田中雄二の「映画の王様」

映画のことなら何でも書く

【ほぼ週刊映画コラム】『アバウト・タイム~愛おしい時間について~』

2014-09-27 20:14:27 | ほぼ週刊映画コラム
TV fan Webに連載中の
『ほぼ週刊映画コラム』

今週は

タイムトラベルを通して人生について考える
『アバウト・タイム~愛おしい時間について~』



名台詞は↓

「人生こそが冒険に満ちたタイムトラベルなんだ」
byティム(ドーナル・グリーソン)

詳細はこちら↓

http://tvfan.kyodo.co.jp/feature-interview/column/969029

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『ジャージー・ボーイズ』つづき

2014-09-27 07:08:18 | 新作映画を見てみた

  

(続き)
 ところで、『ジャージー・ボーイズ』の製作者の一人であるグレアム・キングは、マーティン・スコセッシ監督の『ディパーテッド』(06)を製作したことでも知られる。本作についても「マフィアがいて、都会でうまく生き抜こうとするキャラクターがいて、しかもあの時代の歌が盛り込まれている。僕の大好きな題材」と語っている。

 となると、本作は同じくスコセッシが監督した『グッドフェローズ』(90)ともイメージが重なるのだが、あの映画のギャング役でアカデミー助演賞を得たジョー・ペシが、若き日、ジャージー・ボーイズと顔見知りで、彼らにゴーディーを紹介した人物として本作に登場する。さらに後に借金で身を持ち崩したデヴィートが、俳優として成功したペシの世話係になったというから驚く。これは本当の話。

 また、ジャージー・ボーイズを庇護する地元のギャングのボス役でクリストファー・ウォーケンも登場する。ウォーケンと言えば、彼がアカデミー助演賞を得た『ディア・ハンター』(78)で、ロバート・デ・ニーロらと「君の瞳に恋してる」を歌いながらビリヤードに興じる名場面があった。こちらはうれしい偶然。否、意図的なキャスティングか。

 そして『ジャージー・ボーイズ』のフィナーレは、まるでカーテンコールのように「1963年12月(あのすばらしき夜)」をはじめとするフォーシーズンズのヒット曲をバックに、出演者全員(ウォーケンまでも!)が歌い踊るという大サービス。というように、本作はディテールに注目するとさらに面白く見ることができる。

 蛇足:劇中、「恋はヤセがまん」のアイデアの基としてビリー・ワイルダー監督の『地獄の英雄』(51)が、また意外なシーンで、若き日のイーストウッドが出演した「ローハイド」がそれぞれテレビに映る。 

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『ジャージー・ボーイズ』

2014-09-27 06:37:26 | 新作映画を見てみた



イーストウッドが撮ったセンチメンタルなミュージカル

 米ニュージャージーの貧しいイタリア人街に生まれ育った4人の“ジャージー・ボーイズ”(フランキー・ヴァリ、トミー・デヴィート、ニック・マッシ、ボブ・ゴーディオ)。後に彼らは“ザ・フォーシーズンズ”として「シェリー」「恋はヤセがまん」「恋のハリキリ・ボーイ」「ステイ」「バイバイ・ベイビー」、そしてヴァリのソロで「君の瞳に恋してる」「瞳の面影」…数々の名曲を残した。

 ところが、彼らの曲を知っている者は多いが、その背景にあった物語を知る者はほとんどいない。早い話が、ビートルズの4人は有名だが、フォーシーズンズはリードボーカルのヴァリ以外は知る人ぞ知る存在なのだ。そんな彼らの栄光と挫折、友情と別れ、そして再起と再会を、彼らのヒット曲に乗せて描いたミュージカルがブロードウェーで大ヒットを記録した。実にいいところに目を付けたものである。

 そしてその映画版を、およそフォーシーズンズやミュージカルとは縁のなさそうな硬派のクリント・イーストウッドが監督したと聞いて驚いた。84歳にしてイーストウッドが初めてミュージカル映画を演出したのだ。という訳で、見る前はミスマッチを心配したのだが、実際目にすると、ミュージカルとしても青春群像劇としてもテンポ良く描かれ、おまけに適度にセンチメンタルで甚だイーストウッドらしくない。何だこういう映画も撮れるんじゃないか、と今度はうれしい驚きを抱かされた。

 ブロードウェイ版のオリジナルキャストでもあるジョン・ロイド・ヤング(真田広之似)がヴァリのファルセットボイスを見事に再現。他の3人もそれぞれ個性的な人物として面白く描かれているが、「ショート・ショーツ」(「タモリ倶楽部」のテーマ曲としても有名だ)も作曲したゴーディオのソングライターとしての存在がクローズアップされている。

 最も印象に残るシーンは、他の3人が初めてゴーディオと顔を合わせ、ゴーディオが作曲した「クライ・フォー・ミー」をコラボレーションする場面。才能を持った者同士の出会い、音楽を媒介とした心の高揚が見事に表現されている。このシーンは、本作の核心を言い当てた「まだ駆け出しの頃、街灯の下で、4人で俺たちだけのハーモニーを作った。あの時、ほかのことは消え失せて音楽だけがあった」というヴァリの言葉を象徴するものとしても印象に残る。時折ドラマを離れて4人がそれぞれの本音や心情を観客に向って語り掛ける趣向も面白い。

(つづく)

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