の猟犬を知り尽くしているわたし達にも明らかに何かの異変を感じさせる異様さだった。
 わたし達は無言のまま、ただ、その吠え声に耳をそばだてていた。
「あんだべえ ?」
 最初に口を開いたのは辰っあんだった。山の中での危険に精通している者らしい敏感さだった。
「どうしたんだろう ?」
 続いて森本も言った。
 二頭の猟犬が何かに怯え、その怯えさせるものに向かって必死に立ち向かってゆく、という、そんな気配が感じ取れた。





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          桂蓮様

          お忙しい中 何時もお眼をお通し戴き
          有難う御座います
           新作 拝見させて戴きました
          自分の姿は自分では分からないものですね
          千分の一ミリも狂いのない体 多分 それは
          無理だと思います 思いますが そこに向かって
          努力をする その姿勢が貴重なんですね 人間
          努力を失くしたら死んだも同然です 努力する
          その姿勢が 結局 肉体的には多少の歪みを
          持っていようが 人を美しく見せるのでは・・・
           行き着くところは結局 心では
          ないのでしょうか それにしても 桂蓮様の
          何事に対しても真摯に向き合う姿 感服致します
          その姿こそが人を美しく見せ 尊敬を集める素に
          なるのではないでしょうか 
           人に頼らない孤独の世界 それは純粋な世界かも
          知れませんが 人は結局 他人なしでは生きては
          行けない 他人なしでは生きては行けない が 
          人は畢竟 孤独な存在 最終的には誰にも頼れない
           難しい問題ですね 
          どんなに深い愛情で結ばれていてもやがて人間は
          一人の世界に還ってゆく 淋しい存在です 故に
          人は人を愛せる環境にある時こそ それを大切にして
          生きてゆきたいものです その点 桂蓮様は今現在
          最高の世界に生きていらっしゃるのでは と
          お思い致します 御主人様との御幸せそうなお姿
          羨ましく思います どうぞ 何時も言うようですが
          この時を大切にしていって下さい
          人生の良い時は決して長くはないものです
           韓国でのお写真 期待してお待ちしております
           コロナ この厄介な疫病神 いつになったら
          終わる事やら 普段 マスクをしないわたくしでさえも
          今はマスクをしています 他人に白い眼で見られる事も
          嫌ですが 自身の防衛のためにと思って一生懸命 努力      
          して マスク着用に励んでいます



         takeziisan様


         何時も詰まらない文章に
         お眼をお通し戴き 有難う御座います
          今回もブログ 楽しく拝見させて戴きました
          思い出の紅葉山旅 自然がこんなに懐かしく感じられる  
         のは 九年間とはいえ 一番物事に敏感な時代に地方の
         自然の中で暮らした その事のせいでしょうか
         自然の美しさは 何時見ても飽きませんし 心打たれます
          このコロナ下 何処へも出られず 兄妹などで電話の
         折りには また みんなで旅行に行きたいねなんて
         話しています
          うずくまる白鷺 見事な写真 
         栴檀は九年間を過ごした我が家の門の傍に二本あった
         懐かしい木です 黄色いあの実が懐かしいです
          停電 ローソク アカギレ シモヤケ 懐かしく
         思い出します それにしても 日頃 北陸の山暮らし
         と謙遜していらっしゃいますが わたくしの居た地方より
         学校など はるかに進んでいたように思います
          ジャンケン娘 わたくしは東京で観ました 日劇で
         二葉あき子や淡谷のり子 灰田勝彦などのショウと
         合わせて上映されました
          踊り子の唄声 文学青年だったのですね
         いろいろ お持ちのようですが是非 ブログに遺す事を
         お勧めします 貴重な記録です
          京都 永遠の都であり続けて欲しいものです
          歩く事はいい運動 この間 嵐模様の日に 近くに
         行かなければならない事があって 長靴を履き
         外出 歩いて行きました 普段 朝 土曜を除く毎日
         一時間半程 柔軟体操や 筋肉体操をしていますが
         歩く事は余りないので ほんの短い距離でしたが
         ああ 歩くのはこんなにいい運動になるのだ と
         改めて 認識しました わが家のすぐ傍にある 大きな  
         公園でも歩く人の姿を数多く見かけます
          川柳 含み笑いの中 楽しませて戴きました
         次回 期待は 御負担でしょうか・・・・
          何時も有難う御座います