アンドリュー・V・マクラグレン逝く
ジョン・フォードの後継者と呼ばれ、西部劇や戦争映画の秀作を残したアンドリュー・V・マクラグレン監督が亡くなった。94歳だった。
父がフォード一家を代表する俳優のビクター・マクラグレンだったこともあり、『静かなる男』(52)などのフォード映画の助監督を経て1960年に監督デビュー。
西部劇ではジェームズ・スチュワート主演の『シェナンドー河』(65)、ジョン・ウェイン主演の『マクリントック』(63)、『大いなる男たち』(69)、『チザム』(70)、『ビッグケーヒル』(73)などを残したが、すでに正統派西部劇の時代は晩年を迎えており、西部の家族劇を基調とする彼の真面目な作風は、残念ながらいささか時代遅れに見えた。
また、チャールトン・ヘストンとジェームズ・コバーン共演の『大いなる決闘』(76に至ると、マカロニ・ウエスタン風の残酷さとしつこさだけが目立ち、なんだか無理をしているような感じがして切なくなった。
むしろ彼は、『コマンド戦略』(67)や『ワイルド・ギース』(78)といったチームが活躍する戦争映画に冴えを見せたといえるかもしれない。
時代に恵まれず巨匠になり損ねた感がある監督だが、最近になって彼の映画を見直すと、昔は時代遅れと思ったそのゆったりとした演出が、逆に心地良く感じられたりもする。これは自分が年を取ったからそう感じるのか。
我が、マクラグレンベストスリーは、『シェナンドー河』『コマンド戦略』『ビッグケーヒル』。