心に沁みる言葉(2020.5.20日作)
Ⅰ 天空の月は波濤千里の大海原でも
路地の小さな水溜まりでも 常に
変わらぬ姿を映す
(物事に上下大小の差を付けない 人格の大きな人は
人を差別しない)
2 山門の仁王像も崩れればただの泥である
(どんなに地位が高くても著名であっても
愚行ゆえに失脚すればただの泥と同じ存在になる)
3 冬草も 見えぬ雪野の白鷺は おのが姿に身を隠しけり
(良くも悪くも周囲の色に溶け込めば自身の姿は見えなくなる)
4 分け入る麓の道は多かれど 同じ高嶺の月を見る
(物事の頂点に至るには人さまざま それぞれのやり方がある)
5 栄光を築くのには何年もかかるが崩れるのは一瞬の間だ
6 両の耳は聞こえないように 両の眼は見えないように
(愚にもつかない噂など 聞く必要はない 下らない事など
見て見ぬふりするをするのがよい)
7 耳に見て 眼に聞くならば疑わじ おのずからなる軒の玉水
(聞いた事は見た様に 見た事は聞いた様に 想像力を働かす
結果 軒を伝う雨水が雨垂れとなるように物事が結実する)
8 石橋(しゃっきょう)は驢も通せば馬も通す
(堅固な石の橋はロバでも馬でも分け隔てなく通す
人の世に於いても同じ事 器量の大きな人物は人を分け隔てしない)
9 太平洋に蓋は出来ない 大地はいくら踏んでも怒らない
(世の中の大きな流れに逆らえない 心の広い人間は
少しぐらいの事では腹を立てない)
10 エビ踊れとも升を出(い)でず
(小さなエビはいくら暴れても升の中から出る事は出来ない
人も いくら威張ってみても自分の器量以上のものは出せない)
11 卵の上で跳ねるな
卵を割らなければオムレツは出来ない
(卵の上で跳ねればすぐ割れる 危険な真似はするな
オムレツは卵を割って初めて可能になる 先ずは実行する事)
12 他人の気持ちを知るには 他人の靴を履いて歩き廻れ
(アメリカ映画の中のセリフ・・・・他人の立場に立って見る)
13 遣り切れない=諦めの気持ち
槍(遣り)は切るものではなく 突き
通すものだ=遣り(槍)通す
(遣っていられないと諦め切るより 遣り通してみろという事)
14 外のものに向かって礼拝してはならない
神仏はあなたの心そのものである
(神仏はあなたの心で育むもの
心の外の何処かにあるものではない)
15 本当の宗教とは 神 阿弥陀(仏)があるから信じる のではなく
信じるからある
自分が信じるから 神 阿弥陀は存在するという事
16 知識は経験ではない 経験のない知識は
ただの物知りにしか過ぎない
悟りのない知識は偽物==夜郎の本箱
17 鳴らぬ先の鐘を聞く
(想像力を働かせるという事)
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報復(4)
義人は二日間の休日を予定表に書き込んだ。
「銀座の画廊を廻って、二、三点、絵でも買って来よう」
顔を上げると何気ない口調で律子を見て言った。
「絵 ?」
律子は思わぬ夫の提案に戸惑ったが、それでも意外感はなかった。
義人の書斎には北海道の雄大な自然を描いた何点かの絵が飾られていた。
絵画や彫刻作品に義人が興味を示す事は知っていた。と同時に律子は、そんな義人の寛いだ口調の言葉に自ずと、自身の胸の内のなんとはないわだかまりも自然にほぐれて行くような気がして、久し振りの東京も悪くはないのでは、という思いを抱いていた。
子供達に関しては、義人も言ったように、それ程、心配はしなかった。八歳と七歳の子供達の普段の生活に就いては、六十歳を過ぎて独り暮らしになったお手伝いさんの野間さんの方が、日頃、忙しく出歩く律子よりはるかに詳しかった。それに義母もいる。
律子は一週間に四日は外出しなければならない多忙な日々が続いた中で、それっきり、東京行きの事は忘れていた。九月が終わり、カレンダーをめくって、十月の第三土曜日にAデパートの祝賀行事への出席が記入されている事に気付いて、初めて思い出した。そして、それに気付くと律子はまた、なんとはない、気持ちの負担を覚えた。市の教育委員、婦人会の副会長、環境保全委員、ボランティア、などと、出歩く事には慣れている身でありながら、何故か、東京へ行くとなると気が重くなった。自分の家の庭から外へ出て行く様な気分だった。義人と約束した時に覚えた淡い期待感もすっかり消えていた。東京で出版社に勤務していた頃には、取材の為に沖縄の離島に行く事も苦にしなかったのに、と思うと思わず苦笑が漏れた。
そんな日々の中で律子はまたテレビの画面で、水野益臣が若い女性タレント相手に、相変わらずの軽薄なジョークを連発しているのを眼にした。一瞬律子は、その軽薄さに苛立ってテレビを消そうとしたが、ふと、胸の奥に閃くものを覚えて指を止めた。
律子は改めて眼の前にある画面の中の水野益臣の姿に視線を凝らしながら、瞬間的に湧き起こった自分の意識の中の微かな閃きに思いを巡らした。
そうだ、と律子は思った。
そう思うと律子は、その思いがこの上ない名案のように思えて来て、胸の躍るようなときめきを覚えていた。
そうだ、この東京行きは、その絶好の機会だ !
律子は北海道へ戻ってから此の方、ただ、水野益臣との間で傷付いた自分の心の傷を癒す、その事の為にのみ、自分の総てをつぎ込んで来たような思いを抱いていた。そして、それと共に育んだ、この地に根を張って生きるという覚悟の中で、ようやく忘れ得たと思えるまでになっていた水野益臣の影に、律子は改めて立ち向かっている自分を見い出した。この北海道の地での心地良い日常の中で忘れていた、水野益臣への憎悪の影を再び甦らせている自分を律子は自覚した。
東京行きが十日後に迫った夜、律子は義人と出席するAデパートの祝賀行事を話題にした後、何気ない風を装って言った。
「テレビに出ている水野さんにお会い出来ないかしら。東京へ行く序に会ってみたいわ」
「水野にか ?」
義人は思い掛けない事を聞く、という風に言った。
「ええ」
「会ってどうするの ?」
「どうって言う事もないけど、お友達だっていうから、会ってみたいわ」
義人は律子の言葉に屈託のない含み笑いをすると、
「サインでも貰うのか」
と言った。
「ううん。そうね、いいわね」
律子も笑いに紛らして言った。
「でも、暫く会っていないから、上手く時間を割いてくれるかどうか分からないよ。兎に角、連絡だけはしてみるけど」
律子はその後、義人が水野に会う為に連絡を取ってくれたのかどうか、あえて訊ねなかった。水野の事は話題にもしたくなかった上に、水野には会いたくて会うのではなかった。会っても会わなくてもどうでもいい事であったが、ただ、あのテレビの画面上に見る、得意満面顔の水野の鼻を明かしてやりたいという思いだけに捉われていた。
二
律子が妊娠した事を告げると、水野益臣は機嫌の良かった顔を途端に引きつらせた。新宿にあるパブのカウンターに肩を並べていた土曜日の夜の事だった。
「ここ一週間程、ずっと胃の具合が変だったの。それでお医者へ行ったら、妊娠しているから専門の先生に診て貰うようにって言われて、紹介状を持って一昨日、そのお医者さんへ行ったら、妊娠の極、初期だって言われたの」
妊娠という言葉を聞いた途端に、頑なに黙り込んでしまった水野に不安を募らせながら律子は仔細を口にした。
水野が妊娠という言葉にどのような反応を見せるのか、律子には全く分かっていなかった。ただ、日頃の水野の言動から推測して、そんなに彼が酷な態度に出る事はないだろう、とだけは考えていた。たとえ、妊娠という事実を闇に葬るにしても、もう少し親身で、優しい姿を見せてくれるものという期待感はあった。
だが、律子が今、眼の前に見る水野益臣は、律子に取っては、そんな水野益臣ではなかった。何処か遠い、限りなく遠い場所にいる、律子の知らない水野益臣のように思えて来て仕方がなかった。今、眼の前にいる水野益臣は律子の知らない水野益臣だった。律子は二人の間に横たわる距離が限りなく遠いもののように思えて、今にも叫び出したくなるような絶望感を必死に堪えていた。
「バーテンさん、ウイスキーをくれる ?」
水野は頑なに黙りこくったままの不機嫌な口調でバーテンダーに言って、空になたグラスをカウンターの上に滑らせた。
バーテンダーはすぐに新しいグラスに氷を入れ、ウイスキーを注いだ。
律子はバーテンダーが離れてゆくのを待って、不安に耐えられないままに言った。
「どうしたらいいと思う ? 産んでもいい ?」
律子自身、本当に産みたいのかどうか、分かってはいなかった。ただ、何も分からず、不安の中に自分の気持ちを放置して置くことには耐えられない気がした。
「産んでもいいかって、そんな事を言われても困るよ」
水野はあからさまに迷惑気な表情を浮かべて、律子を非難するように言った。
「どうして ? 二人の問題でしょう ?」
律子は問い詰めるように言った。
「二人の問題って、どうして俺に関係があるんだよ。俺は子供が欲しいなんて、一度も言った事はないよ」
水野は怒りを含んだ口調で言い返した。
「ひどい事を言わないでよ。男と女が愛し合えば、子供が出来るのは当たり前じゃない」
律子の声は甲走っていた。
「愛し合うなんて、ただ、一緒に寝ただけじゃないか。それが愛だなんて思われちゃ、かなかわないよ」
「じゃあ、ただの遊びだったって言う訳 ?」
「遊びだったって言うつもりはないけど、第一、結婚もしてないのに子供を産んでどうするの ?」
「結婚なんて、届け出をすれば、それで済む事じゃない。何時だって出来るわよ」
「そんなに簡単なものじゃないさ。それに子供が生まれたって、家庭を支えてゆくだけの収入もないじゃないか」
「収入なら、わたしも働けばなんとかなるわよ」
水野はその時、フリーのカメラマンだった。二年前に、助手を務めていたMと言う著名カメラマンの下を離れ、独立したばかりだった。
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hasunohana1966様
有難う御座います
何時もお心遣い戴き御礼申し上げます
深い御文章 感銘と共に拝読させて
戴いております
坐禅 日常に取り入れていらっしゃる御様子
いいですね
私は坐禅こそしませんが 日常 禅の心で
生活する事を念頭に置いております
何事にも囚われない心 空 無 の心
人の心はともすれば 自身の欲望に囚われてしまう
ものです 無 の 心で生きられたら
どんなに楽な事か 否 こんな事を考える事自体
囚われの心かも知れません
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takaziisan様
相変わらずお美しい写真 感銘を受けます
富士山の写真 取り分け お見事です
河口湖へ行った時に見た富士山を思い出しました
ブログ考 良かったですね 共感 しきりです
何時ものお心遣い 感謝申し上げます
励みになります
有難う御座います
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asu_naro_007様
ブログお読み戴き 有難う御座います
感謝と共に 御礼申し上げます
有難う御座います
陸上 ようやく再開との事 昔 少しだけ
いろいろのスポーツに係わった身としては
お喜びが想像出来ます
ストレッチ解説 参考になります
最近 年毎の体力の衰えを実感する身としては
せめて室内で出来る運動だけでもと思って
動かない体に鞭打っているのが実状です